【第25回】シニア起業で勝ち組になる秘訣〜中小企業オーナー社長14の悩み

ポイント
  1. 中小企業オーナーへの理解を深める
  2. 顧問招聘の真の目的を知る
  3. オーナーの悩みに答える

目次 [非表示]

顧問招聘の目的は経営上の課題・悩みを経営者一体となって解決すること

中小企業オーナー社長は共通して「経営上の課題・悩み」を抱えています。顧問売込みにあたり、経営者と面談します。そのとき相談される代表的な14の悩みについて、回答を二種類用意しました。回答例を参照しながら自身の実体験を織り交ぜて最適な答えを用意してください。経験にもとづき自信もって前向きに解決に取り組む情熱はきっと経営者に好感をもたれます。

こういう顧問の先生と一緒に仕事がしたいと経営者に思わしめたならしめたもの。契約は目前です。代表的な悩み度の高い順に並んでいます。

①人材 優秀な人材を採用するのが難しい

回答例1-①
これまでに実施されてきた求人活動及び採用方法を検証すると共に、入社後の人材育成方法や人事計画についても見なおすことによって解決できる課題です。私は長年人材育成に携わり、またプロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®の資格を取得しております。いわば人材関連分野のプロです。企画立案にも長けており、ご満足いただける成果を上げることができると確信しております。

回答例2-①
単に優秀な人材というのであれば、今が採用のチャンスだと思います。しかし、他の業界や会社で優れた実績を残した人でも御社で同じように活躍できるとは限りません。ほんとうに御社の方針、社長の考え方を理解できる人でないと社長から見て「優秀な人材」にはならないと思います。又、今在籍しておられる方を優秀な人材に育てることを同時に考えてもよろしいかと思います。

②全般 売上が計画通り伸びない

回答例1-②
まずは、計画自体に問題がないか、という点について見なおすことから始めるべきだと思います。目標とそれを達成する為の具体的な戦術が適切なものであれば、次に現状と計画との間の差はどれぐらいあるか、又その原因は何なのかを特定した上で対策を立てます。更に、その施策を実行した上で、効果があったかどうかについても検証する必要があると考えます。

回答例2-②
売上を伸ばすには製品価格、販促等の戦略や営業部員のモチベーション、業務の進め方等がうまく絡んでいることが必要です。計画通りに伸びないのは何が原因なのかを追究し、改善策を早急に立てなくてはいけません。又、営業部員には計画段階から参加させ、定期的に進捗状況をチェックし、目標に達していない場合はその差を埋める策を検討し、即実行すべきです。

 

③全般 価格競争への対処を迫られている

回答例1-③
安易に価格を下げることが解決方法ではないと思います。他社との差別化を狙い、独自性を活かす方法で問題を解決しようとする姿勢が重要なのではないでしょうか。同じ商品、同じ価格であっても、場合によっては顧客ターゲットや販売ルートを見なおすことが解決につながります。もちろん、最小のコストで最大の利益を生むシステムが整っていることが大前提になります。

回答例2-③
私も今までに在籍した業界で常に価格競争への対応を迫られていました。解決策も様々のことを実施しました。得意先に合わせたオリジナル商品、付加価値商品、各種プロモーション策、又、材料の仕入れ他の経費削減等がありますが、御社においてもあらゆる可能性を検討し最善の策を立てたいと思います。しかし基本的にはお客様に喜んでいただける商品を作り出し、適正な価格で販売することを優先したいと考えます。

④福利厚生 充分な制度の準備をする資金がない

回答例1-④
重要度、緊急度を考慮した上で、今後福利厚生をどのように改善するかを考えるべきだと思います。また現在の制度が活用されているかどうかという点も含めて検討し、新たな資金を準備しなくとも何か打つ手はないか、見直す必要もあると思います。いずれにしても、利益を生む体質の強化が先決であり、従業員へは将来のビジョンを示せばよいのではないでしょうか。

回答例2-④
資金を調達するには、売上をあげ、利益を確保することも必要です。近い将来に、どんな福利厚生を準備するか計画を立て、そのためにはどのくらい売上げ、利益が必要かを従業員にも示すことで、目標達成意欲の向上にもつながると思います。

⑤全般 収益率が改善されない

回答例1-⑤
これまでどのような施策を実行してこられたのかを、詳しくお伺いしませんとお答えしにくいのですが、とりあえず白紙の状態で取り組むとしたら、私であればSWOT分析の手法を使います。その上で、何を優先して実行するべきであるかを見極め、早期解決を目指して確実に一つ一つ、従業員が一丸となって、徹底的に取り組めるように致します。

回答例2-⑤
会社全体、部内毎、商品毎それぞれの目標とする収益率はどのくらいなのか、又、それを達成するにはどんなことをしなければいけないのかを、社員全員に意識させることが必要だと思います。

⑥人材 有能な経営幹部がいない

回答例1-⑥
たとえば、セミナーへの参加等で育成する方法もありますが、本人が意欲を持っていない限り、成長しないものです。経営幹部そのものを入れ替える必要があるかもしれません。私がこの課題を解決する為の具体的方法を提示するには、ABC分析によって幹部の何が問題になっているかを明確にした上で、効果的な対策を講じてゆきたいと考えております。

回答例2-⑥
先ず、社内において、年齢に関係なく経営幹部になり得る人材がいれば登用してもよろしいかと思います。社長の考え方、会社の方針を十分に理解させ、育成するのも一つの方法です。それが難しければ、外部からの起用、入れ替えを考えなくてはなりません。

⑦人材 高齢の従業員が多い

回答例1-⑦
高齢であっても有能であれば、必ずしも問題があるとは言えないと思います。その為に若手が育っていないのであれば、教育計画の充実が必要です。また、年功序列制度が弊害になって、収益を圧迫しているのであれば、新たな人事・賃金制度の導入が不可欠です。従業員全体の働き方・給与体系・人事考課システムなど、総合的な観点での施策を立てるべきでしょう。

回答例2-⑦
将来のことを考えれば、若手の採用、育成が当然必要です。バランスのとれた社員構成を目指し、今から雇用調整計画を立案、実施すべきだと考えます。

⑧人材 従業員の教育・育成に手が回らない

回答例1-⑧
この場合の障害となっているのは経費でしょうか、それとも時間でしょうか。余分なお金を使わずに、すぐにでも取りかかれる方法として考えられるのは、現場教育、OJTです。現在どのような形で実施されているのか存じませんが、部下の育成に効果があると近年注目されているコーチングを導入してみてはいかがでしょうか。コーチングの社内研修講師でしたら、ぜひ私にお任せ下さい。

回答例2-⑧
従業員の教育・育成は非常に大切なことで、常日頃から、又、計画的に行なわれるべきです。社内で担当者を決めたり、予算を組むといったことから始めても良いのではないでしょうか。お金をかけないOJTでしたら、すぐに始められます。そこで何をするのか、目的を明確にし効果が測れるようにすることも必要かと思います。

⑨事業継承 自分が万一のときに、事業の行く末に不安

回答例1-⑨
会社全体で、それぞれのバックアップ体制を整備しておくことが重要だと考えます。これは社長さんお一人のことではなく、全体に係る課題であると思いますが、誰か一人欠けることによって事業が滞ってしまうというのでは、組織とは言えないのではないでしょうか。個人が共に力を出し合い、目的を最も効率よく達成し得る協働能力の育成を図ることも不可欠だと思います。

回答例2-⑨
後継者が決まっているのであれば、日頃から、事業の将来を考え、会社全体のことを理解させておくことが必要だと思います。又、それをサポートできるような体制、組織作りも行なっておくべきです。

⑩事業継承 事業継承者がいない、または育っていない

回答例1-⑩
適材適所への人員配置が業績に大きく影響してくるものですが、事業継承者の選定についても同じことが言えると思います。経営者としての適性、資質、潜在能力など、様々な要素を考慮した上で帝王学を習得していただかなければいけません。ある程度権限を委譲し、身を持って経験を積む機会を提供すると共に、外部の教育機関で学んでいただくことも効果的だと思います。

回答例2-⑩
後継者の候補者になり得る人物(複数であっても)とは、日頃から、共に行動したり、定期的な打合せで十分なコミュニケーションをとっておくことが必要だと思います。その中で事業主として必要な知識と経験を吸収することが望ましいと考えます。

⑪資金 業績不振のため、資金繰りが苦しい

回答例1-⑪
業績不振の原因を早急に特定し、場合によっては、その事業の撤退も視野に入れておく必要があると思います。ここで重要なのは、いつまでに、どの程度好転させなければいけないのかの見極めと、その為に何が出来るか、誰がやるかなどの具体的な対策を実行した場合の効果予測を的確に判断しなければならない、という点です。又、経費削減策も同時並行的に更に推進する必要があります。

回答例2-⑪
業績回復のための策はあるのか、その策を実行する計画はできているのか、が先ず一つの問題点です。販売計画と資金繰りの計画を検討し、現状の延長線上では有効な対策が見つからない場合は思い切った方向転換や、構造改革を考えなくてはいけないと思います。

⑫事業継承 後継者の年齢が若く、経験が不足している

回答例1-⑫
お若い方であれば、経験が不足しているのはやむを得ないことだと思います。社長さんから見れば頼りなく思われるのは当然でしょうが、思い切って経験を積んでいただく為に、そのチャンスを提供することをお考えになってはいかがでしょうか。その場合、すべて短期間で経験することはできませんから、課題を少しずつ与え、必要な折りには補佐する、というやり方がよろしいと思います。

回答例2-⑫
経験が不足しているのは当然だと思います。後継者と決まっているのなら、日頃から社長として必要な知識を教えたり、社長の代理として経験させることが必要だと思います。社長お一人では手が回らないこともあるでしょうから、各部門長にも協力を得たら良いのではないでしょうか。もちろん私も協力します。

⑬全般 将来の見通しが立たない

回答例1-⑬
見通しが立たないという、その理由は何でしょうか。もしも、様々な課題に対する解決方法が見出せない、という意味でおっしゃっておられるのであれば、ぜひ私に担当させてください。私はこれまでに、多くの部門をとりまとめるコーディネーターとして、いくつものプロジェクトを成功させてきた実績があり、必ずやお役に立てるという自信がございます。

回答例2-⑬
短期の計画と長期の計画を立てることから始めたら良いかと思います。将来的には会社をどんな姿にしたいか、そのために今やるべきこと、1年後にやるべきこと、2年後にやるべきことというように少しずつ将来の良い姿に近づけて計画を立てるべきです。

⑭全般 事業の拡大や多角化が出来ない

回答例1-⑭
多角化については、実際にその必要があるのか、又、いつまでに、どの程度実現させなければいけないのかを再検討しなければいけないと思います。事業の拡大についても同様に、いつまでに、どの程度、という具体的な目標に対して、効果的かつ現実性のある施策を練るべきです。それを実行した為に、新たな問題が生じることのないよう、的確な判断が必要と考えます。

回答例2-⑭
できない原因は何なのか。資金か、人材か、アイデアか、会社にとってどんな事業の拡大方法、又、多角化が良いのかを検討の上、そのために必要なこと、やるべきこと、問題点を洗い出し、十分に計画を立て、社員一丸となって勉強していくことが大切だと思います。

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著者プロフィール

白根陸夫

白根陸夫

自分らしく働き生涯現役で活躍するための「顧問塾」主宰 株式会社キャリア・ブレーン 代表取締役 プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー® エイジング・アドバイザー®/認定エグゼクティブ・コーチ 人材能力開発・雇用創造支援(業)日本におけるキャリア形成のパイオニア。 「生涯現役」を全うするための、独創的で最強のノウハウを提供しています。 日系・外資系企業数社を経験し、人事・総務並びに関連業務に関する豊かな経験と知識を蓄積。その間、社会保険労務士、産業カウンセラー、行政書士等多数の資格を取得。株式会社キャリア・ブレーン設立後、再就職支援サービスとキャリア・カウンセリングを数多く実施。アウトプレースメントビジネス立ち上げのコンサルティングの実績も豊富。 就職・転職ノウハウを確立した本邦における第一人者である。(外資系アウトプレースメント会社の日本での立ち上げ6社にノウハウを提供) 1996(平成8)年8月、株式会社キャリア・ブレーン設立、代表取締役に就任。2000(平成12)年8月、NPO/特定非営利活動法人 日本プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー協会を設立。理事長に就任。 2008(平成20)年11月、NPO/特定非営利活動法人日本エイジング・アドバイザー協会を設立。理事長に就任。