法人を設立して節税しよう

ポイント
  1. 法人を設立することによって税制上のメリットがある
  2. 法人化したあとの経費上のメリットについて解説
  3. スケールしてきたら法人成りも考えよう

これから起業を考えている皆様。起業の方法として、「個人事業主」とするか「法人」とするか悩んでおられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。どちらを選ぶかについては、色々な視点があるかと思いますが、本日は「節税」という観点でどちらが有利なのか考えて見たいと思います。

結論から申し上げますと法人」を選択した方が「節税」になる場合があります。本日は「法人」を設立した場合においてどのように「節税」となるのか解説していきたいと思います。

法人にすると自分自身に対して「給料」を支払うことができる!

例えば売上高が年間700万円で仕入や経費に年間400万円かかり、正味の利益が300万円かかったとします。個人事業主の場合にはこの300万円に対して所得税がかかります。話を単純化するため一切の所得控除がないものとすると、300万円×10%-9万7千5百円=20万2千5百円の所得税がかかります。

法人の場合にはどうなるでしょうか。法人の場合には、社長であるあなた自身に対して「給料」を支払うことができます。会社の役員に対して支払う給料は正確には「役員報酬」といい、年度の途中で金額を変更できないなど一定の要件を満たす必要がありますが、法人の経費として算入することができます。

先程の例で、正味の利益300万円をすべて役員報酬として支払うこととしましょう。そうすると、法人の利益は0円となりますね。法人に利益が残ると利益に対して一定の率をかけた法人税が課税されるのですが、利益が0円の場合は法人税も0円です。

一方で、社長である貴方は役員報酬を法人からもらっていることに対して所得税がかかります。しかし、この場合の所得税の掛かり方が個人事業主で利益を300万円あげた場合と異なってきます。

所得税は所得の得られ方によって、10個に所得を区分しており、事業であげた利益にかかる所得税の計算方法と役員報酬としてもらうお金にかかる所得税の計算方法が異なるためです。事業で儲けた所得については所得税に関するルールを定めている「所得税法」では「事業所得」に分類されるのに対し、役員報酬は「給与所得」に分類されます。

「給与所得」については、「給与所得控除」という規定があり、所得に対する一定額を「概算経費」的に所得税の計算上、差し引けるという仕組みがあるのです。具体例を設けて説明すると、例えば300万円の役員報酬を法人から受け取る場合、なんと300万円×30%+18万円=108万円もの給与所得控除がとれます。

その結果、所得税は(300万円-108万円)×5%=9万6千円と計算され(先ほど同様所得控除は一切考慮しない)、所得税の支払額だけで比較するとなんと税金が10万6千5百円も安くなるのです。これには2つ理由があります。一つ目は説明した通り、「給与所得控除」という概算経費的な所得控除が受けられるという点。もう一つは所得税の計算過程で掛け算している「率」に着目してほしいのですが、個人事業主の場合は10%を乗じていたのに対して、法人の場合は5%を乗じているという点です。

なぜ2つのケース間で異なる税率を乗じているかというと所得税は所得の多寡に応じて税率が異なる「累進税率」方式をとっているためです。所得税の計算上は所得が多いと税率は高くなり、所得が小さくなると税率は低くなります。個人事業主の場合は、所得税の計算の基礎となる所得が300万円であるのに対して法人から役員報酬をもらっているケースでは所得税の計算の基礎となる所得は192万円(=300万円-108万円(給与所得控除))であり、両者では税率が10%と5%と、異なることになるのです。

以上、確認していただいたとおり個人事業主で利益をあげる場合と、法人であげた利益をそっくりそのまま役員報酬として社長に払い出す場合では後者のほうが節税になるということをご理解いただけたかと思います。

ただし、現実の世界で法人に残る利益が0円になるように役員報酬の金額をぴったり設定するというのは難しいかもしれません。法人に利益が残るようだと利益の水準にもよりますが、個人事業主のほうが法人税や住民税、事業税まで含めた税額トータルでみると節税になる場合も考えられます。

また、法人にすると赤字でも毎年発生する税金として「住民税の均等割」が発生します。住民税の均等割は自治体によって異なりますが、資本金1千万円以下の法人の場合、年額7万円または8万円となります。こうしたことも考慮して、どちらが節税になるか検討する必要があります。

このほか個人事業主と法人のどちらが得か検討する際には健康保険料や年金保険料といった「社会保険料」に関しても考慮する必要があります。個人事業主の場合は基本的には「国民健康保険」と「国民年金保険」に加入し、法人の場合には特定の業種を除き基本的には「協会けんぽ」と「厚生年金保険」に加入することになろうかと思います。

これらのうち、「国民健康保険」に関しては自治体ごとに料率や細かい算定式が異なるためここでは詳しい解説は致しませんが、実際に個人事業主と法人のどちらが有利か検討する際には社会保険料まで含めて検討する必要があります。

こちらもあわせてお読みください。
個人事業主と法人の経費の取り扱いや範囲の違い

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