従業員を雇ったら必ず押さえる就業規則のポイント①届出までの流れ編
- ポイント:絶対に記載する事項は決められています
- ポイント:会社ルールを決める際には記載するポイントもあります
- ポイント:会社のビジョン・目標を記載してもよいでしょう
就業規則には記載していなければならないことが決まっています。今回は就業規則の記載する事項についてご紹介します。
就業規則には必ず記載しなくてはならない事項が決められています。
①始業及び終業時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合におい ては就業時転換に関する事項。
②賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期及び昇給 に関する事項
③退職に関する事項 (解雇の事由を含む。)
また、会社ルールを設ける場合には必ず記載するポイントもあります。
①退職手当に関する事項(適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項)
②臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額に関する事項
③食費、作業用品その他の負担に関する事項
④安全衛生に関する事項
⑤職業訓練に関する事項
⑥災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
⑦表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
⑧その他事業場の労働者のすべてに適用される事項 ※旅費規程や人事考課規定や秘密保持規定などが該当します.
これらの記載事項以外については、記載が自由となります。例えば就業規則の目的や会社のビジョン・目的などを記載してもいいでしょう。
次に就業規則を作成したら、どのようにすればよいのでしょうか。作成後のステップについて見ていきましょう。労働基準法では、常時10人以上の労働者を雇っている会社に、就業規則の作成義務が課せられていて、決められた事項を記載して、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません.
万が一義務があるにもかかわらず、違反するとどうなるのでしょうか。労働基準法によると、この作成義務に違反すると、30万円以下の罰金が科されるとあります。また、誤解しがちなポイントとしてこの場合 の「常時10人以上」は、正社員数だけではなく契約社員やパートタイマー・アルバイトなどの人数も含むので注意です。
就業規則を作成し、変更するのは会社となります。まず、会社が原案を作ることになります。原案は原案として作成し従業員に作成をしている旨をお伝えして提示します。
次に使用者が、就業規則の原案を作成したら、労働者代表等から意見を聴くステップになります。この場合の労働者代表等とは、「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の 過半数で組織する労働組合がない場合においては、労働者の過半数を代表する者(労基法第90条第1項)。」となります。
事業場に過半数で組織する労働組合がない場合は、従業員の中から過半数代表者を選出して、 その代表者から意見聴取を行います。この過半数代表者は、「事業場全体の労働時間等の労働条件の計画・管理に関する権限を有する者など、管理監督者ではないこと」という点がポイントです。ですので、一般的には、部長職や課長職などの管理者を代表者とすることが出来ません。選出方法は、過半数代表者が、使用者の指名などで選出されないことが大切です。ですので投票・選挙等の方法によって選出します。
就業規則について意見を聴くとありますが、この意見を聴く場合に「絶対に反対だ」「こんな就業規則は認めない」と言われた場合にはどうしたらいいのでしょうか。
この意見を聴くというのは、実は「同意」までは要求されておりません。ですので仮にこのような意見が出てもそれによって就業規則の内容を変更しなくてはならないということではありません。できるかぎり その意見を尊重する、という趣旨だからです。では労働者代表等が反対して意見書を出さなかった場合どうなるのでしょうか。この場合でも、意見を聴いたことが客観的に証明されれば就業規則は受理されるようになっています。(昭和23.5.11基発735号、昭和 23.10.30基発1575号)。
労働者代表等の意見は「意見書」にして、就業規則と共に労働基準監督署長に提出します。この労基署は会社の所在地を管轄とする労基署へ提出します。提出の際は副本も一緒に持参しましょう。1部だけで提出すると控えをもらうことが出来ないため、控え分としてこちらから一緒に提出をします。それによって受理印押印後会社の控え用として返却をしてもらうのです。
それでは届出をしていない就業規則は無効になるのでしょうか。就業規則は届出て初めて効力が出るというものではありません。就業規則は、会社のルールですので労働者に対し明示することによって、その効力が発生するのです。届出を怠れば労働基準法上の罰則の適用を受けますので、必ず届け出をするようにしましょう。
届け出が終わったら次は会社内で周知を実施します。多くの事業場で意外に守られていない事項が、この労働者への周知義務かもしれません。作成した時は当然ですが一部を変更した場合にも労働者に周知しなければなりません。
周知方法は次となります。
・掲示や備付けの方法
・書面を労働者に交付する
・磁気ディスクに記録し労働者が記録の内容を常時確認できる方法
・パソコンなどで確認できる方法
これらの方法により周知を実施していきましょう。
10人以上の従業員がいる会社では作成と届け出は必ず必要です。ですが常時10人未満の会社であっても従業員の採用、異動や退職の際にも誤解やトラブルを招かないように周知をしておきましょう。
全員で読み合わせをすることをお勧めします。
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