フランチャイズ経営を始めるためのステップ~開業前編~
- 人と直接話して情報を得る
- 気をつけるべきなのは「マイナス情報が出ない」「強引な加盟勧誘」
- 「法定開示書面」のチェックポイント
既存店の視察も終え、いよいよフランチャイズ加盟の意思が固まったらフランチャイザーから「法定開示書面」により詳細なフランチャイズ契約の説明を受けます。
フランチャイズ契約の重要事項について記載された書面であり、フランチャイジー保護の観点から「中小小売商業振興法及び施行規則」という法律によって、フランチャイザーからフランチャイズ加盟希望者に対して開示が義務付けられている書面です。
この書面には大まかに以下のような内容が記載されています。
フランチャイズチェーン概要
会社名、住所、従業員数、役員、株主、子会社、財務状況、特定連鎖化事業(いわゆるフランチャイズチェーン事業展開)の開始時期、店舗数の推移、訴訟件数など
契約内容
テリトリー権の有無、契約後の競業禁止や守秘義務契約の有無、フランチャイザーがフランチャイジーから徴収する金銭の算出方法や徴収方法、契約違反の際のペナルティ、商品やその他の販売条件に関する事項、経営指導の内容、使用される商標や商号、契約期間、更新条件、契約解除に関する事項など
ここでの主なチェックポイントは以下の通りです。
①事業の種類
→フランチャイザー事業者の規模や事業の内容等をよく把握する。
②フランチャイザー事業者の直近3事業年度の貸借対照表及び損益計算書
→過去3ヵ年の財務状況をフランチャイザーの成長ステージを留意して分析し成長性、収益性、安全性を把握する。
③直近3事業年度におけるフランチャイジーの店舗の数の推移
→店舗数の増減は、フランチャイザーの経営の判断材料である。成長過程にあるチェーンは必ずといって良いほど、店舗数が伸びている。店舗数が減少したり、停滞したりしているチェーンには、どこか問題があると考えてよい。したがって、総店舗数や退店数の把握はフランチャイザーの現在における経営力や将来性等を判断するための材料となる。
④直近5事業年度において、フランチャイズ契約に関する訴訟の件数
→フランチャイザーとフランチャイジーとの相互の信頼関係を判断するための材料となる。
⑤テリトリー権の有無
→テリトリー権が認められているのか、認められていない場合の近隣の出店計画はどうなっているのかを確認する。なお、テリトリー権とは、商圏範囲が設定されており、その商圏内には他のフランチャイジーが出店できないという契約のことである。
⑥契約後の競業禁止や守秘義務契約の有無
→契約終了後も、競業禁止や秘密保持義務などの側面からどのような制限がかかるのか理解しておくことが大事である。
⑦フランチャイジーから定期的に徴収する金銭に関する事項
→ロイヤリティーについてはしっかり計算方法・根拠を理解しておくことが大切である。
⑧フランチャイジーに対する金銭の貸付、貸付の斡旋に関わる利率や算定方法など
→オープンアカウントなどのフランチャイザーとの相殺勘定・会計処理の仕組みが複雑な場合は納得するまで説明を受けることが肝要である。
なお、オープンアカウントとは、フランチャイジーとフランチャイザーの間に発生する金銭の債権債務について、それを相殺する勘定を設定しておき、その会計処理をフランチャイザーが行なうものである。特に廃棄ロスや棚卸ロス等に対してチャージがかかるのか、十分に確認した方が良い。
⑨契約に違反した場合に生じる金銭の支払いその他義務の内容
→どのような契約違反の場合にどのようなペナルティが課されるのか十分に確認しておく。
⑩経営の指導に関する事項
→十分な経営指導が受けられるのか説明を受けると同時に、販売条件や受講料等にフランチャイジー負担が生じるのか確認しておく。
⑪契約の期間並びに契約の更新及び解除に関する事項
→どのような解約にいくらの解約違約金を支払うこととなるのか十分に確認しておく。
(出典:「一般社団法人フランチャイズチェーン協会」ウェブサイト)
「法定開示書面」も受取り、契約内容を十分に把握したらフランチャイザーのトップないし部門責任者と契約前の最終面談を行います。今一度、お互いの経営理念に齟齬がないかじっくり話し合いましょう。
―「フランチャイズ経営を始めるためのステップ」の中編・後編―
事業計画策定編
開店準備編