副業解禁までのスケジュール総まとめ

ポイント
  1. 副業解禁の目的を明らかにする
  2. 成功の鍵は制度設計と風土醸成

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副業解禁する企業は多くなってきています。今回は副業解禁までのスケジュールについて詳しく見ていきましょう。

複業解禁の目的を明らかにする

副業解禁をするには、まず目的を明確にする必要があります。目的というのは、なぜ副業を解禁するのかいついて、目的を明確にするということです。まず自社が副業解禁をしたいと思う1番の目的はなんですかと言うことです。

担当者の多くは戸惑いながら、「社員が働きやすい環境を作る、ワークライフバランスの向上を目指す、人材確保の…」と一般的な言葉を並べていきます。ですがよくよく確認してみると、副業解禁自体が目的となってしまい、それによって会社がどうなっていきたいのか、それによって何を得たいのかという大きな目的やビジョンが忘れてしまう状況が少なくありません。

世の中は副業解禁に向けて大きく舵をきりました。それに迎合するだけでは、それで体が目的となってしまい、失敗するケースが多々あります。まず副業解禁に当たりどのような目的でそれを行うのか何をしたいのかと言う目的を明らかにしましょう。


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複業解禁方法の検討

全面解禁、許可制、届出制の検討

次に副業解禁の方法について検討します。見直しのポイントとして3つの選択肢があります。

①副業完全解禁
②届け出制
③許可制

この3つの選択肢があります。このどの方法で副業解禁を行うのかをまず検討行います。

完全解禁について

完全解禁について従来あった副業禁止の規定を削除し、副業を自由に完全に認める場合です。いきなりこの自由に認める方向に行くのをためらわれる場合については、ある一定期間について副業禁止の規定を設ける対応も考えることができます。

例えば次のような条文を就業規則の付則として入れ込むのです。

付則第●条 本就業規則第●条に定める権限を禁止規定は、平成〇〇年〇〇月〇〇日から同年〇〇月〇〇日まで一時的にその法的効力を停止する。

このように一定期間について一定の留保を設ければ、一定期間にトライアルとして副業解禁を行い、その効果や反応を見ることができます。

届出制と許可制について

副業を認めるとしても、長時間労働になるリスクや機密漏えいのリスクが心配だという声もあり得ます。そのリスクに一定の歯止めを設けておきたいと考える企業も多いでしょう。その場合、届け出制とした上で、副業するにあたり一定のルールを作っておくことも考えることができます。例えばこのような設定の例があります。

(従業員の兼業) 
第○条 従業員が就業時間外に兼業を行う場合は、事前に会社に届出を行わなければならない。
無届の兼業はこれを禁止する。なお、兼業に関する詳細については、別則でこれを定める。 

 兼業規程(別則)の一例 】

副業先について

第○条 同業他社および賭博業・風俗業等、当社従業員として相応しくない副業先における兼業はこれを禁止する。

届け出制において、このような設定した基準に違反するような届け出がされた場合は、担当の部署が個別にその社員に指導を行って、会社の作った基準に沿った形で副業をするように求めることができるようになります。

また会社としてさらに副業について一定のルールを設けたいと考えている場合はこのような基準を設定した上で副業を許可制とすることも考えることができます。

複業解禁の対象者の選定

次に行うのが副業解禁の対象者の選定です。方法が3つあります。

全社員副業解禁する方法

①全社員に副業解禁する方法
②ある特定の部署に限る方法
③一定の入社歴のある社員に限る方法

この、いきなり全社員に副業解禁と言うのも良いですが、まずは一部の社員にトライアルをしてみて、その反応や周りの状況を見てから全社員に波及させていく方法が良いでしょう。小さく始めて大きく育てるという視点が大切です。

まずトライアルをする対象者ですが次のような設定の方法があります。オススメは、②と③の組み合わせです。まず部署と入社〇〇年もしくは〇〇ヶ月以上のものと限定し小さく始めてみましょう。

なぜなら副業については機密漏洩のリスクがあったり、タスクの管理を自分で行う必要があるなど、ある程度その社員の自己管理能力・自律性が求められるからです。入社後一定の期日以降の社員から始めるとすることで、会社としても安心して副業解禁することができるでしょう。

トップメッセージ発信

副業解禁には制度の整備風土の醸成という2つの視点が必要です。制度については上記のように就業規則を改定する方法で準備をしていきますが、同時に社内の風土の醸成もしていくことが必要です。

冒頭でなぜ副業解禁したいのか目的を明らかにすることをお伝えしました。副業解禁と言うのは、社員の自己管理能力や自律性が求められる求められます。また、制度だけ改定して誰も副業解禁について実行しないというような絵にかいた餅と言う状態を避けるためにも、副業解禁の風土を醸成することが重要になります。

風土の醸成の最初の1歩として、経営者のトップメッセージを全社員に発信します。副業解禁してもなぜそれが解禁されたのか、何を目的にされているのか、会社は何を目指しているのかという点を、従業員に知らせることをしないと、社員は本当に副業をしても良いのか分からないものです。ためらいが生じてしまうのです。これを避ける意味でも、経営陣からの熱い思いをトップメッセージとして全社員に届けます。

トップメッセージで伝えること

朝礼や全社員の見るビデオメッセージなどで伝えます。

・副業解禁についての目的
・目指す姿
・社員に求めることなど

ポイントはこれらを経営者の自分の言葉で語っていただくことです。それによって経営者の本気度や熱い想いが伝わり、社内の風土が作られます。そしてそのメッセージについて社内報に載せたり、社内イントラネットに掲載するなど社内における広報活動をしていきます。ポイントはトップから直接副業解禁の熱い思いを伝えることです。

説明会(社員向け)とその後のフォロー

トップからのメッセージの次は、就業規則を改定し、従業員への説明会を行います。社員への説明会では次の点を伝えます。

従業員説明会で伝えること

・副業解禁の目的
・注意事項
・副業の申請方法
・副業の対象業種など
・機密事項の取り扱いの注意点

また重要なのは情報漏洩対策です。自社で知りえた情報を他社に漏洩させてはならない点、さらに、副業先で得た情報を、自社に漏洩し活用してはならない点を従業員に理解をさせましょう。

その後実際に対象社員にフォローしていきます。具体的には説明会での不明点や意見についてヒアリングをすることも重要です。副業解禁についてポジティブな考えたのか、もしくはネガティブな考えなのか生の声をヒアリングします。

このようにして副業解禁は進めていきます。そして1ヵ月後3ヶ月後、半年後1年後など一定の期間ごとに、従業員へヒアリングを実施し状況を再確認します。その上で副業解禁のルールについて再度見直しうまくいってる状態であれば、さらに対象者を広げることを検討しましょう。

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