地方法人税をカンタン解説! 法人税との違いは?事業税・住民税との関係は?

ポイント
  1. 地方法人税の概要
  2. 地方法人税と法人税等の関係
  3. 地方法人税と税制改正

目次 [非表示]

3 地方法人税と税制改正

前述したとおり、地方法人税は平成26年の税制改正によって創設された税金です。税制は毎年改正されていますが、税制改正は法人の税務処理に大きな影響を与えます。地方法人税に係わる改正として、地方法人特別税の縮小があげられます。地方法人税と地方法人特別税の関係と、2018年の税制改正が地方法人税に与える影響を紹介します。

3-1 地方法人特別税の縮小

地方法人特別税は、地方法人税の創設前に「税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置」として、平成20年10月1日より施行されていました。

地方法人特別税は、地方法人税と同様の趣旨で創設された国税です。自治体ごとの税収のバラつきをならすために、国に納められた地方法人特別税は各自治体に再分配されます。

先ほどの地方法人税と法人住民税の関係と同じく、法人の税負担が増すことのないように、地方法人特別税が創設されたさいには法人事業税の税率が引き下げられました。

・法人事業税が再び増税

しかし、地方法人税が創設されたことに伴い、同じ趣旨のもと臨時的な措置として施行された地方法人特別税が縮小されることになりました。「地方法人特別税が縮小されたことが減税につながったか」というと、そういうわけではありません。一度引き下げられた法人事業税の税率が再び上がることになりました。縮小された分の引き上げですので、実質的な税負担に変わりありません。

地方法人税に関する各税金の増減は以下ようになります。

 

 

H20.09.30以前

H20.10.01~H26.09.30

H26.10.01以後

地方法人税

-

-

創設

地方法人特別税

-

創設

地方法人税創設に伴い縮小

法人住民税

増減なし

増減なし

地方法人税創設に伴い引き下げ

法人事業税

増減なし

地方法人特別税創設に伴い引き下げ

地方法人特別税縮小に伴い引き上げ

3-2 平成30年税制改正大綱の影響

最後に2018年に行われる最新の税制改正の影響を紹介します。所得税における基礎控除の増額と給与所得控除の減額などが、大きなトピックスとなりますが、法人税に関してもさまざまな改正が行われます。

特に中小企業においては「事業承継税制の抜本拡充」「所得拡大促進税制の拡充」「償却資産にかかる固定資産税の減免の創設」など、改正点によって納税額が変わる可能性があります。

・地方法人税の関する改正

地方法人税に関しては税率等に変更はありませんが、「法人税、地方法人税および復興特別法人税の申告書における代表者および経理責任者等の自署押印制度を廃止する」という改正点があります。また、大法人では確定申告書、中間申告書及および正申告書の提出が電子情報処理組織を使用する方法、いわゆるe-Taxでの申告が義務化されます。

法人税に関しては事務的な手続きの改正になりますが、e-Taxの義務化はこれから中小法人にも拡充される可能性は高く、個人の確定申告を含めてe-Taxの使用を検討してみるのもよいでしょう。

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