起業するための自己棚卸/シニアが起業する際に持ち合わせておくべきスキルとは?

ポイント
  1. 社会に提供できるもの
  2. 幸せの価値観
  3. やり続ける想いと仲間づくり

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起業するための自己棚卸

起業してから後悔しないための準備には何が必要だろうか?それがシニアなら、「勢いだけで」「衝動的に」ではあまりにもリスクが高い。起業を成功させるために、自己棚卸は欠かせない。あなたのスキルやメンタリティについて、起業前に棚卸(=自己評価)は是非行っていただきたい。

社会に提供できるもの

起業を考えるとき、皆さんはどんな想いをもつだろうか。「ただ、何となく…」という人はいないと思うが、何となくではその先が見えない。見えなければ続かない。続かなければ努力しない。思いつきだけでは何も生まれない。

“起業”とは「新しく事業を始めること」(大辞林他)とある。“事業”とは「生産や営利を目的とした経済活動」「社会的な、大きな仕事」(ウィキペディア)である。つまり「事業とは生きていくことを目的として行う社会的に意義がある活動」ということになるのだろう。

また、「社会的に意義がある」とは、社会の中で困りごとがあって、多くの人がこれによって不便、苦痛、不利益を被っている。こうした“課題”を解決してくれる“もの”を作り出す活動を指している。

この「社会的に意義がある」活動が、生きるための糧となる(経済活動)ためには、「意義」が経済的に評価されなければならない。つまり「意義」が「お金」というモノサシで量れるものにならなければならない。このモノサシを必要としないのがボランティアである。

「起業する」ということは、「経済的なモノサシで量れる」+「私なりの社会の課題解決ツール」をこれから継続的に社会に提供していきます!ということだろう。そこで、あなたが社会に提供できる「課題解決ツール」は何だろう?

①会社で培った専門スキル
 製造加工技術、工程管理、労務管理、経営企画、広報戦略、法務・知財管理、財務管理等

②仕事の延長線で身に付けた専門スキル
 業務に関連して取得した国家資格、民間資格等

③趣味で得られたスキル
 DIY関連技術、料理、茶華道、音楽、通訳等

④プライベートで見に付けたスキル
 ボランティア活動、カウンセラー、コーディネーター等

ツールの深度は“匠”と呼ばれるくらいに極われたものでなくてもよい。それを必要とする人に喜ばれるレベルであればよい。

幸せの価値観

起業する側が陥りやすい“罠”は、「自分の価値=他人の価値」と考えることである

「自分が良いと感じていることは、他人もきっと良いと感じているに違いない!」

自分のコアな技術が専門的であればあるほど、この傾向は強い。ある時、大手企業で検査機器のエンジニアをされていたシニアの創業相談を受けたときのこと。その方が自身で作ったというHPを見せてもらった。たぶん、業界の専門家が見れば、素晴らしいスキルがわかるのだろう専門用語が所狭しと並んでいた。しかし、凡人たる私には何が書いているか、正直さっぱりわからない。

「この人、何をする人なの?」

このモヤモヤ感がHPを最後まで見ても解消されることはなかった。いろいろな社会的課題を解決出来るだろう、そのシニアの方のせっかくのスキルが、残念ながら多くの人に伝わらないのだ。発信者の思い込みによる情報の一方通行…こういう事例は非常に多い。

知ってほしいスキル=情報は、最大公約数的に多くの人に知ってもらって初めて“情報”となって、社会に役立つ“種”となる。その“種”が社会の“期待”“困りごと”と化学反応を起こすことで、“種”は発芽して“ビジネス”という草木に成長する。

「幸せの価値観」は人それぞれである。しかし共通して言えることは、幸せを手に入れるために、人は情報という“種”を追い求める。

皆さんのスキルを誰もが「目にしやすい」ところにディスプレイすること、「見てもらえる」よう、読み手の気持ちを理解すること。こうした、「社会の価値観を意識する」ことが起業には欠かせない資質である

やり続ける想いと仲間づくり

シニアのみならず、起業して事業を成長させるために必要な要素は、「周囲に“仲間”がいる」ことである。“仲間”とは、あなたの事業をサポートしてくれる人とは限らない。あなたと同じように起業する人、あなたに批判的な人、あなたの起業の目標になる人も、あなたにとっての“仲間”である。

シニアのように長く企業の一員として過ごしてきたものにとって、一人起業は時に“孤独感”を招く。あなたが熱い想いと固い志で起業しても、誰も視野に入らなければ事業は続かない色々な人とのつながりを通じて、あなたは事業を続けられるものなのだ。

想いや志は、常に人をサーチしている。そして、反応の有無、共感や反感を敏感に感じ取る。たとえネガティブな反応があったにせよ、これをバネとして次の行動のエネルギーに変えてくれる。

あなたの起業を前に進める原動力は、こうした人との関わりなのだ。だから、起業を成功に導くためには、起業の前後を問わず、積極的に人との交わりを作ることだ。あなたのビジネスに直接関わらない人であっても構わない。あなたにとって事業を成長させるためのヒントはどこにあるのかわからないからだ。

起業したら“これをやり続ける”想いを持つことは言うまでもない。それと同じ位のエネルギーを使って、人の輪を広げられるかどうかで、あなたのビジネススケールは違ってくる。“やり続ける想い”には“仲間”を増やすことが必要条件であることを忘れてはいけない。

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著者プロフィール

西田 隆行

西田 隆行

中小企業診断士。1980年大学卒業後信用金庫に勤務。中小企業や小規模事業者へ資金繰りや財務のコンサルティングを行っている。また地域の中核企業、老舗企業の再生に深く関与。「事業を継続するための財務戦略」をメインテーマに活動している。2017年12月から、日本最大の起業・開業・独立者向けポータルサイト「助っ人」(www.suke10.com)の編集チームで、主に「銀行とのつきあい方、資金調達、事業承継」をテーマとしたコラムを担当している。