現役コンビニオーナーに聞く!フランチャイズ加盟店のホントのところ〜開業まで〜
- コンビニ経営のきっかけは母!
- 面接から開業まで2年!時間がかかる店舗決め
- 旅行業界からコンビニの経営者へ、決断の理由は家族との時間
フランチャイズ加盟を考えたときに、一番初めに頭に浮かぶのが「コンビニの経営」ではないだろうか。年中無休24時間経営のコンビニのフランチャイズにはマイナスな意見もあるが、実際はどうなのだろうか?現在も某大手コンビニチェーンを2店舗運営しているオーナーの壹岐聡さんに、開業から実際に店舗運営に到るまでのお話を伺った。
コンビニのフランチャイズ経営をしております、壹岐と申します。よろしくお願いします。
ー よろしくお願いします!今、壹岐さんは個人でフランチャイズ契約されているのですか?
壹岐)そうです。うちは家族でコンビニ経営をやっているんですけれども、母親が個人でフランチャイズ契約をしています。
基本的にはフランチャイズ契約をする時には、まず個人で契約をして、その後に複数店舗を運営することになった場合に、法人成りをし、会社としてフランチャイズをするという形をとるお店が多いですね。
ーフランチャイズに加盟された時はおいくつの時だったんですか?
28の時ですね。
ーどういう経緯でフランチャイズを始められたんですか?
簡単に言うと、うちの場合は母親がやりたいと言ったのが始まりでした。実は僕、学生の時にうちの母と一緒にコンビニで働いていた時期があったんですよ。
そこのコンビニでは、年に2回、商品をお披露目する展示会というのをやっていて、10店舗くらいの様々な大きさのモデル店を設置して、次のシーズンの商品を実際に見たり、食べたりできたんです。
いろんな大きさのモデル店があるんですが、それを見てこの陳列を真似しようとか、これから冬に向けて新商品が出るから、こういう並べ方がいいなとか、本部が推奨するものを見ることで、自分のお店のイメージを明確にできるんですよ。
あとは、秋冬だとクリスマスケーキやおせちとか、そういった季節ものの試食と展示もされていました。そこに母親が一回だけ行ったことがあるみたいで。それこそ20年くらい前なんですけどね。
その時にコンビニ経営に憧れを持ったみたいなんです。母は、もともと大手お弁当チェーンで店長やっていて、それもあって、コンビニの運営にも興味をあったみたいなんです。
ーお母様からお話を聞いた時はどんな風に思われましたか?
最初は「ふーん、コンビニやりたいんだぁ」くらいに軽く聞き流していたんですけど、本人は本気だったみたいで、地道に色々なコンビニの説明会にいっていたんですよ。
そのなかで、今運営しているコンビニが一番いいなって思ったらしく、面接することになったんですが、加盟店になるための面接って1年間ぐらいかかるんです。
資産とかそういったものもきっちり調べられるので時間が結構かかるんです。さらに店舗物件は契約が決まってから探して行くので、やりたいと思ってから開業するまでに2年くらいかかるんですよ。
ーえ?そんなにかかるんですか!?
そうなんですよ。場所を決めるのって結構大変なんです。本部がマーケティングをして決めた土地に 加盟店が手を上げて土地を決めていくんですよ。
どこでもいいからお店を出したいというのであればすぐ店舗が見つかるかもしれませんが、「基本的には通勤30分以内の距離に店舗を立てること」って決まっているのでなかなか難しいんです。自分の家から行けるところで考えればおのずと場所も限られてくるわけで。土地を決めるだけで1年とかそれ以上かかる人もいるみたいですよ。
自分の土地があって、そこにコンビニを建ててくれる場合があるかもしれないけれども、なかなか稀だと思いますね。ほとんどないと思います。
ーよし、コンビニやろう!と思っても、すぐにはできないんですね。
うちの母親も、会社を退社してから出店が決まるまで、バイトしてましたよ。
ー壹岐さんの場合は、だいたい2年くらいで開業されたんですよね?
そうですね。決まったのは1年半から2年弱くらいだったかな。たまたま家の近くのところで空いたので。
ー他のオーナーさんが運営をされてた店舗が空いてそこに入れるという感じですか?
いえ、そこは潰れたガソリンスタンドがあった場所でした。そこの地主さんがたまたま地元の人で、本部がこの場所でコンビニをやらせてくださいと交渉したんです。
でも、ガソリンスタンドの跡地はめんどくさいんですよ…。
まず、土地が汚染されているかどうかの確認があって、それで時間がかかるんです。そこで問題がなければ、建物を壊して更地にします。そこを本部が借りて、コンビニを建て、そこにうちが入るという形でした。
ー壹岐さんはコンビニ経営をされる前は何をされていたんですか?
僕は、旅行関係の仕事をしていました。海外で行われるスポーツの大会とかって、だいたいどこかの旅行会社がついていて、選手やスタッフさんが滞在する宿泊先などの手配をしているんですよ。そういうスポーツ関係の仕事と、一般企業の方たちの研修だったりとか、国関係の仕事だったりとか、個人の旅行じゃなく、団体の旅行のプロデュースをしていました。
ー旅行のプロデュースって楽しそうですね。
しかったですよ。自治体とか会社とか そういったところから依頼を受けて、それぞれの特性に合わせて研修や視察の日程を組んで、その間にせっかくだから観光を入れてとか、スケジュールを組んでいくんです。
ー元々旅行業界に興味があったんですか?
そうです。元々海外に住みたかったんです。本当は日本の国内の会社じゃなくて、ヨーロッパのリゾート系の会社に勤めて、向こうで生活しかったんです。
ー やりたいお仕事をやられてたわけじゃないですか。そこからどうしてコンビニの経営に踏み切られたんですか?
色々なタイミングが重なったんですよ。お店ができた時って、ちょうど僕が結婚をして子どもができた年なんですよ。旅行関係の仕事って本当に出張が多くて、年間100日くらい行ってた時期もあって。
ヨーロッパに2週間行って帰ってきて、神戸に行って帰ってきて、屋久島に行って帰ってきて、北海道に行って帰ってきて、ていうのを一か月半くらいでやっていくと、自分がどこに行って何をしているかさっぱり分からなくなるんですよ。
仕事自体は楽しいんですが、結婚して先のことを考えた時にこのまま続けていくのは難しいとは感じていたんです。
ー確かに、お子さんにも顔を忘れられそうですもんね…。
あと、給料面にも関しても思う部分はあって…。なんとかしなければなと考えていた時に、母親のコンビニ開業が決まったんで、じゃあ俺もやろうと!ということで始めました。
ー開業されて給料面は変わりましたか?
上がりましたよ!金額は言えないけれど(笑)
ー資金面についてお話をお伺いしたいのですが、最初お店を出される時の資金ってどのくらい用意されたんですか?
500万円くらいですね。これは店舗のタイプやコンビニ各社の本部によって違うので一概には言えませんが、500万円あれば審査は最低限通ります。ただ、間違えちゃいけないのは、 開店するときにかかる500万円の他に、お店をオープンした時に借金をしなければならないということです。
ーというと?
店舗に並べる商品の仕入れ金は、加盟店が支払う事になっているのですが、最初は本部が業者に一括で支払ってくれるんですよ。だいたい最初はお店の中に、700万円くらいの商品が入るんですが、その分を立て替えてくれるんです。
なので、オープン時には700万円の借金をしてスタートしていくことになっていくんですよ。
ーこれはロイヤリティーに含まれるんですか?
いいえ。別です。最初は5年くらいで返すのが目処なのかな。だいたいそれくらいかかりますかね。
ただ、この借金はあまり気にしなくていいかなと思うんですよね。フランチャイズのメリットって低資金ですぐにお店を開店できるところにあるので、長い目で見れば返せない額ではないですし。
こういうところを「反則じゃないか!」っていう声も確かにあります。でも、そこはしょうがないって思っています。いろいろ言われてますけど、僕はフランチャイズの制度自体は素晴らしいものだと思いますよ。
ーなるほど。その辺りは考え方次第ですね!
開業編に続く!
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