リースとレンタルの違いをわかりやすく。知って得するビジネスワード解説
- レンタルとリースの違い
- レンタルとリース。それぞれのメリット・デメリット
- レンタルとリース。選ぶ基準はどこにおく?
その気になれば誰でもあらゆる情報を手に入れられるインターネット時代。昔なら人あるいは本から情報を得るしかありませんでしたが、最近では第一の選択肢がインターネットへと変わりつつあります。それにともなって選ばれた人にしか機会が与えられなかった起業という選択肢も、過去に比べて圧倒的に近いものとなりました。
しかし、このことは裏を返せば、知らないことがすべて自分の怠慢へとつながってくるということ。必要であるなら難しいことばも正しく知っていることが当たり前な時代です。今回取り上げることばも、ビジネスマンに曖昧に認識されていることばのひとつ。あなたは「レンタル」と「リース」の違いが説明できますか?この記事ではその違いや、メリット・デメリット、判断分岐点について詳しく解説します。
さっそく本題から。わたしたちは「レンタル」と「リース」ということばを同じ意味のことばであるかのように聞いています。しかし、ほんとうにまったく同じ意味であるならどちらかのことばが淘汰されていくはず。「レンタル」と「リース」にはやはり意味の違いがあります。
たとえば、わたしたちの生活に近いところに、レンタルCD・DVDのお店があります。このお店は、わたしたちがCDやDVDを借りられるお店。だれもが一度くらいは利用した経験があるはずです。しかし、このお店のサービスをわたしたちはリースCD・DVDとは呼びません。一方で、車においては、レンタカーとリースの両方が使われています。いったいどこに違いがあるのでしょうか?
この項では、それぞれのことばが持っている意味を通じて、「レンタル」と「リース」の違いについて考えていきます。
レンタルとは、提供元となるレンタル会社が保有する資産を、ユーザーがお金を払い借り受けることを指します。
ユーザーはそのものが必要なタイミングで契約を結ぶことが可能。期間は短いことが一般的で、1年未満に設定される場合がほとんどです。短い場合には数時間といった単位でサービスが提供されることも。
同一のものを不特定多数のユーザーが利用する性質上、レンタル対象は新品に限りません。
英語のrent(借りるという動詞)が語源となっている通り、提供元の所有物をユーザーが借りるサービスがレンタルです。
一方でリースは、提供元となるリース会社が、ユーザーとの契約に基づいて商品を代替購入し、それを契約したユーザーに貸し出すサービスです。
さまざまな理由から、ユーザーが一度に高額の投資をおこなうことが難しい場合に利用されます。リース会社が一時的に購入費用を肩代わりし、月ごとのリース料で費用を回収する仕組み。このリース料にはリース会社への金利も含まれています。
契約に基づいて代替購入するという性質上、実質的に所有しているのはユーザーであり、固定資産税や保険料といった所有に関連するコストはすべてユーザーの負担。リース商品は新品である場合がほとんどです。
違いを知ることが、正しい選択につながる
レンタルの意味、リースの意味を読み、ざっくりと違いについてわかっていただけたかと思います。ですが、レンタルとリースには想像するより複雑な違いも。ここではさまざまな項目を挙げ、それぞれについてレンタルとリースの違いを比較していきます。
レンタルとリースには、サービスの対象とするものに違いがあります。
まず想像しやすいのはレンタルの場合。レンタルでは、レンタル会社が所有するものを借り受けるので、レンタル会社が在庫として持つモノのなかから、サービス対象を選ぶことになります。つまり、ユーザーが自由にサービス対象を選べません。レンタルCD・DVDで在庫や取り扱いがないといった経験は誰しもにあるのではないでしょうか?
一方で、リースの場合は、ユーザーが自由にサービス対象を選べます。これはユーザーとの契約に基づいて、リース会社が代替購入するため。ユーザーのイメージ通りのものをサービス対象にできるのがリースということになります。
レンタル、リースそれぞれの意味の項でも触れましたが、契約期間にも違いを見ることができます。
リースと比較すると、レンタルは契約期間が短い場合がほとんど。レンタルCD・DVDを例にとっても、長くて1週間程度です。レンタカーなどでは○時間といった表記を見ることも珍しくありません。その点、リースは長期になるのが一般的。これはリースの契約期間にルール(適正リース期間)が設けられているためです。
リース対象となるものには、そのものに応じて法定耐用年数が設定されています。たとえばパソコンであれば、法定耐用年数は4年。法定耐用年数が10年未満のものについては、法定耐用年数×70%以上(端数切り捨て)、法定耐用年数が10年以上のものについては、法定耐用年数×60%以上(端数切り捨て)がリース期間の計算式となっています。
パソコンを例にとって計算してみましょう。
パソコンの法定耐用年数(4年)×70%(法定耐用年数が10年未満)=2.8年
端数は切り捨てなので、2年以上が適正リース期間となります。このように極端に細々したものをリースしない限りは年単位のリース期間となる場合がほとんどです。
契約満了後はどちらも返却しなければなりませんが、リースの場合は再リース契約を結んだり、買い取ったりすることも可能です。レンタルも延長レンタルが可能な場合がありますが、基本的には一度返却し、再度レンタル契約を結ぶことになります。
所有権はどちらも提供元であるリース会社・レンタル会社に帰属します。しかし、リースの場合は実質的にユーザーが所有していると考え、資産計上や納税、保険料の支払い義務も。それに対し、レンタルではユーザーに一切の義務はありません。
保守義務・修繕義務については、前項、所有権における違いともかかわりがあります。名実ともに所有権を提供元が持つレンタルの場合は、これらの義務がすべてレンタル会社にある一方で、リースでは、実質的な所有者であるユーザーに帰属。使用中の故障や破損などについては、すべてユーザーが費用を賄わなければなりません。使用にあたり、レンタル以上に当事者として注意深く扱わなければならないのがリースということになります。
瑕疵担保責任とは、レンタルやリースでものを借り受けた際、本来そのものに備わっているべき機能の欠陥の責任をだれが担保するかです。
レンタルではすべてレンタル会社に責任がありますが、リースの場合、一切の責任がリース会社にはありません。ユーザーは本来購入者にある賠償請求権をリース会社から譲り受け、直接販売元と交渉します。
危険負担とは、ユーザーの責任が及ばない場面で、サービス対象となるものが破損などされた場合に、そのリスクをだれが負担するかです。
例を用いてわかりやすく説明しましょう。オフィスにコピー機を置いていたとします。ある日、大きな地震が起き、このコピー機が転倒、壊れてしまいました。地震は天災であるため、あなたには避けようがありませんでした。この損害の責任はだれが負いますかというのが、危険負担です。
レンタルの場合、危険負担はレンタル会社に問われます。しかし、リースの場合には、ユーザーがその負担を追わなくてはなりません。リースの仕組み上、リース会社はユーザーの代わりにユーザーのほしいものを購入しているに過ぎないため、いくらユーザー自身の責任が及ばないとはいえ、残りの契約期間に発生する支払いからユーザーが免れることはありません。
解約についてもここまでのレンタルとリースの特徴にあったとおりです。レンタルは明確な事由があれば途中で解約することが可能ですが、リースでは認められていません。仮に解約ができたとしても、ユーザーが買い取りとなったり、違約金が発生する場合がほとんどです。
ここまで仕組みの違うレンタルとリースですから、料金設定にもやはり違いがあります。
レンタルと比較すると、ここまでに紹介したさまざまな条件でユーザー自身に責任がかかるリースのほうが安価。レンタルは、手軽に利用できるからこそすこし割高です。また、レンタルが利用回数やサービス対象の新しさにかかわらず、一定の料金を支払い続けるのに対し、リースは、再契約時にディスカウントされることも。これはリースが法定耐用年数に基づいてリース期間、リース料率を設定しているためで、リース会社にとっては最初のリース契約期間を終えた時点で減価償却していることになるので、ユーザーはリーズナブルに再契約を結ぶことができます。
※1 リース料率…リースではリース料を決める際、(商品価格)×(リース料率)で価格を設定します。
レンタルとリースの違いについてわかっていただけたでしょうか?次は、それぞれのメリット・デメリットについてまとめます。レンタルとリース、どちらを利用するべきか悩んでいる方は、ここを読めば答えが導き出せるかもしれません。
ここまで、レンタルとリースの違いや、メリット・デメリットについて見てきました。実際にどちらを利用するべきか悩んでいる起業家、ビジネスマンは多くいるはず。そんなとき、選ぶべきはどちらなのでしょうか?迷ったときに考えたい着眼点を紹介します。
まず第一に、リースは代替購入であることを思い出しましょう。準備したいけれど、予算的に手がとどかない。そんなときに利用するべきなのがリースです。
この記事ではレンタルとリースの比較でお話を続けていますが、そこにあるマインドは別のもの。間に合わせではなく、投資してでも良いものを準備したいという場合には、リースが選択肢として挙がるでしょう。そのときリースが長期的な出費となることは抑えておきたいところ。経営計画がしっかりしていないと、リース料がたちまち負担になってしまいます。
次に考えたいのが、利用頻度や利用期間。頻繁に利用するうえ、長期間にわたって必要なのであれば、レンタルではなくリースで準備するのがおすすめです。なぜなら、時間あたりのコストはレンタルのほうが高くついてしまうから。期間が長くなればなるほど、この差が総合的なコストにあたえる影響は大きくなってきます。はじめから長期的に利用することがわかっているのであれば、リースを利用するべきでしょう。
一方で、先の見通しがたたない場合には、レンタルで手を打っておくのが無難。契約期間も短く済むうえ、必要以上の責任を負うこともありません。とりあえずはレンタルで間に合わせ、見通しがたったときにリースを利用する方法がとれるのもレンタルを選ぶメリットです。
どちらにしてもその後の行動を拘束されないのが、レンタルの大きなメリット。あまりにも悩んでしまう場合には、レンタルを選んでおくのが無難です。リース契約は、購入するのとほぼ同義。「イメージと違った」と契約してから後悔するよりは、レンタルで様子を見るという方法が賢い選択だと言えます。
以上、レンタルとリースの違いについて解説しました。
企業にとって設備の準備は経営に直結する重要なテーマ。曖昧な知識で判断することは、後悔にもつながってきます。現代はすこし調べればなんでもわかる時代。レンタルとリース、どちらを選ぶべきか悩んでいる方には、しっかり情報を取り入れて判断することをおすすめします。
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