【第21回】シニア起業で勝ち組になる秘訣〜シニア起業支援家白根陸夫が添削指導したレジメ見本を公開
- ホワイトカラーの「売り」は業績のみ
- 三つの禁句
- 業績を強調する言葉
前稿ではシニア起業支援家白根陸夫が指導する7点のワークシートを使ってのセールスツールづくりのプロセスを解説しました。この作業の成果物はレジメ(履歴書・職務経歴書)、添え状(標準型/DM型)、「事業案内」の三点です。
本稿ではレジメ見本を公開します。
顧問契約締結に成功するには、先ず書類審査に合格しなければなりません。求人サイト(有料人材紹介会社)の公募では採用人数枠1名のとき、応募者は200名を超えることは、ざらにあります。この場合、書類審査で10名に絞られます。経営者が一目で見て「この人材は使える、この人材にぜひ会いたい」と思わせる履歴書・職務経歴書を作らなければなりません。しっかりとした自己能力・経験の棚卸による自己理解は同時に合格面接対策となります。
顧問応募にあたり、ホワイトカラーの「売り」は業績のみと極論できます。顧問先での定着(更新契約の継続)の秘訣は「三つのさよなら」。即ち①大企業意識、②肩書、③学歴の三つをすべて捨て去る意識改革が必要です。この三つを無くしたら何が残るのでしょうか。業績のみなのです。
業績を如何に相手に分からしめることができるかが、売れる履歴書・職務経歴書づくりの秘訣。業績記述具体例とはどういうことでしょうか。一生懸命という文学的表現は何の説得力も魅力もありません。お互いに一生懸命仕事をしていると思い込んでいる者同士では、この言葉は意味をなさないからです。売れるキャリアとは、自分は人に比べて人一倍利益を上げることが如何に上手かということを売り込むことに他なりません。
「品質は限りなく高く、コストは限りなく安く、納期は限りなく短く、数量は限りなく多く、人数や時間は限りなく少なく」という状態が最大限の利益をもたらすのです。「↑Q(品質)、↓C(コスト)、D(↓納期又は↑数量)、↓時間、↓人数の組み合わせのとき、最大の利益が得られるのである」日々これを実践している者が顧問契約においても成功を掴むことができます。
誰でも組織人はこのことを実践しているのであるが、それを気付き且つ表現する術を身につけていません。シニア起業支援家、プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®は各種ツールを使い、被支援者がこのことに気付くことを援助しています。誰にでも光るもの、宝物をもっている。それに気付いた者が勝つのです。
業績記述具体例とは「○○を△△することによって、□□を※※した」です。いわば誰にでもある成功体験。「Q(品質)、C(コスト)、D(納期或いは数量)、時間、人数」という5つの要素で構成されるますが、できるだけすべての要素が取り込まれたストーリーが理想です。
「一生懸命」
「頑張る」
「忙しい」
といった言葉は意味のない表現。何故なら誰もが一生懸命であり、忙しく頑張っているからです。書類作成上や面接において、使ってはならない言葉です。
経営者が知りたいのは、結果はもちろんのこと、その結果を生みだしたプロセス。「やる気」の強さ、「取り組む姿勢」の程度、「目標を完遂する執着心」の強さ、「利益に対する執念」の強さがそのプロセスの中に潜んでいるのです。成功体験を一読することによって経営者がこれを見抜きます。
上記※※に相当する部分は、下図のビジネスの世界で多用される「業績を強調する言葉」を使用します。
職務経歴書はA-4版2枚で作ります。書式は自由。業績が売りであるので、タイトルは「主たる経験及び達成事項」と直接的な表現とすることが望ましいです。専門分野は4から5が適しています。営業一筋の場合は、チャネル別、地域別、顧客別等に分け、営業ではオールマイティであることを強調します。2頁目は専門分野の他、海外渡航歴、受講歴、講演執筆歴、セールスポイントを記載し、末尾に署名捺印します(これを以て自筆となる)。専門分野は各々要約したうえで、成功体験を記述します。
「職務経歴書」と聞くとほとんどの人は編年体式(時系列)職務経歴書を思い浮かべます。「時系列業務経歴書(ワークシート②)」から転記することによって容易につくることが出来ます。編年体式職務経歴書を経営者が見たらどう感じるでしょうか。大手企業の管理職として大過なく勤続38年間、努力の甲斐あって昇進し、定年を迎えた人という印象をもつでしょうが、オンリーワン人材(日本に一人しかいないキャリアの持ち主)とは評価できません。
大組織で38年の勤続実績ですが、組織人は皆似たり寄ったりの経歴なのです。コツコツ努力し、真面目な人物との印象を受けますが、それだけです。「編年体式職務経歴書」は、就いた仕事の時系列的な変遷は分かりますが、その間に上げた業績が掴めないこと、能力の伸長度合いが分からないこと、どんな能力を強みとするかが分からないこと、これからどんな仕事で企業のために役立ちたいか理解しがたいこと、したがってこの人材が果たしてわが社で使えるか一向に分からないのです。アピール力ゼロの職務経歴書といえます。
50歳代で大企業を退職せざるを得なかった大勢のホワイトカラーが再就職活動を展開しています。顧問先獲得のための売り込みはこれらの者との厳しい競合下で行われていることを念頭に入れる必要があります。だから、あなたの「職務遂行能力」を経営者に十分に理解してもらうように「見える化」が不可欠なのです。
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