【第4回】シニア起業で勝ち組になる秘訣〜高年齢者の「生きがい、働き甲斐」を考える〜
- あなたが働く理由を考える
- 企業は「あなたの生計のため」に雇わない
- 高齢化をデータで目の当たりにする
シニア起業支援家 白根陸夫です。この記事は平成7年(1995年)創業以来23年超、一貫して再就職支援のパイオニアとしての経験から、中高年齢者の定年後の「生きがい」「遣り甲斐」「望み通りの収入を生涯に渡り得る」の三拍子そろった仕事を自らで創造し、セルフ・マーケティングで市場を開拓し、充実した「生涯現役」を実現する方策を伝授するために著わしたものです。
ここで平成25年(2013年)3月28日東京都産業労働局発表の平成24年度(2012年)中小企業労働条件等実態調査「高年齢者の継続雇用に関する実態調査」結果について紹介します(東京都HP)。
高年齢者雇用安定法は平成16年(2004年)に改正され、65歳までの安定した雇用を確保するため、継続雇用制度の導入等による雇用確保措置を実施することが平成18年(2006年)4月から義務付けられています。
さらに、平成25年(2013年)4月1日からは、希望者全員を継続雇用制度の対象とすること等を定めた改正法が施行されます。 東京都では、高年齢者の継続雇用に関し、その働き方の実態と労使双方の意識を把握するために、調査をしました。このほど、調査結果がまとまりましたので、お知らせします。
◆調査結果のポイント高年齢者雇用確保措置を実施している事業所は93.5%
◆継続雇用制度の基準がある事業所のうち労使協定を締結しているのは73.9%
・93.5%の事業所が、「継続雇用制度の導入」「定年の引上げ」「定年の定めの廃止」のいずれかの措置を実施している。特に「継続雇用制度の導入」を実施している事業所は86.1%であった。《事業所調査》
・継続雇用制度の対象となる労働者に係る基準があるとした事業所のうち、「労使協定を締結している」事業所は73.9%であった。《事業所調査》
・定年到達者のうち、継続雇用された人は65.8%、継続雇用を希望しなかった人は26.8%、継続雇用を希望しても採用されなかった人は3.0%であった。《事業所調査》
・「定年後に継続雇用で働こうと思った理由」については「生計の維持のため」が69.3%と多かった。《従業員調査》
◆継続雇用者の84.9%は「仕事の質」に満足するも、「賃金」に満足しているのは44.0%
◆定年時と比べた賃金は、「5割以上6割未満」と「6割以上7割未満」が多い
・定年後の継続雇用での働き方について、満足に肯定的な回答が最も多かったのは、「仕事の質」で84.9%と8割を上回っている。「賃金」については、満足に肯定的な回答が44.0%と半数を下回っている。《従業員調査》
・所定時間内賃金について、定年時を10割とした場合の比率は、「5~6割未満」(23.3%)、「6~7割未満」(22.6%)が多くなっている。《事業所調査》◆若年者の雇用への影響については、従業員の意見が分かれている
◆高年齢者雇用の課題として、「若年者の採用を抑制せざるを得ない」は36.4%
・「高年齢者の雇用確保策の拡充が若年者の雇用に悪影響を与えるか」については、「そう思わない」が37.3%、「そう思う」が32.4%、「どちらとも言えない」29.7%と意見が分かれている。《従業員調査》
・高年齢者を雇用することによる課題については、「能力や体力の個人差による雇用リスク」が48.2%と最も多く、「若年者の採用を抑制せざるを得ない」が36.4%と続いている。《事業所調査》
同調査では、定年後の継続雇用者が「定年後に継続雇用で働こうと思った理由」については「生計の維持のため(69.3%)」が突出して多くなっており、以下「健康の維持のため(36.1%)」「社会とのつながりがほしい(30.2%)」となっている。「生計の維持のため」「将来に備え蓄えたい」「培ったノウハウを次世代に継承したい」では男女差が大きかった。<「その他」の具体的な記述内容(抜粋)>・妻の勧め・家にいてもやる事がない・仕事が面白い
図1:東京都産業労働局「平成24年度 高年齢者の継続雇用に関する実態調査」より
さらに、継続雇用後についての考え(N=205 3つまで回答 <男性N=155,女性N=45>)では「出来るだけ仕事を続けたい(61.0%)」が最も多く、以下「趣味で自分の好きなことをしていく(58.5%)」「家族との関係を中心にしたい(52.2%)」「地域社会とのかかわりを持ちたい(33.2%)」となっている。
図2:東京都産業労働局「平成24年度 高年齢者の継続雇用に関する実態調査」より
図3:あなたは、何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいですか
まだまだ中高年齢層が少なかった時代の平成25年(2013年)3月28日東京都産業労働局発表の調査結果はかなり楽観的といってよいでしょう。しかしながら今後、人口に占める中高齢層は年を追って急増していきます。そうなると総人件費管理と組織の活力維持の要請から「生計の維持のため」「働けるうちはいつまでも働きたい(注)」という自己中心的な働き方をする継続雇用者に対して、年契更新時に雇う側から新たな条件提示がなされることは明白です。
提示される条件は年々厳しくなっていきます。目標達成のために利益を成長の源泉とする企業は利益創造のために働く者を必要としているのであり、生活費稼ぎの者のために賃金を払っているゆとりはないからです。50歳代の働き盛りにもこういう考えで働いている者にはいずれ雇い主から何らかの勧奨があって不思議ではありません。換言すれば「ここに商機がある!」のです。
大多数の中高齢者たちがこのような自分本位の意識で働いている現状においては、利益創造力のある者は年齢に関係なく「稼げる人材」としてすべての「経営者から引っ張りだこ」だということです。現組織で売り込むもよし、組織外に飛び出して売り込むもよし、年齢に関係なく「働けるうちはいつまでも辞めてもらっては困る人材」なのです。だから「望み通りの収入を得られる仕事」が経営者から用意されるのです。プラス思考で考えることによって活路はいくらでも拓くことができるのです。
注:内閣府平成28年版高齢社会白書 高齢者の就業(1)高齢者の就業状況 ア就労を希望する高齢者は約7割 ★60歳以上の高齢者に何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか聞いたところ、「働けるうちはいつまでも」が28.9%と最も多く、次いで「65歳くらいまで」「70歳くらいまで」がともに16.6%となっており、就労を希望する高齢者の割合は71.9%となっている。「仕事をしたいと思わない」と感じている高齢者はわずか10.6%。
国立社会保障・人口問題研究所は、平成27年(2015年)国勢調査の確定数が公表されたことを受けて、これを出発点とする新たな全国人口推計(日本の将来推計人口)を行い、 平成29年(2017年)4月10日にその結果を公表しました。序文では「わが国は現在、人口減少社会への道を緩やかに歩み出したところであるが、今後は加速的な人口減少と世界に類を見ない高齢化という事態に直面して行く。今回の推計結果はそうした人口の将来像を詳細に描き出している。これらの結果が各方面において真剣に受け取られることを望みたい。
ただし将来推計人口とは、けっして確定した運命を示したものではない。それはこの社会がこれまで進んで来た方向に進み続けたときに帰結される人口の姿であり、将来推計人口とは真に実現したい社会と現状との距離を測るための測距儀にあたる。どちらの方向に進むかはわれわれに託されているのである。」と述べている。
推計結果の概要 2.年齢3区分別人口規模および構成比の推移 (3)老年(65 歳以上)人口および構成比の推移では、老年(65歳以上)人口の推移は、平成27(2015)年現在の3,387万人から、平成32(2020)年には3,619万人へと増加する。その後しばらくは緩やかな増加期となるが、平成42(2030)年に3,716万人となった後、第二次ベビーブーム世代が老年人口に入った後の平成54(2042)年に3,935万人でピークを迎える。その後は一貫した減少に転じ、平成77(2065)年には3,381万人となる。老年人口割合を見ると、平成27(2015)年現在の26.6%で4人に1人を上回る状態から、平成48(2036)年に33.3%で3人に1人となり、平成77(2065)年には38.4%、すなわち2.6人に1人が老年人口となる。
図4:労働力人口比率の推移
日本は2007年から「超高齢社会」になりました。
<えんえんと続く長いトンネル>の入り口に立ったばかり、これから40年間の長きにわたり「超高齢社会」が続きます。
図5~図6:日本人の平均年齢 国立社会保障・人口問題研究所による推計 2013年 45.5歳 2020年 46.7歳 2040年 50.4歳
社会総人口に対して65歳以上の高齢者人口が占める割合を高齢化率という。世界保健機構(WHO)や国連の定義によると、
高齢化率が7%を超えた社会を「高齢化社会」:日本は1970年から
高齢化率が14%を超えた社会を「高齢社会」::日本は1994年から
高齢化率が21%を超えた社会を「超高齢社会」:日本は2007年から(21.5%)
最新データである『平成23年版高齢社会白書』によると、2010年10月時点の高齢化率は23.1%で、今後も日本の高齢化率は上昇傾向が続くとみられ、世界に注目されている。
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