起業家が押さえておきたい法人設立時の3つのポイント
- 期限を守って申告しよう
- 節税には「お金が出ていかない節税」と「お金が出ていく節税」がある
- 起業家専門の税理士が必要な理由
税金に関してややこしい仕組みは数多くあれど、これだけは覚えておいた方が良い、というものもいくつかあります。今回は起業家専門の税理士である古殿哲士さんから、法人設立時に気を付けたいことについて、3つのポイントに絞って教えていただきました。
①3つのポイント、その前に
― 起業家の方は特に押さえておいたほうがいい、税金に関することを3つ挙げていただきたいと思います。
古殿 このご質問にお答えする前に、大前提がありまして。
まず、「儲けてください」。「売上、上げてください」。商売をする上での優先順位として、一番は、間違いなく売上を上げることです。
決算とか申告とかは、法人である以上、必要不可欠なのは間違いないですが、売上をあげて儲けていただかないと意味のない話になってしまいます。なので、社長はひたすら本業に集中してください。特にスタートアップの時期はこれにつきます。話はそこからですね。
― 税金を考える前に、まずは売上を上げることに、経営者自らが注力していくのが大事ということですね。
古殿 それでは本題に入りますが、1つ目のポイントとしては、期限を守るということですね。これも、税金の前段階の話なんですけど。
会社を設立されて、2ヶ月以内に法人の設立届を、3ヶ月以内(又は事業年度終了の日の前日まで)に青色申告の承認申請など、もろもろ税務署に出さなければいけません。
法人は登記されていますから、情報は全て公になっています。もちろん税務署も情報を握っています。届出や申告をしないという選択肢はありません。
例えば、無申告の法人も中にはあると思いますが、後で痛い目にあってしまいます。申告期限までに申告しなかった場合、延滞税とか、加算税とかかかっちゃうので。しかも、その税率は、延滞税だと、申告期限から2ヶ月を超えると、14.6%。これは銀行でいう金利みたいなものですけど、申告が遅くなればなるほど金利がかかってくる。
銀行の金利が2%くらいなので、14.6%というのはヤミ金でお金を借りるのと同じようなものかもしれません。また、別に加算税もかかってきます。きちんと期限を守らなければ、それだけ罰も大きいということですね。
― かなり高いですね。税率が。
古殿 多くの人は、入ってくるお金には注目するんですけど、出ていくお金には意外と無頓着なのです。当然、キャッシュアウトを減らすこともすごく大事で。税金の世界では、それがまずは期限を守ることになるわけです。
漏らすと、金利部分のパーセントがかなり高いので、損ですよと。あと、2期連続で無申告や期限後申告となると、青色申告の承認も取り消されます。
だから、結論「ちゃんと申告期限を守って申告しましょう!」
― 1つ目は、申告期限を守って申告をすること。しないと、延滞税とか加算税がかかってしまう。
古殿 しかも、金利がむちゃくちゃ高い。青色申告の承認も取り消されるリスクがあります。
― だから、期限を守ってしっかりと。
古殿 そうですね。
― では2つ目の話を。
古殿 次は、「役員報酬の決定」ですね。役員報酬は、設立から3カ月以内に設定しないといけない。そして1年に1度決定すると、1年間はもう変更できません。
― 役員報酬は、1年に1回しか変更できない。
古殿 ただ、法人設立1年目だと、事業を始めたばかりで見通しが立ちにくい。結果的に、なかなか役員報酬の決定は難しいと思います。初めてのことでどれくらい売上や経費がかかるか予測しにくいですから。
そんな場合に効果的な方法もあるかもしれません。10人未満の会社が前提にはなりますが、これを税務署に出すと、本来であれば毎月納めるべき源泉所得税を半年に1回まとめて納付すればよくなります。
この辺りからは法人によって変わってくる話なので税理士に直接ご相談ください。
― それは、10人未満の企業に限ってということですが、あと他に制約はありますか?
古殿 他にはないです。10人未満の事業所であれば、法人でも個人事業主でも申請できます。
― でも、役員報酬の決定は設立3カ月以内に。
古殿 そうですね。
― とはいえ、初年度だとやっぱり難しい気がするんですが、みなさんどうされているんでしょう。
古殿 個人事業から法人にした方は、わりと計算しやすいんですよ。形態が変わっただけで、やっている事業の中身は変わらないので、まだ着地の予測はつきやすいです。
― 0からやろうとしているような方々には。
古殿 そういう方は判断材料がなかなかないので、税理士にご相談ください。何かしらお力になれます。
― 0の覚悟もして、やらなければならない。別に役員報酬って0でも問題ないんですよね。
古殿 全く問題ないです。ただ、役員報酬の決定こそ最大の節税なので、迷ったら税理士にご相談されることをオススメします。
― なるほど、わかりました。
― では、3つ目のポイントをお願いします。
古殿 3つ目は、「節税にも順番がある」という話ですね。
節税の中には、「お金が出ていかない節税」と「お金が出ていく節税」があるんですよ。
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