2020年最新/会社設立、法人設立数の推移のまとめ
- 会社法の改正がポイントとなった
- 法人数は増加傾向
- 合同会社の割合が年々増えている
法人には株式会社・合同会社・NPO法人・一般社団法人をはじめとして様々な法人の形態があります。
ここでは公表されているデータを元にして、各種法人の設立数などについて紹介していきます。
まずは全ての法人形態を合計した新設法人が近年でどのような設立状況になっているかを理解しておきましょう。あなたがおこないたい事業にふさわしい法人の様子を知ることも大切ですが、新規法人設立数は経済の勢いや状況にも直結してきますので、経済環境の変化もデータから導き出せるはずです。
年度 | 設立数 |
2009年 | 96,969社 |
2010年 | 99,780社 |
2011年 | 101,914社 |
2012年 | 104,044社 |
2013年 | 110,074社 |
2014年 | 119,552社 |
2015年 | 124,996社 |
2016年 | 127,829社 |
2017年 | 131,981社 |
新設法人は会社法が改正されて資本金の要件が緩和されて以降は年々右肩上がりで増加傾向にあります。改正により会社を設立することが容易になったということもあるでしょうが、日本人の中に起業家精神を強く持った方が時代の変化とともに増えてきたとも分析ができるのではないでしょうか。
ここでは株式会社の設立数の推移を見ていきましょう。※データは政府統計の総合窓口であるe-Statより
年度 | 設立数 | 設立全体の占有数 |
2007年 | 95,363社 | 94% |
2008年 | 86,222社 | 94,1% |
2009年 | 79,902社 | 93,3% |
2010年 | 80,535社 | 91,8% |
2011年 | 80,244社 | 89,8% |
2012年 | 80,862社 | 88,1% |
2013年 | 81,889社 | 84,9% |
2014年 | 86,639社 | 81,4% |
2015年 | 88,803社 | 80% |
2016年 | 90,495社 | 79,2% |
会社法の改正で株式会社以外の設立(特に合同会社)がコスト面でも安く手続き面でも手軽に設立できるようになりました。結果として設立全体数に占める株式会社の占有率はだんだんと減少傾向にあります。それでも設立される法人の80%前後は株式会社と割合は圧倒的に多くなっています。
ここでは会社法の改正により登場した合同会社の設立数の推移について見ていきます。※データは政府統計の総合窓口であるe-Statより
年度 | 設立数 | 設定全体の占有率 |
2007年 | 6,076社 | 6% |
2008年 | 5,413社 | 5,9% |
2009年 | 5,771社 | 6,7% |
2010年 | 7,153社 | 8,2% |
2011年 | 9,130社 | 10,2% |
2012年 | 10,889社 | 11,9% |
2013年 | 14,851社 | 15,1% |
2014年 | 19,808社 | 18,6% |
2015年 | 22,223社 | 20% |
2016年 | 23,787社 | 20,8% |
改正前に存在していた有限会社が改正により設立できなくなり、代わりの存在として合同会社が登場してきました。
改正当初はあくまでも有限会社の代わりの存在のような認識だったようですが、だんだんと存在感を発揮して最近では設立される法人の20%前後が合同会社となっているので社会的にも認知されてきたといえるでしょう。
ここでは一般社団法人の設立数の推移を見ていきます。
一般社団法人は2008年に法律(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)が施行されました。
それまでは、設立に公益性が必要とされたために数が少なかったのですが、法律が施行されて以降は公益性がなくても一般社団法人として設立が可能になりました。このため公益性をもたない任意団体などが社会的信用を高めるために一般社団法人として法人格を取得するケースが増加しているようです。
※データは東京商工リサーチより
年度 | 設立数 | 設立全体の占有数 |
2012年 | 3,698社 | 3,5% |
2013年 | 4,374社 | 3,9% |
2014年 | 5,000社 | 4,2% |
2015年 | 5,552社 | 4,4% |
2016年 | 5,996社 | 4,7% |
2017年 | 6,379社 | 4,8% |
非営利活動をおこなう組織として業務の範囲も法律によって定められているのが特定非営利活動法人(NPO法人)となります。現在は認証制度の他に認定制度も導入されていますので、ここでは特定非営利活動法人の認証数と認定NPO法人の数についても紹介しています。
※データは内閣府の発表資料より
年度 | 認証法人数 | 認定法人数 |
2001年 | 6,596社 | 3社 |
2002年 | 10,664社 | 12社 |
2003年 | 16,160社 | 22社 |
2004年 | 21,280社 | 30社 |
2005年 | 26,394社 | 40社 |
2006年 | 31,115社 | 58社 |
2007年 | 34,369社 | 80社 |
2008年 | 37,192社 | 93社 |
2009年 | 39,732社 | 127社 |
2010年 | 42,385社 | 198社 |
2011年 | 45,138社 | 244社 |
2012年 | 47,540社 | 407社 |
2013年 | 48,980社 | 630社 |
2014年 | 50,087社 | 821社 |
2015年 | 50,866社 | 955社 |
2016年 | 51,514社 | 1,021社 |
2017年 | 51,871社 | 1,066社 |
2018年(1月) | 51,695社 | 1,095社 |
NPO法人は認定制度が導入されて以降は認定NPO法人として設立するケースが増加していることがわかります。災害などのボランティア活動をはじめとして日本人の意識が高くなっていますので、利益を追求しないNPO法人の数は今後も増加することが予想されます。社会起業家を目指す方にはNPO法人は最適ともいえますので、是非検討してみてください。
最後に事業を行う最小単位である小規模企業・個人事業主の数の推移を紹介しておきます。小規模企業のデータは隔年または数年ごとに発表されていますので、毎年連続のデータでないことは最初に理解したうえでご覧ください。
※データは中小企業庁発表の資料より
年度 | 企業者数 |
1999年 | 4,230,000者 |
2001年 | 4,100,000者 |
2004年 | 3,780,000者 |
2006年 | 3,660,000者 |
2009年 | 3,670,000者 |
2012年 | 3,340,000者 |
2014年 | 3,250,000者 |
小規模企業者は法人と比べるとケタが1桁違うレベルで存在しています。ただ、中小企業庁のデータでも述べられていますが、2012年から2014年にかけての流れで開業が36万者に対して廃業が51万者と開業と廃業がはげしいのが小規模企業者・個人事業主であるといえるでしょう。
データも見たところで主要法人のメリット・デメリットを簡単に確認しておきます。
あなたがおこないたい事業と合わせて最適な法人を選択してください。
株式会社のメリットはなんといっても株式会社の社会的な知名度・社会的信頼性が高いことに尽きるでしょう。社会的信頼性の高さは法人設立数に占める割合を見ても理解できると思います。
株式会社のデメリットは設立資金が高いことになるでしょう。法改正により、資本金は1円からで設立可能になりましたが、社会的信用性を得るには1円の資本金では不足ですのである程度の資本金は必要となります。また登記に必要な登録免許税が最低でも13万円必要ですので、専門家に依頼して設立する場合には資本金以外で30万円程度は必要だと覚えておきましょう。
合同会社のメリットは設立資金が株式会社と比較して安くなることがあります。株式会社よりも登記の際の登録免許税も6万円と安いですので、起業を始めて行う方には最適な形態かもしれません。
デメリットとしては株式会社と比較すると世間の人はどうしても合同会社は株式会社よりも小さいイメージをもたれているところかもしれません。
一般社団法人のメリットは公益性を認められれば公益社団法人となれることでしょうか。また設立に資本金が不要で公益事業を行う場合には寄付金を募集しやすいために経営が安定しやすいこともあるでしょう。
一般社団法人のデメリットとしては税金のかかる事業とかからない事業がありますので、行っている事業でしっかりと分けておく必要があります。後、一般社団法人そのものの存在があまり世間の方に認知されていないので、一般社団法人とはどのようなものかを知ってもらうことが最初のハードルになるかもしれません。
NPO(特定非営利活動)法人のメリットは設立費用が安く済むということでしょう。まだ税制面でも優遇されていますし、NPO法人の認証を受ける手続きが大変なため社会的信用度が高いこともメリットとなるでしょう。
デメリットとしては原則的に営利活動が禁止されていますので、大儲けは難しいという点です。また決算書を自治体に提出する義務もあり、監査が入ることもありますのでいい加減な経理処理は許されないことは要注意です。また法律でNPO法人となれる分野が決まっていますので、決められた分野以外で事業を行いたい人は最初からNPO法人が選択できないことも挙げられます。
個人事業主のメリットは開業届さえ提出すればすぐにでも始めることができるフットワークの軽さでしょう。事業も基本的に1人で行うためにあなたのペースで好きな仕事をおこなうことが可能です。
デメリットとしては弁護士を始めたとした国家資格者であれば社会的信用が資格の面から担保されているものもあります。しかし一般的な個人事業主では金融機関の融資などの点で法人と比較すると不利になることもあるので規模を大きくしたいのであれば個人事業主は向かないかもしれません。
今回は発表されているデータを元に法人の増加数などを紹介してきました。今後起業を考えている方はデータを有効に活用して見極める力も必要になってきますので、せっかく無料で公表されているデータなのですから最大限に活用してあなたの事業の発展に生かしていってほしいと考えています。
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