起業したら社長一人でも社会保険に加入しないといけないのか?

ポイント
  1. 社長一人の会社でも社会保険に加入する
  2. 社長一人でも報酬がゼロであれば社会保険に加入できない
  3. 起業前に社会保険について考えておくことが大切

目次 [非表示]

会社を作ったら社長一人でも社会保険に加入しないとならないのでしょうか

会社を作ったら社会保険に入らなくてはなりませんが、例えば起業したてで、社長1人だけで従業員はいないという状況でも、社会保険に加入しなくてはならないのでしょうか。

健康保険と厚生年金については、法人であれば加入しなければならないことになっています。よって例え社長1人の会社で他に従業員がいないような場合であっても、その会社は社会保険に加入しなくてはならないのです。

安易に社長1人だから入らなくても良いだろうと思っていると、保険料を過去2年間にさかのぼって徴収されるということもあり得ます。法人化をした場合には、忘れずに手続きをするようにしましょう。

社長一人でも社会保険に入らないたった一つの例外

法人となった場合必ず社会保険に加入しなくてはならないルールになっていますが、例外があります。それは、その社長の報酬が0円の場合には社会保険に加入できないのです。

健康保険と厚生年金の社会保険料は、報酬から天引きとなります。ですので報酬が出てい兄状態では、天引き自体が出来ません。このような場合は社会保険に加入することが出来ず、国民年金と、国民健康保険に加入することを検討していきます。


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社会保険に加入しない場合の健康保険と年金の処理

では、このような場合にはどのようにすればよいのでしょうか。

A社長は先月長年勤めていた会社を辞めて起業。法人化をしました。サラリーマン時代は、その会社の健康保険に加入していました。A社長の選択肢は2パターンあります。

A社長の選択肢:健康保険

1 会社員の時に入っていた健康保険の任意継続をする
2 国民健康保険に加入する

この場合2つの選択肢があります。1は会社の時に入っていた健康保険をそのまま継続して加入するという制度です。
「任意継続」と呼ばれています。ただし任意継続には条件があります。

健康保険の任意継続の条件

※例えば関東IT健保を例にとり説明します。 (関東IT健保のホームページより抜粋)

1:健康保険の資格喪失の日の前日(=退職日)まで継続して2カ月以上の被保険者期間がある方
2:75歳未満の方
3:資格喪失の日(退職日の翌日)より20日以内に加入申請をした方

※申請書類が提出期限(資格喪失から20日以内)を経過して提出されたときは、当組合が「正当な事由」 (天災地変、交通・通信関係のスト等のやむを得ない事由)があると認めた場合以外は受理されません。

このように、これらの3つの要件をすべて満たさないと加入をすることが出来ません。

1番大切な部分については退職日の翌日から20日以内に手続きを完了しなくてはならないという点です。この点については大変厳しく、1日でも遅れると手続きをすることができません。起業を考える場合、会社員を辞める前に健康保険について任意継続をするか国民健康保険にするかを検討しておくとよいでしょう。

任意継続と国民健康保険の保険料の違い

任意継続か国民健康保険かを選ぶ際には、保険料も一つの大事なポイントです。保険料の金額はどうなるのでしょうか。
任意継続の場合の標準報酬月額は次のように決められます。

①任意継続被保険者の標準報酬月額は健康保険法第47条により「被保険者の資格を喪失したとき(退職時)の標準報酬月額」
②「前年(1月から3月については前々年)の9月30日時点の当組合全被保険者の平均標準報酬月額

この①②のどちらか小さい額で決定します。

そしてさらに注意したいのは、会社員時代は会社と本人とで保険料を折半していましたが、会社を退職すると会社は負担しないため、会社負担分も本人が支払うことになります。ですのでイメージとしては、給与から控除されていた健康保険料の2倍(介護保険料の納付対象になる方は、介護保険料も含めた額)になるとイメージするとよいでしょう。(正しくは、上記の②の場合との比較をして金額が小さい方となります。)

一方、国民健康保険の保険料というのは、次のように決められます。 (港区のホームページから抜粋)
世帯を単位として、被保険者の人数と同一世帯の介護第2号被保険者の人数と賦課のもととなる所得金額※をもとに計算されます。
年度途中で加入した人は加入した月から、やめた人はやめた月の前月分までの保険料がかかります。

※賦課のもととなる所得金額(賦課基準額)とは
賦課のもととなる所得金額とは、前年の総所得金額及び山林所得金額、株式・長期(短期)譲渡所得金額等を合計した額から、基礎控除額(33万円)を差し引いた額をいいます(雑損失の繰越控除は行いません)。つまり、前年の所得金額と人数によって決まります。所得が高ければ高いほど、保険料が高くなる仕組みです。

ではどうやって選べばよいのでしょうか?

では任意継続か国民健康保険かどちらを選択すればよいのでしょうか。それは、今まで加入していた健康保険に任意継続した場合の保険料の試算を出してもらい、同時にお住まいの市区役所に連絡し国民健康保険の試算も行い、その比較を行うことがよいでしょう。

また、国民健康保険料については、ホームぺージ上で試算が出来るサイトもありますので、そこで概算を出してもいいでしょう。とにかく保険料を比べる場合には、健康保険に問い合わせ試算をしてみることをお勧めします。後になって「あちらの方がよかった」とならないためにも、起業する前(退職する前)から試算をすることもよいでしょう。

年金について

年金については、このような処理がありません。ですので社会保険に加入しない場合は国民年金となります。年金の保険料は平成30年度で16340円となります。これは報酬に関わらず一律となります。また年々少しずつ金額が引き上げられることになっています。国民年金は納め方に種類があります。

口座振替で年金を納める場合

国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書兼国民年金保険料口座振替依頼書(金融機関や年金事務所の窓口にも備え付けてあります。)

必要なものはこちらです。
・基礎年金番号のわかるもの(年金手帳や納付書など)
・口座番号のわかるもの(預(貯)金通帳またはキャッシュカード)
・届出印(通帳に使っている印鑑)
・申込先

通帳をお持ちの金融機関またはお近くの年金事務所の窓口に提出します。

納付書での支払い

納付書を使用し、納付期限または使用期限までに銀行などの金融機関、郵便局、コンビニエンスストア、電子納付にて納める方法です。Pay-easy(ペイジー)も可能です。

クレジットカードでの支払い

ご利用には申請書の提出が必要となります。 ※前納方法は、次の3種類です。
・2年前納(4月分~翌々年3月分)
・1年前納(4月分~翌年3月分)
・6カ月前納(4月分~9月分、10月分~翌年3月分)
前納額は現金払いの前納と同額です。

必要なもの
・国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書(年金事務所の窓口にも備え付けてあります)
・基礎年金番号のわかるもの(年金手帳や納付書など)
・利用するクレジットカード

申込先はお近くの年金事務所の窓口に提出となります。また、郵送による手続きも行っております。

まとめ

このように社長一人でも報酬が出ている場合には、社会保険に加入となりますが、報酬がない場合には加入することができません。
起業する前に社会保険をどうするのかあらかじめ準備をしておくことが大切です。

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