【第7回】シニア起業で勝ち組になる秘訣〜老後破産を逃れる唯一の途~生涯現役とは~
- いろいろな働き方
- 経営者が雇いたい人材
- 定年後に適した働き方
シニア起業支援家 白根陸夫です。この記事は平成7年(1995年)創業以来23年超、一貫して再就職支援のパイオニアとしての経験から、中高年齢者の定年後の「生きがい」「遣り甲斐」「望み通りの収入を生涯に渡り得る」の三拍子そろった仕事を自らで創造し、セルフ・マーケティングで市場を開拓し、充実した「生涯現役」を実現する方策を伝授するために著わしたものです。
公的年金額-生計費=赤字がわかっているで、退職金を使い果たした時点で老後破産を来すことが確実に予想できます。「働けるうちは働く」ことによって老後破産を防ぐことができます。企業に勤める中高齢者は「働く」ことについてどのようなイメージを持っているでしょうか。人に使われることしか頭に浮かばないのではないでしょうか。
人に使われるとは会社や商店で働き、毎月一定額の給与を受け取るという労働形態です。60歳、或いは65歳で新たな働き口を見つけることが可能かどうか。転職/再就職活動する中高年齢者が求める雇用形態は正社員です。これまでの経験から安定した雇用が保証される正社員で採用されたいと漠然と考える人がほとんどです。長年「再就職支援サービス」に携わってきての実感です。
では雇用形態にはどんなものがあるか一覧します。
期間の定めがなく雇用される者をいう(終身雇用制度。整理解雇四要件で雇用は厳重に守られている。ただし、60歳定年をもって退職)
……正規採用者又は若年層の中途採用者。月給制、賞与あり、定期昇給あり(年功序列賃金)、退職金あり、手当あり、福利厚生制度あり。
50歳代以降の転職・再就職者は特例を除き正社員で採用されることはありません(定年間際又は定年を過ぎているからです)。現実には、このことを理解しないで正社員採用を条件に転職先を探している人が大勢おります。本人は一生懸命ですが時間だけ経過し成果はまったく上がりません。したがって、高年齢者が転職・再就職する場合はすべて非正規社員で採用されます。
有期限定の契約をもとに就労する者(五種類あり)
①日雇い:契約日数1日(引越要員、イベント要員など。時給のみ)
②パートタイマー:契約期間(1ヶ月更新が多い。時給のみ)
③派遣社員:契約期間(3ヶ月更新。時給のみ)
④契約社員:契約期間(6ヶ月又は12ヶ月。時給又は日給)
⑤嘱託:契約期間(12ヶ月が多い。時給又は日給、その他個別条件)
①~⑤までの非正規社員は大きなリスクを負っての就業となります。契約更改がなされない場合、次の仕事を探さねばなりません。極論すれば働き始めたその日から次の仕事探しをしなければならないことを一生続けることとなります。
時給の下限は当地の最低賃金額、全国最高値は東京・時給958円(平成29年10月1日現在) 。958*8h=7,664/日額 7,664*21=160,944/月額 1,931,328/年額 となります。通勤手当さえ支給されない条件も多いのです。
「好きな時、好きな仕事を選んで仕事ができる」が非正規社員のメリットですが、募集する側からみれば「必要な時に、必要な期間雇い、不要になったら雇止め」の助っ人労働者という位置づけとなります。労働者の加齢とともに就業できる機会が極端に少なくなるのも怖いことです。
⑥継続雇用制度に基づく非正規社員(時給または日給、その他個別条件)
……60歳定年後、本人の希望による。年契約方式、契約更改は5回まで。名称はパートタイマー、契約社員、嘱託社員等。
……急速な高齢化の進行に対応し、高年齢者が少なくとも年金受給開始年齢(満65歳)までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備を目的として「高齢者等の雇用の安定に関する法律(高齢者雇用安定法)」の一部が改正され希望者全員を継続雇用制度の対象とすること等を定めた改正法が平成25年(2013年)4月1日から施行されました
「働けるうちは働く」という考え方は「生活費稼ぎ」のために働くことを意味します。自己本位で雇う側の都合を考えない一方的な考えです。あなたが経営者であれば「生活費稼ぎ」の人を雇いますか。企業は組織の一形態です。組織には必ず拠って立つ理念(創業の理念)があります。その理念に共鳴し、組織メンバー(経営者+従業員)が一致協力して理念を具現化するため情熱をもって業務を遂行する人以外は要らないのです。
このことが分かったうえでの「働けるうちは働く」人には就労のチャンスがあり、生計費稼ぎの「働けるうちは働く」人には短期就労以外の仕事はないのです。雇うのは経営者です。このことはあなたが経営者の立場になってみれば自明の理です。短期間就労=非正規労働者の賃金は時給です。賃金を増やそうとすれば長時間労働をせざるを得ません。ダブルワーク(バイト掛け持ち)は若者しかできません。体力的にきつい仕事は長続きしません。加齢とともに就業できる仕事の種類は限られたものになってきます。
「働けるうちは働く」を実現するには、働くことについて意識改革が必要です。大手企業で終身雇用、年功序列のもとで、定年まで勤め上げた人にはこの考え方を持っている人は少ないのが現状です。換言すれば意識を変えるだけで輝く未来を拓くことができるのです。ここに商機があるのです!
中高齢者の強みは知見に裏付けられた知恵と経験です。この二つは若者には決して負けません。自分の「強み」を欲している経営者に売り込むことによって急増する中高年層の中でもとりわけ選択された人材として活躍することができます。
知見に裏付けられた知恵と経験がウリのあなたを経営者は「非正規社員として」いくつまで雇うでしょうか。これも自身が経営者の立場で考えたとき、せいぜい70歳が限界ではないでしょうか。本人は元気です、やりますと言ったとしても、肉体的な衰えから勤務中や通勤中に万一事故に遭遇するような恐れを考えると、60代の中高年の求職者も多くいることでありムリして雇用を継続することなくこの機会に代替わりをという気になるでしょう。
経営者は、事故等を起因とする業務の停滞、それによって惹起される経営に対する顧客からの信用失墜を極めて重視します。会社経営に支障をきたすリスクを無くすことは経営者の責務です。他人に使われることはいくら元気でも限界があるということです。あなたも、決められた時間帯に決められた曜日で人に使われるということを潔しとしない気持ちが加齢と共に強くなっていくでしょう。
もう少し自分の意思でやりたい仕事を自分の希望する曜日や時間でのびのびと取り組んで、しかも「あなただけにしかできないから、あなたにお願いしたい」という経営者と一緒に働きたいと思いませんか。このような関係であればこそ「生きがい、遣り甲斐」を実感することができ「働けるうちは働く」ことができます。それが自営業です。中高齢者に独立起業(法人化)は勧めません。元手をかけず安全確実な、原価率が低く、安定的な収益が見込める事業はないものか考えていきます。
自営業者は個人事業主です。株式会社等の法人を設立せずに自ら事業を行っている個人をいいます。雇用されている者(ビジネスパーソンのこと)は個人事業主ではありません、継続的業務請負(下請)や資を納入する業者、販売代理店など、雇用でない契約によって他者の事業に従属する者はあくまで独立の経営体であり、それが法人でなければ個人事業主となります。つまり、個人事業主とは、会社経営者でも、雇用されている者でも、公務員でも、アルバイトでも、無職でもない者の総称ということができます。
例えば、「白根商店」等の屋号をつくり、税務署に開業届をした時点で個人事業主となります。個人事業主は、12月31日を決算日として収支決算をまとめ、原則、翌年3月15日までに所得税の確定申告を行います(15日が休日の場合は次の営業日)。一般に個人事業主には所得税の他、個人住民税、個人事業税及び消費税が課されます。
第8回はこちら
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