「あ~この会社やらかしてるな」企業調査マンは何を見てるの!?
- 企業調査マンの視点は「分相応かどうか」
- 設備投資の失敗は経営に直結する
- 借り入れが多いところはもちろん要注意
「企業調査マンの人って、企業の何を見てるんですか??」
よく受ける質問です。いや必ず受けると言ってもいいくらいです。
企業調査にもマニュアルがあります。基本的にはマニュアルに沿って調査を行い、最終的に格付を行います。ただ企業調査マンも人間ですから、独自の視点、感覚みたいなものを持っている人も多いんです。
起業家も人と会うことが多いと思いますが、「あっ、この人できるな」とか「この人はチョット信用できないな」とか、自分なりの感覚みたいなものを持っている方もいらっしゃるんではないでしょうか?
その中でも多くの企業調査マンが持っている視点、感覚って何なんでしょうか?
⇒分相応かどうか?
起業家の方ならおわかりいただけると思うんですが、企業ってその成長過程で様々な困難に立ち向かうわけですよね。そして、その困難を乗り越えた企業だけが生き残るんであれば、その鍵を握るのは分相応という考え方だと思うんです。
それでは、企業経営の何処に分相応か不相応かが現れるんでしょうか?
今年、シャープが台湾企業の傘下に入ったというニュースはまだ記憶に新しいことだと思います。
日本を代表する名門企業がなぜこのような事態になったのか。
理由はいろいろあるかと思いますが、その中の一つに設備投資の失敗があります。液晶パネルの増産に対応するため、最新鋭の大型工場を作ったんですよね。
企業規模に関係なく、設備投資の判断はとても難しいものです。需要予測や景気判断なんて、なかなか正解が出せないんです。また、季節性の商品であれば、ピーク時の需要に応えるためとはいえ、どこまでの生産能力を持つべきなのか、答えがわかれば苦労はしません。
ただ言えることは、一つの設備投資の失敗、見込み違いが会社の存続を左右する事態は絶対に避けないといけないんです。
前職で私が担当していた化学薬品卸会社のお話です。
販売先のメーカーが近々、設備増強をするということで、当時業界が盛り上がっていました。もちろん、卸業界にとっては取引増のビッグチャンスです!
私はそのメーカーのことを調べてみたんです。すると、投資額が年商に匹敵する額だったのです。私には明らかに分不相応に見えました。
嫌な予感がしたので、鼻息が荒くなっている先方の担当者に取引は慎重にした方がいいですよってアドバイスをしておきました。
もちろん、その根拠が分不相応であること、また過去の過大な設備投資による倒産事例も、交えながら・・・。
その後、倒産という最悪の事態にはならなかったものの、そのメーカーは支払い遅れ、銀行に対する返済のリスケジュールなど、噂が絶えない会社となったんです。
設備投資は企業が成長する過程で必ず実施していかないといけないことです。ただ、やはり限度というものはあります。起業間もない会社であれば、せめて減価償却額程度に押さえておくべきだと思います。
優先順位からすると、設備投資前にコストダウンなど、体力増強に重点を置くべきなんです。