有給休暇総まとめ~社長が知っておきたい労働基準法のルール②~
- 有給休暇の使用用途によって会社はNOを言えるのでしょうか?
- 有給休暇で支払われる給与額はいくらなのでしょうか?
- 年次有給休暇を計画的に取得させる方法
有給休暇と言うのは、正式名称は年次有給休暇といい、ある一定の条件を満たしたら従業員に当然に発生する権利となります。誤解しがちなのは、従業員の請求があって初めてするものである発生するもので「うちには有給休暇の制度はない」という事はありません。従業員の有給休暇の権利と言うのは、一定の条件を満たした場合に当然に発生します。つまり従業員から請求があって初めて有給休暇が発生するというものでは無いのです。
よく「有給休暇を請求」という言葉が言われますが、これは有給休暇の時期を指定しますと言う意味で、従業員が日時の指定をしたときは、原則的に会社は、それを拒むとことができません。
このように、従業員が年次有給休暇の時期の指定をしたときは、原則はその日時で有給休暇となりますが、会社側は全くそれに対してNOを言えないかということではありません。例えば繁忙期等その時期にお休みとなると業務に支障があるという場合には会社はその時期について変更を依頼することが出来るのです。
ポイント:年次有給休暇は、原則として労働者が請求する時季に与えなければなりませんが、請求された時季に休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時季に与えることができます。その場合でも会社は本人とよく話し合って進めることがよいでしょう。
一般の会社では有給休暇の申請用紙があって、それを上長が承認するという申請フローになっている会社も多いことでしょう。ですが原則的には、従業員が年次有給休暇を指定してきた時点で、会社は時期の変更を従業員と話し合わない限りその有給休暇を与えることが必要となってくるのです。
次に有給休暇はどのように利用するかによって、会社はそれを拒むことが出来るのでしょうか。実は有給休暇をどのように利用するかは、従業員の自由になっています。例えば経営者がこの理由だったら行を認めるけれども、別の理由だったら行を認めないと言うような、休暇を取得した後の目的によって会社の態度を変えると言う事は出来ません。(ストライキなどの場合は話が別となります)
では有給休暇はどのような場合に発生するのでしょうか。有給休暇は、入社してから半年経過すると発生しますが、有給休暇の発生の条件は2つあります。
① 継続勤務要件
雇用した日から6か月経過で発生します。
② 出勤率要件
① の期間のうち8割以上出勤した場合に発生します。
このように、有給が発生するには①②の条件がそろって初めて発生します。
有給休暇で支払いされる給与額はどのように決めたらいいのでしょうか。
3つの方法があります。
①平均賃金
②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
③ 標準報酬日額(労使協定が必要)
これらのいずれかとなります。どの方法で計算するのかあらかじめ決めておき就業規則で記載しておくとトラブル防止となります。
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給与計算をするための準備と計算方法
有給休暇は、会社からあらかじめ「この日にとりなさい」と指定することもできます。これを年次有給休暇の計画的付与といいます。これは有給休暇について5日を超える日数について会社から一斉に有給休暇を与える制度です。5日を超えるというのは、本人には少なくても5日は好きな時期に取得できるように残しておきましょうという趣旨です。
計画的付与の導入方法は3つあります。
① 班別にグループを作り交代制で、有給休暇を与える方法
② 個人別の年次有給休暇計画表を作り個別に有給休暇を与える方法
③ 会社全体として一斉に有給休暇を与える方法です。
そしてこの計画的付与を行いたい場合には、労使協定と呼ばれる従業員の過半数代表との協定が必要です。この協定の労基署への提出は不要です。
有給休暇は2年で時効によって消えるものとなります。前年度分に発生した有給については、翌年に繰り越すことが出来るのです。
パートタイマーやアルバイトの方については有給休暇がないと誤解している方もいるのですが、それは間違いです。所定労働日数に応じてアルバイトやパートタイマーでも有給休暇が発生します。ただ正社員と同じ日数というのは不公平ですので、所定労働日数に応じて、休暇の日数が決められています。
アルバイトやパートタイマー等の場合には、一日当たり〇時間働くということが上下することがあり得ます。このような方が年次有給休暇を取得した場合には、一日分の有給というのは何時間分なのかを決めておく必要があります。本人とも話し合いきちんと理解させておくとともに、就業規則に明記しておくとよいです。
有給休暇は1時間単位でも取得できます。最近は育児や介護との両立をする方も増えてきているため、そのような方にとってはより働きやすい環境になるでしょう。時間単位有給については、1年間のうち5日を上限として時間帯で有給休暇を取得することができます。導入するには、労使協定を締結して、就業規則にも時間単位で年月有給休暇が取れると明記しておくことが良いです。
時間単位有給の1時間分の給与額についても、どの方法で計算するのかをあらかじめ定めておくことがよいでしょう。方法は3つあり、通常の有給休暇の計算方法と統一しておくことが必要です。
① 平均賃金
② ②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
③ 標準報酬日額(労使協定が必要)をその日の所定労働時間数で割った額になります。
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このように有給休暇は従業員を雇用するようになったら必ず出てきます。パート・アルバイトでも発生することを理解して、後々トラブルにならないようにあらかじめどの計算方法で支払いをするのかを決めておきましょう。
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