確定申告は代行してもらうべき? 費用やメリットは?
- 個人事業主や会社員で副業するにあたって悩みのタネの確定申告
- 確定申告の代行サービスがあるのをご存知ですか?
- 確定申告代行の代行先や報酬の相場が分かる。メリットも解説
個人事業主や会社員で副業を始めた人にとって、確定申告は悩みのタネの一つです。特に初めて確定申告する人は準備の仕方や提出書類など何をすればいいのか分からないのがほとんどです。
「確定申告のことがよく分からない」「申告作業が面倒くさい」といった方がよく利用するのが「確定申告の代行サービス」です。代行業者の中には依頼主の帳簿作成から決算書作成、また申告業務まで一括で請け負う会社もあります。
今回は、確定申告の概要から確定申告の代行先や代行報酬費用の相場、メリットなどを説明します。代行サービスの利用を検討している個人事業主の方などは是非参考にしてみてください。
確定申告が必要な人は法人や個人事業主・フリーランスであり、一般的なサラリーマンがこれに該当しません。
税金は税務署宛に納付と申告をすることになりますが、会社員の所得(収入)に対しての税金である所得税の場合は、上記の通り会社側が年末調整にて各定額を算出して納付及び申告をしますので、通常、会社員が自身の税金の申告や納付を意識する必要がありません。
会社員や会社の役員は、毎月の給与または報酬から所得税を会社によって天引き(源泉徴収)されます。給与から引かれた所得税は、その時点では生命保険料の控除などを計算に含めていない概算の金額です。全ての条件を含めた本来の所得税額は、毎年12月の「年末調整」の際に算出することになっています。
年末調整により算出した本来の所得税額が、毎月の給与から差し引いた所得税の合計額より多い場合には本人に差額を返還し、少ない場合には追加で徴収をすることになります。なお会社員でも確定申告が必要な場合もありますが、後述します。
しかし、会社に属していない個人事業主や、会社員でも給与以外に所得のある人は、その所得に応じた税金を計算して確定申告書や決算書を用意し、税務署に申告及び納付をすることになります。これが確定申告です。
確定申告の所得の対象期間は1月1日から12月31日までとなっています。確定申告自体は翌年2月16日から3月15日までの間に行います。もし、確定申告の対象者が申告を行わなかった場合には、通常の税金に加えて、加算税や延滞税といった追徴税(ペナルティー)を納付することになります。
・所得は10種類
確定申告の所得は次の10種類に分類されます。
事業所得と雑所得は混同しやすく、「長期間に渡り安定して収入がある」「長時間を費やしている」ことが事業所得であることの目安となっています。
一方、会社員でも、以下の条件に該当する場合には確定申告の対象となります。
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確定申告は「青色申告」または「白色申告」のどちらかで行います。両者の違いや特徴を見ていきましょう。
まず青色申告とは、複式簿記方式にて帳簿を付けることで選択できる申告です。申告の際には、複式簿記が行き着くところの貸借対照表や損益計算書といった決算書を添付する必要があります。
青色申告には白色申告には無い利点があります。最大の利点は、利益から65万円を控除(削減)できることです。税金は利益額に応じて設定されますので、利益が減少するということはすなわち税金も減少することと同義になります。
なお、この65万円控除は個人の所得税が対象となり、法人の法人税においては対象外となります。また、青色申告では複式簿記ではなく簡易簿記を選択することもでき、この場合の控除額は10万円となります。
2つ目のメリットは、「家族に対する給与」を経費とすることができることです。経費は利益を減らし、結果税金を減らします。家族へ給与を支払っている場合、その分を経費として扱えることは、納税の面においてメリットになります。
給与として扱われるためには、家族であること(青色申告者と生計を一にする配偶者か親族であること)の他に、年齢が15歳以上であることや、事業への従事が6 カ月を超えていること、そして届出書への記載金額の範囲内であることが要件となります。
さらに、もう一つの大きなメリットは赤字を繰り越せることです。赤字を繰り越せるということは、翌年以降の黒字を減らすことができる、すなわち、税金を減らすことができるということになります。赤字の繰り越しには期間があり、法人の場合は9年、個人の場合は3年となります。
次に、白色申告の特徴を見ていきましょう。白色申告の最大の特徴は、複雑な複式簿記を取り入れる必要がなく、青色申告に比べて簡潔に確定申告ができることです。
その他の特徴には、青色申告の利点である家族への給与を経費とすることができないこと、また赤字の繰り越しができないことがあります。これは白色申告のデメリットと言えます。
白色申告は青色申告に比べて簡潔であることを特徴としていますが、青色申告を行う上での取り決めであった記帳や帳簿などの保存を、白色申告においても行うようにと平成26年度制度改正の際に義務付けられました。そのため、白色申告の簡潔であるというメリットはかつてより減少しているといえます。
白色申告では赤字の繰り越しができないと言いましたが、赤字の繰り越しが認められている例外が2つあります。
1つ目は、漁業を営んでいる場合や原稿料、著作権使用料といった年ごとの所得額が大きく変わる可能性がある「変動所得」と呼ばれる所得に該当する場合です。
2件目は、台風や地震などの災害によって事業用の資産が損害を受けた場合の「被災事業用資金」に当たる場合です。
確定申告では確定申告書とその他添付書類を提出することになります。確定申告書には「A様式」と「B様式」の2種類があり、確定申告書のA様式は、給与所得や公的年金などを受給する、会社員や年金受給者が使用するものです。確定申告書のB様式は、個人事業主など誰でも使用することができます。
会社員の副業が給与所得や雑所得である場合にはA様式を使用し、事業所得の場合にはB様式を使用します。ただし、B様式は事業所得に限らず全ての所得で使用できますので、どちらか迷う場合にはB様式を選択しておくと良いでしょう。
確定申告書への添付書類は、青色申告か白色申告か、また所得の種類によって異なります。両者に共通する添付書類の一つは、給与所得や公的年金の受給がある場合には給与や年金の源泉徴収票です。
該当する控除の各種必要書類も添付書類となります。控除の必要書類とは、社会保険に加入している場合には社会保険料の控除証明書、生命保険料の控除の場合はその証明書、そして地震保険料控除の場合にはその証明書などとなります。雑損控除や寄付金控除を適用する場合はその領収書などを添付します。
なお、会社員の場合で、社会保険・生命保険・地震保険の控除証明書を年末調整時に会社に提出している場合は、それらは源泉徴収票にて代用できることとなっています。
医療費控除を適用する場合は医療機関受診書の控えと医療費の領収証を添付します。住宅ローン控除の添付書類は住宅借入金等特別控除額の計算明細書などとなります。
なお、住宅ローン控除の2年目以降は、住宅ローン残高証明書と年末調整のための住宅借入金等控除証明書の2つを年末調整時に会社に提出することで、確定申告自体が(他に確定申告をする必要がなければ)不要となります。
そして、青色申告の場合は「青色申告決算書」を提出します。青色申告決算書には所定の様式があり、一般用、不動産所得用、農業所得用、現金主義用の4種類がありますが、不動産所得、農業所得ではない場合は、通常、一般用を用います。
白色申告の場合は、青色申告決算書ではなく、所定の「収支内訳書」を提出します。収支内訳書には、一般用様式、不動産所得用様式、農業所得用様式の3種類があります。
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