西田 隆行

事業がスケールアップする金融機関の選び方

ポイント(この記事は3分で読み終わります)
  1. 金融機関と上手に付き合うことは、あなたの事業がスケールアップするための「必須条件」
  2. 金融機関で行う様々な手続きには行政等から法律で定められた確認業務があり、それを忠実に行うために「敷居を高くしている」

 

金融機関は敷居が高い?

はじめまして、西田隆行です。わたくしは信用金庫で約37年間勤務して、多くの取引先中小企業や小規模事業者の皆様と接してきました。どうすれば皆様のお役に立てられるのか、といった金融サービスの在り方を現場で試行錯誤しながらやってきました。

金融機関のカウンターの内と外では見える景色がまったく違います。その違いをできるだけわかりやすくご紹介し、金融機関の「ホンネ」を知っていただければ、いらない誤解もせずに済みます。起業家として働くあなたの金融機関との付き合い方がスムーズになればと思い、そのノウハウを「銀行との付き合うコツのコツ」として連載いたします。

金融機関と上手に付き合うことは、あなたの事業がスケールアップするための「必須条件」と言っても過言ではありません。どちらが上手、どちらが下手ではなく、お互いが対等の立場で良好な関係を築くためには、お互いをよく知る、知ってもらうことが必要です。そのうえで「Win-Win(ウィン・ウィン)」の関係を構築して、あなたの事業がさらに発展するようにお手伝いしていきたいと思います。

《金融機関は好き? 苦手?》

あなたが初めて金融機関に行ったのって、いつでしたか? 

個人取引(お年玉を蓄える、給与振込口座を作る、住宅ローンの利用など)なら、これまで多少の経験はおありになると思います。でも『事業で使うため』となってくると、起業されたときですね。そもそも金融機関って、これまで生きてきた中でもあまり接点がない世界ではないでしょうか。ドアを開けた時の何とも言えない威圧感、冷たい感……。「いらっしゃいませ!」と声をかけてもらっても、飲食店のそれとはまったく違う、どこか怪しまれている感も感じられた経験があるかと思います。

そうです!あなたの感じた通り、金融機関は玄関に「見えないバリア」を張っています。「鬼は外」のお札を張っているようなものです。

なぜか。金融機関は不特定多数のお客様を相手にします。中には金融機関にとって好まれざる方(反社勢力等)も、手間のかかる方(クレーマーなど)もいらっしゃいます。そういう方々がお店に入ってこられないようにバリア(声掛け、注視、防犯用プラスチックボード・・・)を張っているのです。


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金融機関が作り出すバリア

金融機関に入りにくい理由はそれだけではありません。口座を開設する、振り込みをする、投資信託などの金融商品を買うなどなど、何かにつけて身分証明書、取引理由を聞かれます。「何も悪いことしていないのに、何でいちいち聞かれなきゃならないの?」————このストレスが大きいので、知らず知らずのうちに金融機関を敬遠しているんですね。さらに、待たされる!ことも大きいでしょう。

実は金融機関も好きでお客様の不興を買っているわけではありません。お客様が金融機関で行う様々な手続きには行政等から法律で定められた確認業務があります。それを忠実に行わないと遵法行為なのです(この目的には好ましからざるお客様を排除する目的が含まれます)。こうして金融機関は建前として「敷居を高くしている」のです。ここまでは当り前のことなんだ!と思って、どうかお許しください。

我慢強いタイプも辟易とする決まり文句

お客様に「敷居を高く」感じさせてしまうもう一つの理由に、精神的な負い目を負った善良な人の心に土足で踏み入れる無神経な「突っ込み」を受ける恐怖心があるのではないでしょうか。

・定期預金を解約する→何にお使いですか?(自分のお金何に使おうとほっといて!)
・ローンを借りる→何にお使いですか?(「なんで手元のお金で買わないの? 」って言わんばかり!)
・返済を待ってくれ、返済額を減らしてほしい→なぜ約束を守れないのか?(「はじめにいい加減な約束をしたんだろう? 信用置けない!」的な視線)

二の句が容易に想像できるような顔でこうした言葉を切り出されるのは、いくら我慢強いタイプの人でも積もり積もれば、いずれは爆発しますし、恨みも買います! 人は非常にナイーブな生き物なのだということを、金融機関の人間がどれだけ我が身のことと感じているか、なのかもしれません。

ここへの気配りができているか否かは、金融機関の組織的な問題、というよりはその店舗の支店長や管理者の意識で左右されることが大きいのです。金融機関は当局からの指針で顧客本位の営業体制を求められているので、顧客からのクレームに対しては過敏に反応します。しかし、前述のような職員のビヘイビア(態度、関心)に関しては、金融機関として親切丁寧に応じることと、効率的な業務遂行との両天秤で片付けられているのです。

「効率的な業務の遂行」といえば何か冷たい感じがしますが、「お客様を待たせない」「均等なサービスを提供する」といった効果を出すためといえば理由が立つわけですね。

金融機関を選ぶ視点

金融機関はほとんどが民間企業ではありますが、公共的使命性を強くもっている側面があります。どうしても全体最適(より多くの人に質の良い金融サービスを提供する)的な思考が強く働きます。でも、だからといって「個々の対応には我慢しましょうよ」と言うつもりは毛頭ありません。

金融機関に対して言うなら、お客様の苦痛や敬遠心を「いかになくせるかにコミットする」ことが、真の選択される金融機関につながるのだと理解して、自己変革を強く求めたいところです。お客様の視点に立てば、この点を「金融機関を選択する基準」として持つことを、強くお薦めします。職員個々のビヘイビアに注意を払える金融機関は、お客様の困りごと、悩みによりそいながら、一緒に解決策を考えていく風土が育っています。

でもそんな簡単に「敷居を意識して精神的バリアフリーに取り組んでいる金融機関」を見分けられるのか、との疑問が浮かんだ方も多いでしょう。これについては次回にお話しいたします。

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著者プロフィール

西田 隆行

中小企業診断士。1980年大学卒業後信用金庫に勤務。中小企業や小規模事業者へ資金繰りや財務のコンサルティングを行っている。また地域の中核企業、老舗企業の再生に深く関与。「事業を継続するための財務戦略」をメインテーマに活動している。2017年12月から、日本最大の起業・開業・独立者向けポータルサイト「助っ人」(www.suke10.com)の編集チームで、主に「銀行とのつきあい方、資金調達、事業承継」をテーマとしたコラムを担当している。