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事業承継にかかる贈与税や相続税の負担が軽減される?後継者は知っておきたい特例事業承継税制

ポイント
  1. 事業承継税制が大幅に拡充されて実質税金ゼロで自社株の引継ぎが可能となりました
  2. この特例を使える会社、先代オーナー、後継者には要件があります
  3. あくまで納税猶予。猶予取消リスクと届出管理には注意する必要があります

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事承継税制が改正されて、特例が出来て、ほぼ税金ゼロで自社株が引き継げるようになった!とお聞きになったことがあるかもしれません。
また、これから事業を継承するのに、株式の承継でいくらかかるのか、気がかりな後継者の方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、これから使える事業承継税制の特例の全体像について、解説致します。

第一章 そもそも事業承継税制って何?

そもそも事業承継税制とはどんな制度なのか、誰のどんな負担を軽減する制度なのかを見ていきましょう。

(1)なぜ、いま事業承継が課題なのか?

数年前から事業承継が喫緊の課題として、国を挙げて、政策が次々と打ち出されています。
今回のテーマである事業承継税制もそうですが、事業承継にかかる補助金も準備されています。

ちまたには、事業承継をテーマにしたセミナーや催しが多く企画され、いったいなぜ、これだけ事業承継が叫ばれているのでしょうか?

2017年に発表された中小企業庁の試算では、今後10年で平均引退年齢の70歳を超える経営者は全体の6割超にあたる約245万人に達しそのおよそ半数である約127万人の後継者については、「後継者が決まっていない」という衝撃的な事実が示されました。

このまま放置すると、2025年頃までの10年間で、約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われるということで、日本経済の大きな問題ととらえられ、あちこちで施策が打たれることとなりました。

開業率を上げ、廃業率を下げることが、経済活発化の原則ですが、起業を後押しして開業率を上げる施策を中心に国は行ってきました。しかし、事業承継がうまくいかないと、産業そのものがなくなったり、雇用に与える影響が少なくないとのことで、ここ数年で本腰を入れて数々の施策を出しています

そのなかのひとつが、今回の特例事業承継税制です。

事業承継税制とは、簡単にいうと、会社の事業承継をするときに、会社の株式を後継者が引き継ぐのですが、その株式の引継ぎに贈与税や相続税という負担がかかるところを、軽減するというものです。

これまでも、特例でない「事業承継税制」はありましたが、なかなか事業承継が進んでいない状況を見過ごせないとし、今回の「特例」の創設に踏み切ったものといえます。

(2)中小企業の株式を承継すると贈与税・相続税がかかる

株式というと、証券会社を通してトレードする上場株式などを思い浮かべる方も多いかと思いますが、実は中小企業であっても株式会社なら株式があり、そして、上場株式と同様に、株式の「評価」があります。
中小企業の株式は、上場株式のように市場で売買できるものではありませんが、評価額があるのです

出資金を出して会社を設立したオーナーの所有する株式の評価は、その会社が儲かって内部留保が多くなればなるほど、高くなります

もし、そのオーナーが事業承継で、息子にその会社の株式を引き継がせようとし、株式を贈与すると「贈与税」がかかり、オーナーが亡くなったことにより会社の株式を息子が相続すると「相続税」がかかります

中小企業の株式は、先述した通り、市場で売買はしませんので、換金できることはほとんどありません

しかし、その換金できない株式についても、一定のルールに従って、財産価値を評価します。
そして、その財産価値について、息子に承継させようと贈与すれば「贈与税」が、相続させようとすれば「相続税」がかかるのです。

(3)自社株を承継するには納税資金が必要

何代も続くような優良な会社であればあるほど、会社の株式の評価は高くなります。

評価方法について詳細に触れることは別の機会を設けるとしますが、中小企業の株価は、その会社の内部留保の金額、直近の利益状況、配当状況、類似する業種の株価の動向などで決まります。

例えば、1株5万円で400株で2,000万円の出資で設立された株式会社。
株式の評価額が1株50万円になることもありえます。

そうすると、株式の評価額は全体で2億円になります。

この2億円の株式をすべて、後継者に一度に贈与しようとすると55%の税率で贈与税がかかりますから、1億円を超える贈与税がかかります。

また、相続で承継させようとすると、相続税の税率は40%~55%になりますからこちらについても1億円ほどの相続税がかかることとなります。

このように、換金することができない会社の株式であっても、承継するには、贈与税や相続税の納税資金を用意せねばならないということになります。

(4)承継するときにかかる贈与税・相続税の猶予が受けられる

事業承継税制の適用を受けると、どんな効果があるのでしょうか。

株式の承継(贈与・相続)の際にかかる税金の負担を、「猶予」することによって、軽減しようというものです。

従来からある事業承継税制では、株式を先代から後継者に引き継ぐ際に、一定の要件を満たせば、手続きを経て、

・全体の株式の2/3について

・贈与税が100%猶予、相続税が80%猶予される

というものでした。

先ほどの例あれば、2億円の株式の2/3について、相続税の80%が猶予されることになりますから、

2億円×2/3×80%=1億6,666万円

2億円の株式のうち、1億6,666万円については、相続税の支払いを猶予できますから、税率が55%とすると、1億円ほどの相続税が本来かかるところを、約5,800万円の負担に軽減できるものになります。

ちなみに、あくまで「猶予」となり、猶予できる条件があります。

主なものは次の通りです。

・承継後、雇用人数を5年間、平均8割以上維持すること(特例の制度では、実質撤廃です)

・承継後5年間は代表であり続けること

・株式を5年間保有し続けること

・5年を経過したのちは、株式を保有し続けること

これらの条件が守れなくなったときは、猶予された税額を、利子税とともに支払う必要があります。

また、

・後継者が死亡したとき

・後継者へ一括贈与

した場合には、猶予された税額は、免除となります。

以上が、簡単ですが、事業承継税制全般の主な内容です。

では、次に、今回の特例の創設でどう変わったのかをみていきましょう。

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著者プロフィール

神佐 真由美

神佐 真由美

京都大学経済学部在学中から「プロフェッショナルになるために手に職を」と税理士を志す。卒業後は、税理士を顧客とする株式会社TKCに入社し、税理士事務所を顧客にシステムコンサルティング営業に4年間従事。本当に中小企業経営者にとって、役に立てるプロフェッショナルはどうあるべきかを問い続け、研究する。税理士試験5科目合格後、税理士業界へ転身。
自ら道を切り拓く経営者に尊敬の念を抱き、経営者にとって「一番身近なパートナー」になるべく、起業支援や資金調達支援、経営改善や組織再編、最近では事業承継支援など多くの経験を積む。経営計画を一緒につくり、業績管理のしくみづくりを通して、未来を見通せ、自ら課題を見つけ、安心して挑戦できる経営環境づくりが得意。大阪産業創造館のあきない・経営サポーターも務め、セミナー実績も多数。「経営者のための資金繰り基礎講座」「本当に自社にとって必要?事業承継税制セミナー」など。

<関連サイト>
角谷会計事務所
未来を魅せる税理士 神佐真由美のブログ