伊藤 健太
株式会社ウェイビー 代表取締役CEO
中川功一 
大阪大学大学院経済学研究科 准教授

イノベーションの真髄はPPAP!?既存の二つを組み合わせることで生まれる化学反応が社会を変える!

ポイント(この記事は8分で読み終わります)
  1. イノベーションってなに?定義や型はあるの?
  2. 課題思考的な人間になるために必要な共感力
  3. 多面的に物事を捉えることで見えてくる社会課題
  4. イノベーターを育てるために必要なリスク管理
  5. 5.これからイノベーションを起こす全ての人に伝えたいこと

中川)大阪大学からきました中川功一と申します。私は、イノベーションを学問として扱うということを志しまして「アカデミーの力を現場に!」ということをモットーに活動しています。

多くの方が感じていると思いますが、偉い先生が話していることほど抽象度が高く、明日を生きる知識にはなりにくいというイメージがあると思うんですよ。私はこれが問題だと思うんです!たとえば会計学は、100年以上昔の人がどうやってお金を管理すればいいのかわからなくて、ちゃんとそれを学問として落としこもうという観点から発展してきたものです。同じように、どうやったらものが良く売れるのか考えた結果がマーケティングだったり。経営学の分野って、現場に困っている人がいて、それを解決していこうという考えで学問が発展してきたんです。なのに、学問から現場にフィードバックする際に、あまりにも複雑だったり抽象的だったりして「どうだ?お前らわからないだろ!」「わかるようになったら話をしてやる」という姿勢で、学者が話していることが問題なんです。

なので、とりわけ難しい言葉は使わずに、「明日の力になるための学問」を、私は伝えていきたいと思っています。

イノベーションってなに?定義や型はあるの?

伊藤)イノベーションって、いろんな人がフワッとした概念を持っていると思うんですけど、平たく言ったらイノベーションってどんなものだと考えますか?

中川)「イノベーションとは新結合、つまりニューコンビネーションである」と、100年くらい前のイノベーション学の父・シュンペーターが定義しています。それはどういうことかというと、ピコ太郎のPPAPと一緒なんです!これがイノベーションの真髄なんです!

PPAPポーズで解説をする中川先生

例えば、近年の偉大な発明の一つがGoogle検索ですけど、これも言語の解析アルゴリズムとインターネットをコラボしただけなんですよね。ヒーロー×あんぱん=アンパンマン、今日本で世界的に成功している「ベビーメタル」というバンドもアイドルとヘビメタの融合から生まれています。

既存の二種類のものを組み合わせたときにイノベーションが起こる」、これがイノベーションの定義です。

でも、イノベーションというのは、第一には個人の栄達です。そこにある根源的な欲求は「有名になりたい!」「お金持ちになりたい!」「なにか社会に爪痕を残したい!」などでいいんだと思うんです。その結果、世の中で必要とされているものが充実していって、社会が少しずつよくなるわけです。それは科学的にも厳密に検証されていることで、唯一、国の経済成長度を決めているのはイノベーションの度合いなんです。どれくらい野心を持って、イノベーションにチャレンジした人がいるかによって、経済成長率は変わってくるのです。

伊藤)原動力は自分のためであっても、結果として社会に貢献されているということですね!結局、目の前のお客さんを、今・未来を含めて、最大に喜ばすことが結果としてうまくいくことなんですよね。

中川)これは科学的に検証されていることなんですけど、結局のところ売り上げを上げようと思った時、どういう態度で商売をすれば一番儲かるかというと、「社会ニーズに対応すること」なんです。現状の社会をみて、そこに問題を何も発見できないとそれは「起業の種」にはならないんですね。

私がお会いした、ありとあらゆる起業家の方は、ある意味、社会に対して批判的でいらっしゃるんです。それは単に不満を持っているとかっていうことではなく、皆さんが世の中にいろんな問題を発見しているというのは、それはまさしく顧客志向だというか、課題志向なわけです。

例えば、インドの街中でバイクに乗っている夫婦を見たとします。「とっても素敵だな」とか「インドって女性の地位が低いんだよね」ということではなく「この奥さんが着ているサリー(※インドの女性が着る裾が長いドレス)が、タイヤに巻き込まれたら危ないんじゃないの?」という問題意識を持つとします。するとそこから「タイヤの後ろにサリーガードをつけてみよう!」という発想が生まれるわけです。たかだか金属の棒をぐにゃっと曲げただけの品ですが、インドでは年間1000万台くらいのバイクが売れるわけですから、このサリーガードがそのうちの数100万台くらいに着くと考えると、商売として成り立つわけです。結果、このサリーガードを売った会社はインドで大成功しているんです!

サリーを着てバイクに乗るインドの女性

科学者の立場からすると、課題を発見する能力が優れている方が成功するイノベーターの条件だと思います。それはつまり、お客さんや社会にどういう課題があるのかということを常に考えており、結果としてそうした力が鍛えられている人だということです。

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著者プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

株式会社ウェイビー 代表取締役CEO

中卒ながらもとても頭の良い父と、少しグレていたけど人の王道を教えてくれた母親のもと、1986年11月21日生まれ。 慶應義塾大学3年時にリクルート主催のビジネスコンテストで優勝し、23歳の時に病気をきっかけに小学校親友4名、資本金5万円で起業。 起業当初お金がなさすぎて、カードで借金生活を送る。お金がなかったため、知恵を絞った伊藤独自のマーケティング手法を多数考案。 8年間で、累計10,000件を超える起業、起業家のアクセラレーションに関わるようになり、日本屈指の起業支援の会社と言われるまでに成長。 月間20万人以上の商売人をお助けしているポータルサイト「助っ人」や全国500人以上の商売人が参加している、世界で一番お客様を喜ばす商売人輩出のアクセラレーションコミュニティー「チャレンジャーズ」を主宰。 2016年末に、世界経済フォーラム(ダボス会議)の若手リーダーとして日本代表に選抜。 全国の小中高校への出前授業や、次世代の教育の在り方を問うシンポジウムなどを開催。 最近では、地方自治体の首長からご指名をいただき、起業家の力で地方にイノベーションを起こすべく、徳島県美馬市、熊本県人吉市、三重県伊勢市、千葉県銚子市などと取組を開始。 元LINE社長の森川亮氏推薦の「起業家のためのマーケティングバイブル」など著書5冊。 NHK、日経新聞、エコノミスト、夕刊フジ、日刊工業新聞、CCTVなどメディア出演多数。

中川功一 

中川功一 

大阪大学大学院経済学研究科 准教授

大阪大学大学院経済学研究科 准教授 1982年生まれ 東京大学大学院経済学研究科博士課程修了 経済学博士(2009年) 専門はイノベーション・マネジメント、経営戦略論、国際経営論。 ■主な業績 1)Balancing formal and social influences toward organizational cultural crossvergence.EAMSA Best Paper Award 2016. 2)Should Japanese Multinationals Change their Original Business Style in Emerging Markets? AJBS Best Paper Award 2016. ■著作 テキストブック『はじめての国際経営』有斐閣,2015.好評発売中 ■教育活動:イノベーション、変革の種を撒くことをライフワークとする。大阪大学、立命館大学、BOND-BBT MBA、日本生産性本部、各種企業研修等でイノベーション、経営戦略改革の実践的手法の教育・指導にあたる。