初めて人を雇った時のルール~労働保険編~

ポイント
  1. 人を雇う場合には労働条件を明示しましょう
  2. 労働契約で会社がしてはいけないこともあります
  3. 就業規則の準備を進めましょう

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会社を設立して人を雇う場合にはルールがあります。今後会社がスケールをして拡大していく上でも求職者に選ばれる会社作りは大切です。そのためにも人を雇う時のルールをしっかり押さえておきましょう。

最初の一歩は労働契約を従業員と結ぶこと

人を雇う場合に最初にしなくてはならない事は、労働の条件を従業員にお伝えするということです。硬い言葉で言うと労働契約の締結をするということです。

労働の契約を結ぶときには会社が従業員となる人に労働の条件をお伝えしておくことが必要です。さらに重要なのは、特に重要な項目については口約束では後々問題になることもあるため、きちんと書面で契約を交わすことが大切です。

この重要な項目と言うのは次の点を言います。

書面で交付する項目

契約はいつまでか(労働契約の期間に関すること)
期間の定めがある契約の更新についての決まり(更新があるかどうか、更新する場合の判断のしかたなど)
どこでどんな仕事をするのか(仕事をする場所、仕事の内容)
仕事の時間や休みはどうなっているのか(仕事の始めと終わりの時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、就業時転換〔交替制〕勤務のローテーションなど)
賃金をどのように支払うのか(賃金の決定、計算と支払いの方法、締切りと支払いの時期)
辞めるときのきまり(退職に関すること(解雇の事由を含む))

労働契約でしてはいけない3つのポイント

また、労働契約を結ぶときに、会社が契約に盛り込んではならないことも定められています。これは従業員が不当に会社に拘束されることのないようにという趣旨から出来ているルールです。

①労働者が労働契約に違反した場合に違約金を支払わせることや、その額をあらかじめ決めておくこと(労働基準法第16条)
たとえば、「1年未満で会社を退職したときは、ペナルティとして罰金10万円」「会社の備品を壊したら1万円」などとあらかじめ決めてはなりません。
誤解しがちなのはここで禁止しているのがあらかじめ賠償額について定めておくことを禁止するもので、従業員がわざと、もしくは不注意で、現実に会社に損害を与えてしまった場合に損害賠償請求をしてはいけないということではありません。

②労働することを条件として労働者にお金を前貸しし、毎月の給料から一方的に天引きする形で返済させること(労働基準法第17条)
労働者が会社からの借金のために、辞めたくても辞められなくなるのを防止するためのものです。

③労働者に強制的に会社にお金を積み立てさせること(労働基準法第18条)
社員旅行費など労働者の福祉のためでも、強制的に積み立てさせることは、その理由に関係なく禁止されています。例外があり、社内預金制度がある場合など、労働者の意思に基づいて、会社に賃金の一部を委託することは一定の要件のもと許されています。

採用内定の注意ポイント

また、面接を経て内定を出した後、入社前であっても何かの事情で内定を取り消すということも注意が必要です。
採用内定により労働契約が成立したと認められる場合には、採用内定取消しは解雇にあたるとされているのです。ですので、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上認められない場合」は、採用内定取消しは無効となります。(労働契約法第16条)。 

内定取消しが認められる場合は、通常の解雇と同様、解雇の予告、第22条、退職時等の証明などの規定が適用されますので、会社は解雇予告など解雇手続きを適正に行う必要があります。また、採用内定者が内定取消しの理由について証明書を請求した場合には、速やかにこれを交付する必要があります。

つまり、採用の内定をした後は、不用意にそれを取り消したりすることは出来ないということです。

あらかじめ知っておこう!就業規則のいろは

また、人を雇ったら考えなくてはならないのが就業規則です。社員が10人以上いる会社は必ず就業規則を作成して労基署に届け出をしておく必要があります。まだ10人未満だからといって作成しないのではなく、人を雇うようになったら規則を作成しておくことをお勧めします。会社のルールを明文化することで、入社者に分かりやすい透明性の高い企業を作ることができるからです。
そしてこの規則には必ず記載しなくてはならないポイントがあります。

就業規則に必ず記載しなくてはならないポイント

①始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務の場合の就業時転換に関する事項
②賃金に関する事項
③退職に関する事項


これも合わせてお読みください
初めて人を雇用する際に知っておくべきコトのまとめ

忘れてはならない労働保険

そして何より雇用保険と労災保険も忘れてはなりません。

雇用保険について

雇用保険は、労働者が失業した場合に、生活の安定と就職の促進のための失業等給付を行う保険制度です。

①1週間の所定労働時間が20時間以上
②31日以上の雇用見込がある人を雇い入れた場合

この場合には雇用保険に加入する対象となります。保険料は労働者と事業主の双方が負担します。

労災保険について

また、会社の業務中や通勤中の事故などを保証する労災保険も大切です。
労災保険は、労働者の業務が原因でけが、病気、死亡(業務災害)した場合や、また通勤の途中の事故などの場合(通勤災害)に、国が事業主に代わって給付を行います。

労働基準法では、労働者が仕事で病気やけがをしたときには、使用者が療養費を負担し、その病気やけがのため労働者が働けないときは、休業補償を行うことを義務づけています(労働基準法第75、76条)。ですが事業主に余裕がなかったり、大きな事故が起きたりした場合には、迅速な補償ができないかもしれません。そこで、労働災害が起きたときに労働者が確実な補償を受けられるように、労災保険制度を設けているのです。

基本的に労働者を一人でも雇用する会社は適用され、保険料は全額事業主が負担します。パートやアルバイトも含むすべての労働者が対象です。

 労働保険料について

労働保険とは労災保険と雇用保険の総称です。
パートアルバイトを一人でも雇った場合には業種や規模に関係なく労働保険の適用をしなければなりません。会社は手続きをして加入の手続きをします。自主的に加入の手続きがされない場合には、遡って保険料を徴収されることもあり得ます。きちんと加入手続きをしていきましょう。

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