従業員を雇ったら必ず押さえる就業規則のポイント②就業規則の変更編
- 就業規則は法律改正に合わせて常にアップデートが必要です
- 従業員に不利益に変更することは変更の合理性がないと変更できません
就業規則を作成する場合にはポイントがあります。今回はその2回目です。
就業規則は、会社(使用者)と従業員(労働者)との間の権利や義務を定めたものです。そして法律も年々改定があったり新しい法律が出来たりと新しくなります。そのために就業規則もそれに合わせてアップデートが必要です。ではどのような場合に就業規則を見直す時なのでしょうか。
①法改正があった場合
②就業規則に記載されている労働条件と実際の就業の状態にギャップ(ズレ)がある
③正社員用の就業規則しかなかったがパートアルバイトを雇用した場合
④労使問題(紛争)が生じたときに、就業規則がその解決に対応できる内容となっていなかったと判明した
⑤会社の成長や労働環境の変化により、従業員側から又は会社の起案により労働条件の変更の要望が生じた
⑥合併や吸収、会社分割、営業譲渡など経営状況に大きな変化があった
⑦従業員との話し合いによって従業員の労働条件に変更があった
⑧企業防衛及びリスク管理のために、新たに規定を追加する必要性が出てきた
⑨助成金を受給するために就業規則への規定の追加や見直しが必要になった
⑩労働基準監督署から是正勧告や指導を受けた
これらの場合が考えられます。
また逆を言うとこのような場合があるので就業規則は一度作成したらそれで終わりではなく、常にアップデートが必要になるのです。そしてこのアップデートの際に、従業員に有利な場合には特に問題は起こりませんが、従業員に不利になる変更も時にはあるでしょう。これを不利益変更と呼びます。次は不利益変更について見ていきましょう。
従業員にとって不利益になる変更とはどのような場合を指すのでしょうか。
①定年制がない規則に新たに定年制を設ける。
②休職期間を短くする。
③賃金の一部をカットする。
④退職金の支給額や支給率を低減させる。
⑤労働時間を延長する。
このような場合が考えられます。
ではこの変更手続ですが、就業規則の変更は会社が変更手続を出来るようになっています。ここで問題なのは従業員に不利益になる変更を一方的に行うことが出来ないということです。また、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することは、原則としてできないことになっているのです。とはいえどのような場合にも出来ないということではありません。「従業員にとって不利益な変更は、合理的な変更と認められる場合に限って、効力を有する」とされています。つまり合理的な変更の場合だけ、変更が出来るのです。
従業員に不利益になる変更ができるかどうかについては、従業員にとって不利益性、変更の合理性という2つの軸で判断されます。
難しいポイントですが、従業員にとって不利益度が小さく、就業規則の変更の合理性が高ければ、変更に合理性があると判断されます。一方、不利益性が高く、合理性が低い場合には、その変更は合理性が小さいと判断される可能性が高いのです。
このように、会社にとって大切な就業規則ですが、実際にどのような時に作成していてよかったと思うのでしょうか。今回は事例を交えてお伝えします。
事例1
社員の中で遅刻や早退をする社員がいました。その場合の給与の控除ルールが明確に規定されているので、社員に説明がしやすい賃金規定の中には、給与の控除ルール等が記載されています。ですので就業規則があることで社員に説明がつき、納得性が高いものとなります。
事例2
育児休業や介護休業を従業員が希望したときの手続を統一化して、従業員に知らせたい場合に、就業規則を作成し周知することでルールの統一が出来る手続や制度自体を知らないとその制度自体を使うことが出来ません。就業規則を作成し周知する過程でその制度があることを伝えることができるので、ルールの統一が出来ます。
事例3
セクシュアルハラスメントやパワーハラスメン トの防止対策や実際に苦情があった場合の対応についてどうしたらよいか困ったときセクハラ、パワハラも他人事ではありません。万が一そのような事態が起こった際に対応者対応方法、社内のルールを統一しておくことができるため、いざという時に慌てることがありません。
事例4
個人情報の保護や社内文書及び機密データの持ち出し・流出について対策をとりたいとき
事例5
専門技術やノウハウを持った労働者が同業他社 に転職することによって生じる機密事項の漏えいとノウハウの流出を防ぎたいと考えたとき
個人情報やノウハウなどの機密情報の取り扱いルールを社内にお知らせしたい場合に便利となります。
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このように就業規則は社内ルールをお知らせしたい時にも大変便利となります。そして一度作って満足せず、法律の改定や社員とのルールの変更があった際に常にアップデートをしていきましょう。
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