サラリーマンを経験したことのない貴方のための大企業との取引のために知っておきたい11のポイント

ポイント
  1. 決裁権者を見極めるということ
  2. 予算制度を理解する
  3. 信頼を得る

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6.「稟議書」って誰が書くの?

例えば、先ほどの例では「課長」が決裁権者のケースをあげましたが、「課長」自ら稟議書を書くことはありえないでしょう。通常は「係長」や「主任」レベルの人が「稟議書」を書き、「課長」にお伺いを立てる(「主任」レベルの方が書いた場合には、「係長」にまずお伺いを立て、係長がOKをだして初めて「課長」にお伺いを立てるという流れになる)ことになります

従って、まずは「稟議書」を書く立場の方にアプローチするのが大企業と取引する際の入り口になります。

7.「稟議書」を書いてもらうためには

結局のところ稟議書に記載されることで一番のメインなることは、「取引先の利益アップに貢献できるかどうか」です。これが明確になっていないと稟議書を書く担当の方は稟議書が書けないことになります。しかし、ただ単に「明確」にしただけでは、その「根拠」がないということになってしまいます。

先ほども述べましたが、万が一、不良品ですと取引先の会社に損害を与えてしまいますし、相手の予定通りに納品できなければ、これまた取引先の会社に損害を与えてしまいます。

さらに、長期間にわたって提供し続けるような商品やサービスであれば、貴方の会社が「倒産」などして(あまり考えたくはありませんが…)、途中でその供給がストップしてしまったら、これまた相手の会社に損害を与えてしまいます。

なので、これは大企業に限った話ではありませんが、貴方の会社が「品質が良い」(=取引先に金銭的メリットを与えるもの)ものを「必要とされる分だけ」、「相手の都合にあわせたタイミング」で、「確実」に商品やサービス提供できるかが問われる訳です

取引先が大きくなればなるほど、一般的には会社の中での待遇は良いはず(もちろん、「ブラック」もありますが…)なので、一生サラリーマンを続けたい方の比率も一般的には多くなります。(まれに、起業家精神にあふれた社員が多い会社もあります。大手のコンサルタント会社や広告代理店、製造業の技術開発部門の方みたいに一定の「スキル」や「人脈」が築けるような業種や職種が典型ですかね。)

そうした「一生サラリーマンを続けたい」方々にとって会社で働くことの主な目的は、「組織の中で出世すること」なので、できるだけ出世を妨げることになる「失敗」を回避したいという思いが当然強くなります。

なので、初めての取引では、大企業側からみた場合の取引先となる貴方の会社のことを慎重に調べて、「信用」を得て、初めて取引が成立します仮に本当に貴方の会社の商品やサービスの品質が良かったとしても「信用」は得られません

商品の品質をアピールするのでしたら、展示会などを開いてサンプル品を提示すればよいですし、サービスのように目に見えづらいようなものであれば、例えば展示会やセミナーなどで貴方の会社のサービスを疑似体験してもらえば、良いはずです。しかし、それだけでは大企業と取引するための「信用」は十分ではないのです。

8.では「信用」はどうやって得られるの?

これは地道に、まずは小さな会社と取引を始めて会社の売上をあげ、会社の規模を大きくしていくしかありません会社の規模が大きいということは、これまでたくさんの売上を上げて来たという証であり、その背景にはたくさんの「お客さん」から「信頼」されて貴方の会社の商品やサービスが買われているという「実績」を示すことになるからです

「会社の規模」と言いましたが、これは具体的に何を意味するかというと例えば年商であったり、従業員の数であったり、資本金の金額であったりします

「会社の規模」以外でも信頼を得る方法はあります。貴方の会社の商品やサービスがずば抜けてトンがっていて、マスコミなどのメディアで取り上げられていたり、ベンチャーキャピタルなどのスポンサーがついているようなケースです。

こうした「信用」情報は、当然「稟議書」にも記載される事項ですから、そのあたりがアピールできるようになって初めて大企業と取引できるということになります。

9.まずは小さく初めて、大きくしていく

これまでの話を総括すると、大企業と取引するためには

Step1:「実績」を積み重ねて取引先となる大企業の「信頼」を得られるレベルに到達する

Step2:稟議書を書く担当者にアプローチして「実績」をアピールする

Step3:組織の中で一番下位の「決裁権者」に貴方の会社との取引を承認してもらう

ということになります。まずは、少額の取引からスタートするかも知れませんが、取引先の「信頼」が得られれば、組織の中のより「上位」の方の承認をもらって取引量を増やすことが可能になるはずです。そして、そうした大企業との取引実績が、また他の「大企業」からの信頼のもととなって貴方の会社は加速度的に大きくなっていくことでしょう

10.「タイミング」が商談の成立の成否を分けることも

最後に、一つ押さえていただきたいことがあります。「予算制度」の話です。場合によっては、決裁権者が持つ年度の予算を使い切っている場合もあります。そうした場合には、すぐにでも取引したい気持ちをぐっとこらえて来年度の予算に貴方の会社との取引の「金額枠」を組み入れてもらう必要があります。

とすると、できるだけ来年度の予算を立てる前までに商談をまとめることが必要になります。逆に、決算が近づいている時期だと今年度の予算が余っているので「お試し」で、
貴方の会社の商品やサービスを購入してもらえるラッキーなケースもあるかも知れません

11.追伸(商談が振り出しに戻ってしまうことも)

本当に最後になりますが、これまで全体的に前向きな話をしてきました。にもかかわらず、水を差す話で申し訳ありませんが、大企業の場合、決裁権者が転勤や異動になってしまうケースもあります

そうすると、せっかくまとまりかけた商談が一から振り出しに戻ってしまうこともあります。そんなことがあっても、貴方の会社の商品やサービスがしっかりしたもので、かつ「実績」があれば、時間がかかったとしても、いつかは必ず商談がまとまることでしょう。そうした、粘り強さも必要になってくることもあります。

大企業との取引を通じて皆様のビジネスが大きくなっていくことを願ってやみません。

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