会社の本店って何?その本店を移転する時の手続き等について

更新日:2018.04.13

まず先に、皆さんは、会社の本店って何かご存知でしょうか?会社を設立した経験がない方にとっては、もしかすると、あまり馴染みのない言葉かもしれません。ただ、普段皆さんが買い物等をされる際には、本店があったり、支店があったりしますよね。それらの本店と、会社の本店と言うのは、特に大きな違いはありません。お店のように、本店があると言う事は、会社にも本店所在地と言うものがあると言う事なのです。では、この本店所在地の基礎的な知識から、その後本店を移転したい場合に必要となる登記や、書類、費用面等、様々な観点から解説を行わせて頂きたいと思います。

1. 会社の本店所在地とは?

では始めに、会社の本店所在地から解説させて頂きます。皆さんも、日本に住まれているのであれば、住民票と言うものをご存知ですよね?そこには、ご自身が住まわれている住所等が掲載されております。これと同様に、会社にも、本店の所在地と言うものが存在します。この本店所在地と言うのは、会社を設立する際に、定款と言うものを作成するのですが、この定款に「絶対的記載事項」として、必ず記載しなければならないものとなっております。ですから、会社設立をする場合には、どこを本店所在地にするかを、予め決定しておく必要があると言う事なのです。この決定した本店所在地が、会社の本店がある場所を指す事となります。

1-1. 本店所在地はどこにする?

次に、本店所在地を決める場合ですが、場所については特に制限が設けられてはおりません。通常でしたら、ほとんどの方々が、始める会社の住所や、事務所、店舗等に本店所在地を設定されます。また、場合によっては事務所やお店を構えない場合もありますから、このような時は自宅住所を本店所在地に設定される事もあります。ただし、ご自宅の場合ですと、賃貸等の場合には、予め大家さん等に了解を貰っておくべきでしょう。ただし、ここでポイントとなるのが、本店所在地に設定した住所にて、必ず事業をしなければならないと言う事ではありません。一つの場所に本店所在地として登記を行い、実際に事業を行う場所は賃貸している事務所や店舗等でも良いと言う事になります。

1-2. 本店所在地の記載について

まず、本店所在地を記載する方法としては、以下の二つの方法が上げられます。

    • 「独立の最小行政区画」までの記載する
    • 「○○番地」まで具体的に記載する

例えば、①の場合ですと、「東京都△△区」までや、「○○県△△市」等の事を言います。次に②の場合ですと、「東京都千代田区○○町△丁目×番-×号」まで詳細に記載する事となります。どちらが良いの?と思われる方もいらっしゃると思いますが、結果からお答えすると、オススメなのは①の方になりますが、こちらは下記の方にてご説明させて頂く「本店移転登記」にて詳しく解説させて頂きたいと思います。ちなみに、登記する際の本店所在地の住所には、建物の名前やビル名、そして部屋番号等については記載する必要はありません。

 

2. 本店移転登記について

では次に、本店の移転登記について、総合的に解説させて頂きたいと思います。日本において会社を設立する場合には、必ず「登記制度」として、その会社情報が一般に公開されるようになっております。ですから、登記した内容には、本店所在地も含まれますから、そちらも登記によって一般公開される事となります。この本店所在地を移転した場合においては、登記内容に変更が生じる為、「本店移転登記」と言う手続きを取らなければならないのです。

2-1. なぜ本店移転登記をするの?申請しなかった場合

会社の設立時に本店所在地の登記を行うと述べましたが、この本店所在地を移転するには、会社法と言う法律によって定めがあり、変更が生じてから2週間以内に変更登記を行わなければならないとされております。これは法律によって定められている義務ですから、忘れずに移転登記を行う必要があるのです。もしも、本店所在地の変更があったにも関わらず、移転した日から2週間経過と言う期限が経過しても本店移転登記を行わなかった場合には、どのような事が起こるのでしょうか?

まず、会社法第976条1号によって、「移転があったのに、2週間と言う期限内に手続きを行わなかった場合には、代表者の個人が100万円以下の過料に処される(表現をわかりやすく変更しています)」と言う定めがあります。つまり、罰則が設けられていると言う事になりますね。しかし、実際の所はどうなのか?と言うと、2週間以内と言う期限を過ぎてしまった場合でも、絶対に過料に処されるわけではなく、期限を過ぎてから申請をしても、法務局は受理してくれるようです。ただし、あまりにも長い期間、申請をせずに放置していると、一応は会社法と言う法律による定めがあるわけですから、過料に処される可能性は発生しますので、あまり遅滞ないように本店移転登記の手続きを行っておく方が無難だと言えるでしょう。

2-2. 本店移転登記における管轄内と管轄外について 

本店移転登記には、管轄内の移転と、管轄外の移転がありますので、見ておきましょう。登記を行うのは、法務局となるのですが、この法務局には管轄している区域が存在します。皆さんも、住民票の住所変更をされた経験がある方も結構いらっしゃると思うのですが、例えば、○○市から△△市に引っ越しをする場合には、引っ越し前までの管轄は○○市だったのに対し、引っ越しした後の管轄は△△市となる事と同様に、会社の登記を管轄している法務局にも管轄内と管轄外があるのです。本店移転登記の場合、同じ管轄の区域の中で移転する場合と、管轄外となる法務局が管轄している区域に移転する場合の2つの例があります。この時、管轄内か、管轄外かによって手続きの内容が異なりますので、ご紹介しておきたいと思います。

  • 管轄区域内の移転
    この場合ですと、本店と移転した所で、管轄している法務局に変更はありませんから、移転した新しい本店所在地の登録を、管轄している法務局にて変更の申請を行う事になります。
     
  • 管轄区域外の移転
    次に、管轄外に移転をする場合についてですが、管轄が変わりますので、管轄内と少し違いがあります。管轄区域外に移転する場合、移転前に管轄していた法務局に対し、本店移転登記を行います。また、更に移転する先の新しい場所を管轄している法務局においても、本店移転登記を行う事となります。ただし、この登記申請書の提出に関しては、2か所に提出しますから2部必要ではありますが、旧所在地の管轄法務局に、その2件分をまとめて提出すれば良い事になっております。この理由としては、新しい管轄の法務局に、旧管轄の法務局が書類を送付してくれるからです。ですから、旧と新の法務局、それぞれに提出をしに行くと言う手間はかかりません。

2-3. 管轄内・管轄外での定款変更はどうなるか?

ここまでも解説させて頂いたように、会社の設立をする際には、必ず本店所在地が必要です。そして、その際には、定款に必ず本店所在地を記載する事になっております。では、本店移転登記を行う場合、本店所在地に変更があるわけですから、定款も変更になるのではないか?と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?この場合、定款の変更が必要な場合と、必要とはならない場合があるので、ご説明させて頂きます。

例えば、東京都の場合ですと、特別区(東京23区)と、政令指定都市(市まで)においては、最小行政区間となる市区町村までを記載すれば良い事になっています。ですから、定款に記載してある本店所在地が「本店を東京都千代田区に置く」となっているのであれば、同じ千代田区内の移転登記となる場合、定款を変更する必要がないと言う事になるのです。ですから、会社設立の際に、本店の移転登記がある可能性がある場合には、○○番地や、△△号まで記載せずに、最小行政区間となる市町村や、東京都の場合であれば特別区と政令指定都市(市まで)を定款に記載しておくと、その中で移転するのであれば、定款を変更する必要はありませんから、定款を作成される際にも、この事を頭に入れた上で作成される事をオススメ致します。ただし、将来的にも、絶対に移転はないと思われるようでしたら、細かな詳細まで定款に記載しても問題はないでしょう。

また、合わせて注意して頂きたいのが、「株式会社」の場合、定款を変更する必要がある際には、株主総会の特別決議と言うものが必要となってきます。出席した株主の3分の2以上の賛成が求められますので、こちらも合わせて頭に入れておくと良いでしょう。更に、取締役会では、本店移転をする日を決定する事になりますが、取締役会を設置されていない場合は、取締役の過半数が一致して決議を行う事となります。

こちらも合わせてお読みください。
会社の定款ってどんなもの?定款・電子定款について総合的に解説

2-4. 本店移転登記の手続きと費用について

では最後に、本店の移転登記に関する手続きと、費用面について解説させて頂きます。

管轄区域内の移転
まず、法務局に出す「登記申請書」を準備し、定めに沿って作成を行います。この申請には、登録免許税と言う税金がかかり、収入印紙として3万円がかかります。また、定款の変更が必要な場合ですと、会社法施行規則第72条によって、株主総会議事録の添付が必要とされています。更に、取締役会にて場所の定めをした場合には、会社法施行規則第101条によって、取締役会議事録を添付する事となります。

管轄区域外の移転
管轄の区域外に移転される場合には、上記に合わせて以下の物が必要となります。

・新本店地の所在地を管轄している法務局に、登記申請書類と、登録免許税として収入印紙3万円分。
・新しい法務局にて、印鑑登録を行う為、印鑑届書を提出したのち、印鑑カードの交付を受ける。

以上の事からお分かりの通り、管轄区域内の場合では、必要とされる書類も限りがありますが、管轄外となると、それらと合わせて別途求められる物が増える事になります。また、管轄外の場合には、旧と新の、合わせて2か所分の申請が必要ですから、登録免許税も倍の6万円かかる計算となっております。

まとめ

以上が、本店移転登記における詳細となっております。ご自身で手続きを行う事も可能ですが、多忙な場合や、不安がある場合には、本店移転登記を代行してくれる専門家がいますので、そちらに依頼される事をオススメ致します。

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