契約の解除方法について~損害賠償から通知書までまとめて解説!~
- ビジネスの取引では契約が必須
- 契約についての知識を得て、事前にトラブルを回避しよう
- 契約はトラブルを起こさないことが大切。まずは人間関係から条件等を作っていこう。
士業等の法律関係の仕事に従事されていない方にとっても「契約」と言う言葉は重たいものだと言う風な印象をお持ちの方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?
その印象の通りで、契約と言うのは、法律的な拘束力を持っています。
その約束事項を簡単に解消させる事は出来ませんし、簡単に解消させる事が出来るのであれば、そもそも契約自体に効力がありませんから、不必要とも言えます。契約とは、そこに何かしらの約束事があり、その事を証明するものでもあります。このような契約について、解除を行いたい場合には、どのような方法を取れば良いのでしょうか?
また、契約に関する損害賠償や通知書等についても、様々な疑問を持たれている方は結構いらっしゃると思いますので、今回は総合的に解説をさせて頂きたいと思います。
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契約の解除をしたい場合、そもそも契約の解除とは何なのか?がわからなければ、中々想像がつきませんので、具体的に解説をさせて頂きます。
まず、契約に関する根本的な知識を解説させて頂きます。
契約と言うのは、誰か一方の当事者が申し込みの意思を表示する事により、他の方の当事者が承諾をする意思の表示が、どちらとも一致した場合に成立する事が出来る法律行為の事を意味しています。
例えば、Aさんが何かしらの契約の申込をしたいと言う意思を表し、Bさんがそれを承諾した時に成立する契約で、これは立派な法律に係る行為となります。
上記でも、契約は法律的な拘束力を持っていると述べたように、交わされた契約については簡単に解消する事は出来ないと言う事です。
タイトルにある契約の解除とは、これらのように交わされた法律行為となる契約を解消させる場合を意味しており、契約の解除と言います。
そもそも契約や契約の解除については、法律における民法に該当しているのですが、一般の方が民法の本を読んでも、専門用語が沢山羅列されている為、何の事を言っているのかわからないと言う方がほとんどだと思われます。そのくらい、法律では、人と人とが係る事には、様々な事が起きる要素が含まれていますから、複雑になってしまうのは当然の事です。法律では、この契約の解除の事を、「当事者の一方による契約を解消させる旨の意思表示で解除ができ、原則的には、その交わされた契約は※遡及的(そきゅうてき)に消滅し、契約成立の前の状態へ戻る」とされています。
もっとわかりやすく表現すると、民法では、上記の例で言うと、契約をしたAさんでもBさんでも、どちらか一方の人が交わした契約を解消したい!と言う意思を表した時に解除する事が出来るとしています。(※遡及的と言うのは、法律用語で「遡及効(そきゅうこう)」と言う言葉があり、この場合であれば、契約をする前に遡って効力を発揮すると言う意味を表します。遡及的に消滅するわけですから、契約をする前までに遡って解消する、つまり契約する前段階までに遡って無かった事になると言う意味合いになります)
例えば、契約の内容が、お金の貸し借りだったとしましょう。お金を貸している人は債権者と言い、借りている人は債務者と言います。この場合、契約を解除したのであれば、もし債務が残っている場合であっても、遡って消滅しますので、残ったお金は返さなくても良い(履行しなくてよい)と言う事になるのです。ただし、このような事が簡単にどちらか一方の意思表示で出来てしまうのであれば、そもそも契約を交わす意味がありませんから、契約を解除できる場合と言うものには、解除の要件を満たしていると言う事が必要となります。ですから、要件を満たす事が出来ないのであれば、簡単に解除する事は出来ないと言う事になるのです。
法律では、「これは出来る」と決まりがある物が沢山ありますが、その中身には「ただし、これらの条件を満たした場合」や、「例外的にこのような時は・・」等と、一見出来るのでは?と思っても、そう簡単には行かない事が沢山ありますので、注意しておきましょう。
解除の方法については、上記でも述べたように、当事者であるどちらか一方が意思の表示を行う事によって行われます。
具体的な解除の方法につきましては、郵便局で取り扱われている「配達証明付き内容証明郵便」を用いて、その契約を解除すると言う内容の意思表示が一般的な方法となります。
ただし、この事で簡単に解除が出来れば良いですが、揉めてしまうケースもありますから、こうなった場合には裁判にて手続きを行う事となってしまいます。
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ここまでの解説では、契約に関する知識と、その契約を解除する事について述べました。
しかし、契約を解除すると言う事には、損害賠償が発生する可能性があります。
一般的な契約と言うのは、上記でも例を上げている、お金の貸し借りが多くなります。
お金を借りている方の事を債務者と言うと述べましたが、この債務を負っていると言う事は、債務の履行が行われなかった場合、(借りていたお金を返せなくなった場合や、返さなかった場合等の事を表します)損害賠償の責任について追及される可能性があるのです。また、民法によりますと、契約によって定められている債務が履行されなかった場合(この事を債務不履行と言います)や、不法な行為が行われた時、損害賠償の請求をする事ができると定められているのです。ですから、交わされた契約書に損害賠償の旨に関する記載がなかったとしても、損害賠償請求を行う事は可能となっております。
損害賠償の請求には、次に上げる2つの要件が必要です。
契約による債務を履行しなかった場合(債務不履行)
故意(わざと言う意味合いです)に、若しくは過失(注意義務の違反の事を表します)によって権利の侵害が起きた時
この2つの要件が満たされる場合、損害賠償を行う事が可能となります。
では、上記の内容を踏まえて、契約書を作成する際に、その内容として損害賠償の条項に関する文章を入れる必要はあるのでしょうか?一見、民法によって①②の条件が満たされるのであれば、損害賠償を行う事が出来ますから、必ずしも盛り込まなければならないと言うものではありません。
しかし、一般的には、契約書の内容に、損害賠償の条項を設ける事は多いのです。
絶対必要ではないものの、「民法のルールを確認しておきましょう」と言う観点から、記載される事が多くなります。その理由としては、起こさなくてよい争いを避ける為や、債務を履行しなければ損害賠償の請求があるのだと言う意識を持ってもらい、しっかりと債務を履行して貰う為でもあります。