合同会社設立時の必要書類と決定事項を理解しよう

ポイント
  1. 自分でも設立できる合同会社
  2. 必要書類を事前に理解して行動すると早くなる

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株式会社ではなく合同会社を設立したいと考えたときに、あなたは必要書類の分量は会社の形態から考えて株式会社よりも少ないから簡単だろうと思うかもしれません。しかし、合同会社だからといって必要書類が株式会社と比較して著しく少なくなるわけではありません。

ここでは合同会社を設立する際の必要書類について理解して、専門家に依頼せずとも必要書類を準備できるようにしておくと、シリアルアントプレナー(次々と会社を設立する起業家のことです)になった場合にも非常に役に立つでしょう。

書類を集める前に決めておくべきこと

書類を集めて作成する前に決めておくと合同会社設立がスムーズに進みます。ここでは、まずは設立作業に移行する前に決めておくべきことを決定して必要書類の収集・作成作業に進んでいきましょう。

以下に紹介している内容を決めておかなければ、設立の必要書類作成に時間がかかりますので、必要書類と同等レベルで重要な事項だと考えておいてください。

商号

商号とは、あなたの会社名のことを指します。

商号に使用可能なのは漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字・アラビア数字(算用数字のこと)に加えて「&」「’」「,」「‐」「.」「・」となっています。全く同じ住所で全く同じ商号でない限りは、法務局の登記をすることに問題はありません。

ただ不正競争防止法違反や、不正目的誤認商号の使用禁止規定に抵触する可能性はあります。会社を登記した後になって既存会社から差し止め請求や損害賠償請求を起こされないためにも、商号決定の段階で商号調査を絶対におこなうようにしてください。

商号には「○○合同会社」「合同会社○○」のように前後に合同会社を付けるようにしてください。

1:商号の使用例

商号の前
☆アマゾンジャパン合同会社(インターネット通販事業)
☆モンスターエナジージャパン合同会社(エナジードリンクメーカー)
☆ニコル・オートモビルズ合同会社(BMWアルピナの日本総代理店)

商号の後
☆合同会社西友(スーパーマーケット事業)
☆合同会社DMM.com(ECサイト事業)

事業目的

事業目的とは、あなたの会社で行う事業内容のことで、「法律に違反しておらず営利性のあるもので、かつ誰にでもわかりやすい内容であること」が必要となります。

例として事業目的を10個記載した場合に、10個の記載事業を会社設立と同時に開始しなければいけないわけではありませんので、将来的に行いたい事業がある場合には定款に記載しておくと後々の手間が少なくなります。

注意点として、あまりにも多い事業目的があると、会社が何をしているのか第三者にわからなくなり信頼性が低下してしまいますので、程々にしておくことも重要です。

本店所在地

会社の本店所在地は、存在している住所であれば自宅・賃貸物件・レンタルオフィスのようにどこでも問題はありません。

本店所在地にはビル・マンション・アパートの名称を入れてもいいですし、入れたくない場合には、そのまま登記しても全く問題はありません。法律では、定款には会社の本店所在地は最小行政区(市町村と特別区)まで記載すれば大丈夫と定められています。

設立時に本店所在地を住所の最後まで記載してしまうと、本店を移転した際に定款変更をしなくてはいけなくなりますが、最小行政区にしておけば本店移転の変更登記は必要ですが、定款変更をしなくてもいいので手間が非常に省けます。

事業年度

事業年度は営業年度のことを指します。決算期は1年を超えることは許されていませんので、1年以内の範囲で自由に決めることが可能となります。

個人事業主や外資系日本法人などは1月1日から12月31日までが多く、日本企業は国の会計年度に合わせて4月1日から3月31日としているパターンが多いようです。

資本金

法律改正によって資本金の最低金額が撤廃されて、1円の資本金でも会社設立には問題がないこととなりました。

ただし、実際に事業をすることを想像すると理解できるでしょうが、あまりにも低額な資本金だと取引相手に対する信頼が低くなったり、金融機関での法人口座の開設が困難になったりするケースもありますので、お金をケチり過ぎないで最低限の資本金は準備するようにしましょう。

また、会社で許認可を受けたいと考える場合には、許認可を受ける条件に資本金額が〇〇円以上であることの設定もありますので、行いたい事業内容に必要な許認可がある場合には確認が必要となります。

社員

社員とは一般的に使用される従業員のことではなく、法律では会社に出資している人のことを指しています。

合同会社の場合は、出資者であり業務遂行する人ということになり、1人以上の個人または法人の社員が必要となります。

合同会社設立して事業を始めるのに必要なもの

ここからは実際に合同会社を設立するまでに必要なものを紹介していきます。結構な数がありますので、自分1人で揃えるためには時間に余裕を持って行動してください。

OCR用紙(登記用紙と同一の用紙)

OCR用紙は現在ではあまり使用されていません。最近では電子媒体(CD―Rなど)にデータを入れて提出したり、そもそもオンライン申請もできています。

これから合同会社を設立する方でOCR用紙を利用する方はほとんどおられないでしょから、内容をデータとして電子媒体に保存したものが必要であることは覚えておきましょう。

定款の作成

定款は会社がどのような事業をおこなうかなど、会社の根本を定めた非常に重要なものとなります。定款は会社が保管するものと法務局に申請時に提出する2部を作成することを忘れないようにしましょう。

定款には事業の目的を記載しますが、既に上記の事業目的の項目でも説明しているように、あまり多く入れすぎると何をしている会社なのかがわからなくなりますので、あくまでも開業当初に始める事業と関連したものを記載する程度にとどめておきましょう。

また定款は紙で作成した場合には収入印紙が5万円分必要となりますが、電子定款として作成した場合には紙ではないという理由で収入印紙代金が不要となりますので、コスト削減のためにもできるだけ電子定款を利用しましょう。

専門家に依頼すればほとんどの事務所で電子定款を作成することができますので検討してみてください。多くの事務所では無料で相談に応じてくれますので、費用を含めて疑問は最初に解消しておくことが大切です。

法人印鑑の作成

法人として事業活動を行うためには法人印鑑が必要となります。

インターネットで「法人印鑑作成」で検索してみれば、印鑑作成業者が多くヒットしています。会社設立時に必要なる印鑑の「会社実印」「会社銀行印」「会社角印」をセットで販売していますので、設立時は最低限の印鑑を準備しておけば問題はありません。

印鑑は設立後に必要なものであって、設立する前には必要ないのでは?と思うかもしれませんが、会社設立の申請書類には印鑑を押印する部分もあります。
また申請時には法務局に届け出を行いますので、法人印鑑は絶対に必要です。

印鑑登録証明書の取得

代表社員(合同会社の社長のこと)となる人の個人の印鑑登録証明書を取得しておきます。

印鑑登録証明書は申請時に必要となりますが、書類への住所・氏名は印鑑登録証明書と同じでなくてはいけないので、書類作成前に準備しておきたいところです。

印鑑届出書

印鑑届出書は、会社の実印である代表者印を法務局に届け出るために必要な書類です。

会社の代表印の印鑑登録は、あなたが自身の実印を住んでいる市区町村に印鑑登録している手続きの会社バージョンになると考えて問題ありません。印鑑届出書は、法務局で会社の設立登記を行う時に必要となる書類となります。

合同会社の代表者のように会社の代表者が2名以上いる場合には、それぞれの代表者印を届け出るパターンと、どちらか一方の代表者印だけを届け出るパターンを選択可能です。ただし、複数(2名以上)の代表者が代表者印の届け出をおこなう場合には、それぞれに別の印鑑を使用して代表者ごとに印鑑届出書を作成することとなります。

合同会社設立登記申請書

合同会社設立登記申請書は申請書類の表紙となります。申請書に記載される内容は以下の通りです。

・商   号  :定款の通りに記載します。
・本店所在地  :会社の本店住所を番地まで正確に記載しましょう。
・登記すべき事項:CDなどにデータで記載しますので、別途CDの通りと記載します
・課税標準金額 :資本金の金額を記載します。
・登録免許税  :資本金の0.7%が支払う登録免許税になりますが、最低額は6万円です。
・添付 書類  :申請書に添付する書類を記載します。
・日   付  :法務局合同会社設立登記申請書を提出する日を記載します。
・記名押印   :本店住所・社名・代表社員の住所・名前を記載します。
・法務局名   :書類を提出する法務局(本店管轄の法務局)の名前を記載します。

本店所在地および資本金決定書

本店所在地および資本金決定書は、定款で本店所在地の住所を最小行政区(市区町村・特別区)までしか記載していない場合に必要となる書類です。

定款に本店所在地を番地まで記載している場合には本店所在地および資本金決定書は不要ですが、代わりとして上記でも説明しているように本店移転時に定款変更が必要となります。設立時に手間は多少増加しますが、定款変更の方が遥かに面倒ですので本店所在地および資本金決定書を作成する方法で設立することをオススメします。
 

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