【第2回】シニア起業で勝ち組になる秘訣〜仕事経験を見える化してコンサルタント業開業!生涯現役でしっかり稼ぐノウハウ教えます!〜

ポイント
  1. 50歳代が遭うかもしれないリストラ
  2. 自分の年収と能力の差
  3. 能力開発の必要性

目次 [非表示]

定年を目前に50歳代をどう生きるか

リストラ(雇用調整)のプロセスと加算退職金のいわれ

シニア起業支援家 白根陸夫です。この記事は平成7年(1995年)創業以来23年超、一貫して再就職支援のパイオニアとしての経験から、中高年齢者の定年後の「生きがい」「遣り甲斐」「望み通りの収入を生涯に渡り得る」の三拍子そろった仕事を自らで創造し、セルフ・マーケティングで市場を開拓し、充実した「生涯現役」を実現する方策を伝授するために著わしたものです。


新卒一括採用(正社員/プロパー社員/生え抜き社員という)、終身雇用、年功序列賃金が大手企業の特徴です。製造業中心の産業構造において、右肩上がりの経済環境で醸成されてきた人事制度です。一旦大手企業に入りさえすれば、一生ご安泰、転職など考えもしなかった時代が長く続きましたが、今や産業構造は一変、国際化、工場は地産地消のメリットを生かすべく製造業は海外へ移転、国内は空洞化しサービス業が中心となりました。

少子高齢化の影響で国内市場は縮小の一途。消費は伸び悩み、売上は伸びなくなりました。終身雇用と年功序列賃金体系は表裏一体です。滅私奉公し定年退職時まで同一会社に在籍し退職金をもらって始めて元が取れる賃金制度です。

ところが経済環境が激変し、売上は伸びなくなっても利益額は伸ばし続けなければなりません。経営は「売上-目標利益=経費」です。目標利益を先取りしますから、残った経費を何とかしなければなりません。経費は固定費と変動費で構成されます。経費削減を図るには資材購入費、外注費、交際費、光熱費、旅費交通費、残業代など変動費を一律10%削る等の施策を展開しなんとか辻褄合わせをします。

じっと我慢の時期を過ぎ、景気がよくなり売り上げが伸びてくれればいいのですが、構造不況業種であればそうはいきません。さらに経費を削る必要に迫られます。人件費が最大の固定費です。ここに手を付けざるを得ません。

日雇い(日ごと契約更新)⇒パートタイマー(一か月ごと契約更新)⇒派遣(三か月ごと契約更新)⇒契約社員(6ヶ月又は12ヶ月ごと契約更新)⇒嘱託(12ヶ月ごと契約更新)の順序に契約満了をもって更新をしないことによって人件費削減を行います(雇止めという)。

最後の最後に正社員の希望退職者募集をもって帳尻合わせをします。これがリストラです。

希望退職者募集では高額の加算退職金を上乗せしますので、原資が必要です。したがって景気のいい会社ほどリストラをする傾向にあります。構造不況業種に限りません。リストラは経営者の専権事項です。「うちは業績がいいから安心だ」は禁物です。いつ突然リストラが始まるかわかりません。つねに有事即応の態勢で十分注意してかかる必要があります。なぜ「加算退職金」を支払うかは定年までいて始めて元が取れる年功序列賃金制度が原因です。

ITやAIのない時代の製造業では技術、技能の習熟には長期間要しました。先輩の持つノウハウ・スキルを次世代に伝承することは上司の日常の指導(OJT)によって行われていました。人材養成には長期間要することから年功序列賃金が労働者の意識を一社懸命にすることに好都合でした。どこの会社の就業規則にも「当社は終身雇用を保証する」とは書かれていません。

しかしながら正社員はいったん採用されたら定年退職時まで会社はよほどのことがない限り指名解雇はしません(指名解雇:あなたは勤務成績がよろしくないので辞めてくれということ)。その代わり正社員は愛社精神を持って忠実に定年まで勤め上げます、転職などいたしませんという暗黙の了解のもとに就業を始めます。

正社員採用を新卒でのみ充足する大手企業では製造業のみでなく、全業種においてこのことは今でもいささかも変わっていません。この約束を会社からいっぽうに断ち切るのがリストラです。次の表を見れば一目瞭然です。

図の説明:終身雇用/年功序列の仕組み
22歳から60歳まで一社に勤務することでA=Bとなってはじめて元が取れる。だから永年勤続が実現する。リストラの加算退職金は清算金、或いは手切れ金と理解できる。

役職定年満55歳-新卒入社年齢満22歳=33歳。よって賃金の伸びが能力を超えると考えられるのが22歳+(33歳÷2=16年)=満38歳。この時点で営業・管理部門系統で管理職(課長・部長)に就けなかった者、技術・製造部門系統で管理職相当の専門技術職(主幹・技師等、課長/部長相当職位)に就けなかった者は原則として全員リストラ対象者(勧奨退職対象者)なのです。これが冷厳な現実です。

◆退職金については諸説あり:賃金後払い説のほか、永年勤続功労報償的なものとか・・・。

年功序列賃金の実態を見る

年功序列賃金の典型的な例を統計から読み取ることができます。(一社)日本経済団体連合会/(一社)東京経営者協会は従業員の定期給与(月例賃金)の実態と動向を把握し、今後の賃金対策の参考とするために、1953年(昭和28年)から毎年「定期賃金調査」を実施しています。2107年1月26日発表の「2016年度定期賃金調査結果」から抜粋します。

調査対象:経団連企業会員及び東京経営者協会会員企業1,919社。調査時期:2016年7月~8月31日
回答状況:集計企業数395社(製造業53.2% 非製造業46.8%。従業員500人以上規模79.0%)

(1)学歴別の標準者賃金※1

標準者賃金を学歴別にみると、全ての区分で年齢・勤続年数が上がるにつれて賃金額が上昇し、55歳でピークを迎えた後、役職定年制などの影響によって下降する傾向がみられる。

※1 学校卒業後直ちに入社し、引き続き在籍している従業員(標準者)で、設定された条件(学歴、年齢、勤続年数、扶養家族)に該当する者の1ヶ月あたりの所定労働時間内賃金


表:(一社)日本経済団体連合会「2016年度定期賃金調査結果」より

(2)役職者賃金(実在者)※2

役職別に実際に支払われた額をみると、部長(兼取締役)(995,292円)、部長(698,489円)、部次長(602,613円)は15年調査より増加した一方、課長(535,698円)と係長(401,609円)は減少となった。平均勤続年数について、「部長(兼取締役)」(23.1年)が部長(25.2年)を下回っている傾向がみられるが、同様の傾向は2012年から続いており、これは社外からの人材登用が行われていることが主な原因として考えられる。
※2実在する役職者の平均所定労働時間内賃金


表:(一社)日本経済団体連合会「2016年度定期賃金調査結果」より

(3)高齢者の継続雇用後の賃金を推計する。
「高齢者の継続雇用に関する実態調査」中段には次のような調査報告があります。
◆継続雇用者の84.9%は「仕事の質」に満足するも、「賃金」については、満足に肯定的な回答が44.0%と半数を下回っている。≪従業員調査≫
◆定年時と比べた賃金(所定時間内賃金)については、定年時を10割とした場合の比率は、「5割~6割未満」(23.3%)と「6割~7割未満」(22.6%)が多くなっている。≪事業所調査)

実際にはいくらになるか「2016年度定期賃金調査結果」をもとに推定しました。


表:(一社)日本経済団体連合会「2016年度定期賃金調査結果」を元に筆者集計

60歳時標準者賃金と比べると継続雇用者の賃金は28歳~32歳~36歳に相当すると考えられます。正社員はこのほかに年2回の賞与(夏/冬で4か月程度)がありますが継続雇用者は非正規雇用者となりますので原則として支給されないものと考えておくべきです。 この賃金調査は日本の法人数592万7千企業のうちトップ企業群1,919社を対象としたものです。継続雇用契約時に提示される額がいくらなるかは自社の標準者モデル賃金から想定することができます。

こちらも合わせてお読みください
シニア起業で勝ち組になる秘訣〜改正高齢者雇用安定法の概要〜

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著者プロフィール

白根陸夫

白根陸夫

自分らしく働き生涯現役で活躍するための「顧問塾」主宰 株式会社キャリア・ブレーン 代表取締役 プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー® エイジング・アドバイザー®/認定エグゼクティブ・コーチ 人材能力開発・雇用創造支援(業)日本におけるキャリア形成のパイオニア。 「生涯現役」を全うするための、独創的で最強のノウハウを提供しています。 日系・外資系企業数社を経験し、人事・総務並びに関連業務に関する豊かな経験と知識を蓄積。その間、社会保険労務士、産業カウンセラー、行政書士等多数の資格を取得。株式会社キャリア・ブレーン設立後、再就職支援サービスとキャリア・カウンセリングを数多く実施。アウトプレースメントビジネス立ち上げのコンサルティングの実績も豊富。 就職・転職ノウハウを確立した本邦における第一人者である。(外資系アウトプレースメント会社の日本での立ち上げ6社にノウハウを提供) 1996(平成8)年8月、株式会社キャリア・ブレーン設立、代表取締役に就任。2000(平成12)年8月、NPO/特定非営利活動法人 日本プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー協会を設立。理事長に就任。 2008(平成20)年11月、NPO/特定非営利活動法人日本エイジング・アドバイザー協会を設立。理事長に就任。