NPO法人の税務申告の流れ
- NPO法人の税務申告の流れを知ろう
- NPO法人で収益事業を行っている場合は法人税の確定申告が必要
- 実際の申告書の作成方法を知ろう
活動計算書の作成後から法人税の申告までには、次の4つの段階があります。
①計算書類の事業別管理
↓
②共通経費の按分
↓
③収益事業にかかる損益計算書の作成
↓
④法人税の申告書作成
一つずつ見ていきましょう。
法人税の申告には全体の活動計算書のほか収益事業と非収益事業とを区分経理した活動計算書の作成、すなわち事業別管理が求められます。
事業別管理で各事業を把握・集計し、収益事業と非収益事業とに分けて把握する必要があるわけです。
事業別損益
科目 |
A事業 |
B事業 |
事業部門計 |
管理部門 |
合計 |
I経常収益 受取会費 受取寄付金 事業収益 経常収益計 |
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Ⅱ経常費用 (1)人件費 (2)その他経費 経常費用計 |
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当期経常増減額 |
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事業別管理のため収益事業と非収益事業とを区別し、表では「A事業は収益事業」、「B事業と管理部門は非収益事業」などの明記が必要になります。
上表は「その他の事業」がないケースですが、ある場合は収益の「経常外収益」を加え、費用の「経常外費用」を控除した「当期正味財産増減額」が記載されます。
次は管理部門の共通経費を一定の配賦基準に基づき事業ごとに按分する作業になります。
管理部門の経常経費は、A事業、B事業、管理部門の経費が含まれる共通経費であるため、1-3で確認した配賦基準等に基づき事業ごとに按分しなければなりません。
そして、法人税の対象となる収益事業について、損益計算書を作成します。
まず先の事業別損益から非収益事業であるB事業の削除が必要です。そして、表に共通経費として按分する部分を加え、収益事業であるA事業の額と合算できるようにします。
たとえば、共通経費の配賦基準として、A事業、B事業、管理部門(非収益)の按分率を65:30:5とすると、表は以下のようになります。
収益事業別損益計算書(例)
科目 |
A事業(a) |
管理部門(b) |
按分後(c) (B×0.65) |
合計 |
I経常収益 事業収益 |
2,000,000 |
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|
|
経常収益計 |
2,000,000 |
0 |
0 |
2,000,000 |
Ⅱ経常費用 (1)人件費 (2)その他経費 |
500,000 200,000 |
600,000 360,000 |
390,000 234,000 |
890,000 434,000 |
経常費用計 |
700,000 |
960,000 |
624,000 |
1,324,000 |
当期経常増減額 |
1,300,000 |
▲960,000 |
▲624,000 |
676,000 |
最後は、収益事業別損益計算書に基づき、法人税の申告書を作成することになります。
損益計算書の利益は収益と費用による認識で、法人税上の所得は益金と損金で認識され算定されます。
利益と所得では異なる部分もあり、収益事業別損益計算書で算定された「当期経常増減額」に所定の加算と減算が行われ、所得が算定されるのです。
そして、その課税所得に対して法人税率を乗じれば法人税額が算定されます。なお、NPO法人は法人税法上の公益法人等として扱われ、収益事業の所得が年800万円以下の部分は19%、年800万円超の部分については23.2%です(開始事業年度が平成30年4月1日以後適用。平成31年3月31日までの間に開始する事業年度については15%が適用される)
また、震災復興支援措置として法人に課せれる「復興特別法人税」も適用され、その税額は「課税標準法人税額×10%」で算定されます。所得の年800万円以下と超の部分の各々で10%が乗じられるわけです。
なお、NPO法人も青色申告制度が適用されます。青色申告書で確定申告する場合、NPO法人も9年間赤字(欠損金)の繰り越しが可能で、繰越控除が受けられるのです。
法人税額が算出できれば、後は確定申告書へ記入して提出となります。
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