初めて人を雇用する際に知っておくべきコトのまとめ

更新日:2017.02.23

第1章:採用手段

採用の目的、予算、職種などにより、採用したい人材に対して、適切に訴求・アプローチできる採用手段を選択することが、上手に「人を雇う」ことの第一歩と言っても過言ではありません。

①公共職業安定所(ハローワーク)

働く人と会社との間を橋渡ししてくれる国の機関で、全国に545か所あります。

(メリット)
「無料」で利用できます。ハローワークを活用する最大の利点は、費用が発生しないこと「0(タダ)」であることです。窓口での求人相談から採用に関するセミナーを受講するなどのサービスを無料で受けることができます。起業間もない者にとっては、心強くありがたい存在だと言えるでしょう。

・地域に合わせた求人支援を行っています。日本全国にあるので、地域の雇用事情に合わせたキメの細かい求人支援を行っています。

助成金を受給できるケースがあります。ハローワークに出した求人から採用に至った場合、助成金の給付を受けることができる場合があります。

(デメリット)
・ハローワークを活用している求職者は、比較的失業されている方や年齢が高い方が多い傾向があります。トライアル雇用を併用した求人により、採用した人の仕事への適性を見極めるのが良いでしょう。

・所定の求人票が活字主体での構成となっており、ビジュアル的な訴求が弱いです。求人票には、所定のフォーマットに簡単な仕事内容の説明や労働条件が記載されているところが目に留まり、写真などでの訴求はほとんどできないと言っても良いでしょう。

②転職サイト(インターネット)

インターネットの転職サイトは、「紙」の求人雑誌から「ウェブ」へ進化したものであり、現在、採用するための媒体の代表格となっています。

(メリット)
・写真や動画を活用することができ、自社情報や仕事内容を求職者に対して、伝えやすい構成となっています。ハローワークのインターネットサービスと比較すると、掲載されている情報量が多く、求職者へ自社や仕事内容のポイントをPRしやすい画面構成となっています。また、検索機能も充実しているものが多いため、求職者が活用しやすくなっています。

・サイトにより特色があり、採用したい人材にあったサイトを選ぶことができます。業種や職種、地域などに特化した転職サイトがあり、採用したい人材にピッタリ合ったサイトを選ぶことができます。

・転職サイト→応募がシームレスに行うことができます。サイトの応募フォームから直接応募することができるため、求職者が応募しやすく、求人への応募をスピーディに進めることができます。

(デメリット)
・費用が比較的高価になることが多いです。費用が数十万~となる場合が多いため、起業直後には気軽に利用できる媒体とは言いづらいかもしれません。

・検索結果が多かった場合、有名企業の方が有利になってしまう傾向があります。

③人材紹介会社(人材バンク)

あらかじめ登録している転職希望者の中から、経験や資格などをもとにして、求人している企業の求めている人材に合った人を紹介(推薦)してくれる仕組みになっています。

(メリット)
・手数料の支払いは、成功報酬となっているため、実施に入社した時点での費用発生となります。

・仕事の経験や資格、求人応募への意思を人材バンク担当者が確認してからの応募になるので、応募者の志望度合やマッチングの精度が、他の媒体と比較して高くなっています。

・求人票の受付から入社日の調整に至るまで、人材バンクが会社と働く人との間に入って調整を図ってくれます。

(デメリット)
・人材バンクへの紹介手数料は、年収の30~35%と設定されている場合が多く、費用が大変高額になってしまう傾向があることです。

・人材バンクの登録者の中に紹介できる人材がいない場合、すぐに人材の紹介を受けることができないことがあります(急ぎの採用には、対応できないことがあります)。

④自社ホームページ

自社のホームページで採用活動をしている会社も少なくはないと思います。自社ホームページによる採用活動には、次のようなメリット・デメリットが考えられます。

(メリット)
・掲載費用は、無料です。何と言って自社ホームページへの掲載は、手数料などの費用が生じない点が魅力です。

・自社に関心のある人材から採用することができます自社のホームページを閲覧している人が応募してくるので、会社にある程度関心を持っていることが考えられます。

(デメリット)
・自社ホームページを閲覧している中からしか、採用することができません。広く仕事を探している人に対して、PRすることは難しいかもしれません。特に起業間もない会社の場合は、自社ホームページへの閲覧数も少ないので、より難しいと言えます。

 ⑤縁故採用

知人からの紹介による縁故採用は、起業間もない会社にとって、費用がかからず、かつ安心できる採用手段の一つだと言えるでしょう。

(メリット)
・紹介費用が無料です。知人からの紹介ですので、費用はかからず「0円」です。

・人物を採用前に把握することができます。紹介者を通じて、事前に経歴や人柄を知ることができる場合が多く、安心して採用できる場合が多いようです。

(デメリット)
・入社後、会社や仕事とミスマッチを生じた場合の対応が難しくなることがあります。知人からの紹介であるため、会社や仕事内容、人間関係が合わなかったときの処遇は難しく、退職の場合は、知人との関係にも影響が出ることが考えられます。

採用手段ごとにメリット・デメリットをまとめると次表のとおりになります。

        メリット      デメリット
公共職業安定所(ハローワーク) ・「無料」で利用できる ・地域に合わせた求人支援を行う ・助成金、給付金が給付できる  場合がある ・「トライアル雇用」という求人も可能 ・失業されている方や高年齢の方が比較的多い ・求人票のビジュアル的な訴求が弱い
転職サイト(インターネット) ・掲載情報が多く、自社や仕事内容を働く人へPRしやすくなっています ・サイトによって特色があります ・転職サイト→応募がシームレスに行うことができます ・費用が比較的高価になります ・検索結果が多い場合は、有名企業が有利になる傾向があります
人材紹介会社(人材バンク) ・手数料は成功報酬となっています・志望度合やマッチング精度は高いです

 

・人材バンクが調整してくれるので、会社の業務負担が少なくて済みます

・紹介手数料は大変高額となる場合が多いです(年収30~35%程度)・すぐに人材の紹介を受けることができない場合もあります
自社ホームページ ・ホームページ掲載費用は、「0円」です・自社に関心がある人材を採用できます ・応募対象が自社ホームページ閲覧者のみ限られます
縁故 ・紹介費用は、「0円」です・人物を採用前に把握できます ・入社後、ミスマッチが生じた場合の対応が困難です



あわせてこちらもお読みください。
創業メンバー失踪の原因(リアルな辞表を添付)、縁故採用のメリデメ、女性採用で気づいた会社の○○さ、創業期に絶対に採用してはいけない人の特徴、採用時の心構えを一気にまとめました

第2章:面接時のポイント

この節では、初めて人を雇うに当たって避けて通ることのできない面接に臨む際に会社側として、忘れてはならないポイントをいくつか挙げます。面接を上手く活用して、選考することのみならず、応募してきてくれた人の入社意欲を高めるように心がけてみましょう。

①面接とは? ~面接で聞くのは控えたい『NGワード』~

「面接」とは、応募者に直接会って、質問し選考することです。ただ選ぶ側だといっても何を聞いても良いという訳ではありません。ここでは面接官としての『NGワード』を考えていきたいと思います。

【本人に責任のない事項の把握】
例:本籍・出生地、家族(職業・地位・資産など)、住宅状況(間取り、部屋数など)、生活環境、家庭環境

【本来自由であるべき事項の把握】
例:宗教、支持政党、人生観・生活信条、思想、尊敬する人物、購読新聞・愛読書

②面接の進め方 ~質問のしかた一つで『good jobな面接』に~

面接で聞くのは控えたい事柄を確認したら、次はいよいよ面接本番です。ここでは面接の進め方や質問のしかたについて考えていきたいと思います。

<面接実施の流れ>

1 ウォーミングアップ
面接の冒頭ですので、まずは「あいさつ」から始めると良いでしょう。面接官の紹介や応募者の自己紹介、会社の概要を簡単に説明するなど、応募者の緊張をほぐして、応募者に「素」を出してもらえるような雰囲気づくりを面接官として配慮するのが良いでしょう。

2 定型的な質問
「定型的な質問」とは、自己PRや志望理由、これまでのご経歴についてなど、どの企業でも質問されることが想定される質問です。応募書類にも記載があるかもしれませんが、応募者本人が話すことにより、応募者の人物面や当社への志望度、面接への準備ができているかを推し量り、確認することができます。

3 確認していく質問
「確認していく質問」とは、応募書類を見ながら、具体的に確認していく質問をすることで、面接の「本編」となるフェイズです。

定型的な質問は、どの会社でも質問される多い質問内容となることから、応募者も準備している場合は多いと思われます。

この「確認していく質問」のフェイズでは、応募者がこれまで携わってきた仕事内容やマネジメント経験の有無、仕事での成果や失敗談などを確認しながら、質問を進め、内容の真偽や具体性を掘り下げていきます。その際に必要なことは、しっかりと履歴書などの応募書類を面接前にしっかり読み込んでおくことです。応募書類の内容から聞きたいことを事前に整理しておくと、限られた面接時間の中で、漏れなく質問を繰り出すことができると思います。

4 応募者からの逆質問
面接の終盤、面接官からの質問が一通り終わると、応募者からの質疑応答を受け付けます。ここでのポイントは、質問内容により応募者の志望度合いが分かるということです。今日では、インターネットなどにより、面接を受ける会社や業種の情報を事前に取ることができるため、応募者からの逆質問は、事前に企業や業界の研究をしてきたかを確認するバロメーターとなります。また、応募者からの質問に丁寧に応答することで、応募者へ良い印象を持ってもらい、貴社への志望度をあげてもらえる効果も期待できます。

5 クロージング
応募者からの質問も終わり、面接官から応募者へ本日の面接を終える旨を伝えて、面接を終了します。面接結果の連絡方法や期日などの連絡事項を忘れることなく、応募者へお伝えして、玄関まで応募者をお見送りします。面接官は、最後まで会社の顔だということをお忘れなく。

第3章:労務管理

労務トラブルの芽を摘む

①労働条件は必ず書面に!
求人に応募者を面接してみたら、印象がこの上なくgoodで、「ネコの手も借りたい」状態なので、明日から働いてもらうことに...、起業してすぐの会社には、あり得ることですが、働いてもらう人にちゃんと労働条件を明示できているかは、重要なポイントになります。

労働基準法では、次の表にある項目に関して、書面での明示が必要とされています。

A 労働契約の期間
B 働く場所、仕事の内容
C 始業・終業時刻、残業・休日労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
D 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項
E 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

労働時間や休日、賃金など、誤解が生じるとトラブルにつながるものばかりですので、採用の際に必ず書面で明示をして、クリアにしておきましょう。

②「時間外・休日出勤」には、届出が必要?
起業したての頃は、時間がいくらあっても足りないので、労働基準法で定められている1日8時間、週40時間をどうしても超えて働くこともありがち...、でも役所に届け出とかは不要なんだろうか?

通称「36協定」と呼ばれる「時間外・休日労働に関する協定届」を会社が労働基準監督署へ提出する必要があります。

たとえ1人でも雇っていたら、その1人の従業員を代表として、届に押印してもらうようにして、監督署へ提出する義務が生じます。監督署の調査が入った時に1番最初に36協定届の提出有無を確認しますので、失念することないようにしたいものです。

③「ハラスメント」とは?
「ハラスメント」とは、他人に対することばや行動が、本人のおもわくに関わらず、相手を不快にさせたり、不利益を与えたり、おびやかしたりすることを指すこと言います。職場でのハラスメントの代表例として、「パワー・ハラスメント」、「セクシャル・ハラスメント」の2つがあります。

「パワー・ハラスメント」とは、地位・立場などの職場内の上下関係を利用して、同じ職場で働く者(多くは上司から部下)に対し、業務の範囲を越えて、本人の嫌がることを強制し、職場環境を悪くすることを指して言います。一方「セクシャル・ハラスメント」とは、職場で相手(多くは異性)に対して不快や不安な状態に追いこむ性的な言葉や行動を指して言います。

上司と部下のコミュニケーションが少ない職場では、ハラスメントが発生しやすいと言われています。ひとたび、ハラスメントを起こすと訴訟にも繋がりかねません。忙しい中でも、社員とのコミュニケーションに気を配ることこそが、ハラスメントの予防策となるのです。

第4章:給料、いくらにしようか(その1)

求人を出すにしても、面接時に待遇を説明するにしても、採用決定時に雇用条件を通知するにしても必要になってくるのが、「給料」の金額です。
 
働く側からすると、この会社で働いたら「給料いくらもらえるのか?」ということは、会社選びの最重要項目の一つであることは、間違いありません。
 
 一方、雇う立場の会社側からすると、「給料」の金額をなるべく低く抑えたい考えることは当然のことだと思います。
 
では、給料額を決めるには、どうしたらいいのでしょうか?法律や経営等の面から一緒に考えていきたいと思います。
 

最低賃金って、何だろう?

 給料の金額は、使用する立場である会社と働く側である従業員との間で、対等な立場での合意により雇用契約を結び、決定されることとなっています。ただ、実際のところは、会社(雇う立場)から従業員(雇われる立場)に対して給料額を提示して決定することが多いのではないでしょうか。
 
ここで一つ疑問となるのは、提示する給料額には法律としての基準はないのだろうか?ということです。
 
そこで国では、最低賃金(時間額)というものを定めて、最低賃金以上の金額による給料の支払いを義務づけています。
 
最低賃金は、働く側が生活を維持していくための費用としての生計費などを勘案して、都道府県ごとに金額決定されています。
これを地域別最低賃金といいます。
他方、一部の産業・職業に対しては、特定最低賃金が定められおり、地域別と特定の両方の最低賃金が適用される場合は、金額が高い方の最低賃金額以上の金額を支払わなくてはなりません。
 
現行(2017年1月9日現在)の地域別最低賃金額は、東京都の932円から、宮崎県・沖縄県の714円の間で都道府県ごとに定められています。
 
近年の傾向としては、いずれの都道府県も毎年10~20円程度上昇しています。
 
注意すべきは、最低賃金の金額改定は、例年10月頃に実施されています。
つまり、現在の最低賃金額で雇用している場合、今年の秋以降に金額が増額改定される可能性があります。最低賃金を守っているかについては、労働基準監督署の調査でのチェックされる項目であり、違反には法律で罰則が定められていますので、注意が必要です。

第5章:給料いくらにしようか(その2)

今回は、給与以外に人を雇うとかかってくる費用について考えていきたいと思います。

会社が負担する費用のうち、人に関わる費用のことを一般的には「人件費」と呼んでいます。「人件費」の中には、従業員に対して直接支払われる給与や賞与だけでなく、退職金に関する費用、法定福利費[1]や法定外福利費[2]といった福利厚生費と呼ばれる費用などを含みます[3]。従業員の雇用に関わる費用について、もう少し広く捉えますと、社員教育にかかる費用である教育訓練費や従業員の採用にかかる費用である募集費なども含まれてきます。

従業員を雇うとかかってくる費用についてまとめると、図1のようになります。

これら「人件費」と呼ばれるもの以外にも、机やイス、パソコン、事務用品といった備品や消耗品の準備も必要になってきます。このように従業員に直接支払う給与など以外にも人を雇うためには多くの費用が必要となります。それだけ、人を雇うということは、経営者にとって難しい判断を下すことになります

[1] 法定福利費 社会保険料の会社負担分を意味します。社会保険料の会社負担分は、給与の税込額面金額の約15%に達します(健康保険・介護保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険の各保険料の会社負担分の合計です)。

[2] 法定外福利費 社会保険などの法律で定められたもの以外で、会社が独自に行う福利に対してかかる費用を指していいます。例:社員親睦のためのレクリエーションにかかる費用、慶弔費などが該当します。

[3]財務省「法人企業統計調査」では、人件費を「人件費=役員給与+役員賞与+従業員給与+従業員賞与+福利厚生費」で算出しており、役員の給与・賞与や福利厚生費も人件費には含れますが、ここでは「人(従業員)を雇うとかかる費用」のみに絞って考えます。

図1 従業員を採用するとかかる費用

現金で支払う給与等 従業員給与(通勤手当などの各種手当を含む)
従業員賞与
現金で支払う給与等以外で雇用にかかる費用 法定福利費(社会保険料会社負担分)
法定外福利費(レクリエーション費用・慶弔費など)
退職金にかかる費用
教育訓練費(社員研修にかかる費用)
募集費(従業員の採用にかかる費用)
その他従業員にかかる費用(作業服、転勤旅費など)

第6章:給料、いくらにしようか(その3)

今回から2回で、経営指標を使って適正な人件費を算出していく方法について考えていきます。1回目は、売上高人件費率について取り上げます。

売上高人件費比率って何だろう?

会社の経営状態を捉えるための項目を経営指標といい、実際の指標では財務的な数値や比率が用いられます。今回取り上げる『売上高人件費比率』は、会社の売上高に対する人件費の割合を示す指標で、売上高人件費比率(%)=人件費[1]÷売上高×100という計算式から算出されます。売上高人件費比率が大きければ、会社の売上高に対する人件費の負担割合が大きいことを表しています。

指標の数値だけでは分かりにくいので、事例に当てはめて考えてみたいと思います。

【事例】先月創業したばかりのスケト整骨院(ご夫妻2名で経営)が、平日(月~金)に1名のアルバイト(10~13時、16~19時の計6時間)を採用するとして、時給をいくらにしようか検討しているという事例で考えます。

仮にスケト整骨院の初年度の年間売上高(見込み)を1,500万円と仮定します。
採用するアルバイトの時給1,100円とすると、

アルバイトの年収=1,100円×6時間×20日×12ヵ月=1,584,000円となります。

スケト整骨院のご主人の年収を6,500,000円とすると、
この整骨院の売上高人件費比率は、(6,500,000+1,584,000)÷15,000,000×100≒53.9%となります。

整骨院の売上高人件費比率の平均は54.8%[2]ですので、スケト整骨院の売上高人件費率は同業種の中で比較すると平均値とほぼ同水準ということになります。

一般的には、売上高人件費比率が高すぎると人件費が過大であり、営業利益に負の影響を与えます。反対に売上高人件費比率が低すぎるケースでは、人員不足や従業員のモチベーションダウンから機会損失やサービス低下を招いてしまうことが考えられます。

大切なことは、ただ単に売上高人件費比率が高い・低いに着目するだけでなく、業種や企業規模などに合わせた適切な売上高人件費比率を把握し、経営指標として比較をしながら正しく自社の人件費を管理していくことだと思います。

[1]財務省「法人企業統計調査」人件費=役員給与+役員賞与+従業員給与+従業員賞与+福利厚生費

[2] ㈱TKC「TKC経営指標(平成27年度)」より筆者作成

第7章:給料いくらにしようか、その4

経営指標を使って適正な人件費を算出していく方法について考える今回は、2回目は労働分配率について取り上げたいと思います。

労働分配率って何だろう?

労働分配率とは、会社の付加価値に対する人件費の割合を示す指標で、

労働分配率(%)=人件費÷付加価値×100という計算式から算出されます。

つまり、付加価値の内どのくらいの割合で人件費が占めているかを表しているのが、労働分配率ということになります。ここでいう付加価値とは、「会社にあるヒト・モノ・カネ(経営資源)を使って、もとある価値から新らたな価値を付け加えることにより、もとの価値よりも高い価値を持つモノ・サービスを生み出す」ことを言います。

お客さんの目線で考えると、「新たな価値を付け加えられた製品・サービス」だからこそ、高いお金を払って購入する値打ちがあり、価格競争には巻き込まれにくい製品・サービスであると言えるでしょう。

付加価値は、付加価値=売上高-外部へ支払う費用という計算式で表されます。
指標の数値だけでは分かりにくいので、事例に当てはめて付加価値、労働分配率を考えてみたいと思います。

例えば、前回取り上げたスケト整骨院は、年間の15,000,000円を売り上げ、外部支払費用が2,500,000円だったとします。
⇒このスケト整骨院の付加価値は、12,500,000円となります。

スケト整骨院はご主人とアルバイトが2人で人件費は年間8,084,000円かかるとすると、この場合の労働分配率は以下の数値になります。

8,084,000÷12,500,000×100=64.7%

柔道整復師、鍼灸師の業界平均労働分配率は、60.9%[2]ですので、スケト整骨院の労働分配率は、業界平均よりやや高いということが言えます。このスケト整骨院の人件費率(業界平均並み)、労働分配率(業界平均よりやや高い)から言えることは、

①ご主人とアルバイト2人の給与額は適正額となっている。

②外部支払費用が多いことが、付加価値を減少させる要因となっている。

ということです。

『初めて人を雇う』という記事タイトルからは少し外れてしまって、『決算書を読む』という感じの内容になりましたが、決算書から人に関する経営指標を読むことによって、会社の改善点も見出すこともできるのです。

[1] 付加価値の算出方法は、文中の以外に営業利益に人件費や賃借料等を加算して算出する方法もあります。

[2] ㈱TKC経営指標(平成27年)

第8章:起業して間がない会社で働くメリットや魅力とは

規模の小さな会社、とりわけ起業して間がない会社で働くメリットや魅力とは?『初めて人を雇う』を働く人の立場に立って、考えてみたいと思います。

①大企業と比べて、「大きな歯車」になることができる

10,000人以上従業員がいる会社と、従業員が数名の会社で働くのでは、従業員数名の会社の方が、社員一人ひとりが会社に与える影響が大きく、一人ひとりの頑張りや行動が仕事の成果に直接結びつくことが多いと言えます。その分大企業よりも一人ひとりの責任が大きく、顧客の評価がダイレクトに伝わりやすいとも言え、仕事にやりがいを感じることも多いと思います。

②経営との距離が近い

①に似ていますが、10,000人以上従業員がいる会社では、社長をはじめとする会社の経営陣と直接話す機会は、数少ないと思います。一方、従業員が数名の会社では、毎日のように経営陣と顔を合わせることになり、例えば社長と営業先に同行するといった一緒に仕事をする機会に恵まれることも十分にあり得ます。

また、マーケティングや人事、財務などの経営活動に近く、将来起業を目指す人にとっては、日々経営を意識しながら仕事をすることができる環境といえるでしょう。

③幅広い仕事に携わることができる

社員が数人の会社では、仕事が分業化されていない場合がされていない場合が多いと思います。例えば、設計の仕事で採用されたとしても営業や企画など、本来の専門ではない仕事にも携わることになることも考えられます。専門の仕事に専念することができないと思う方もおられるかもしれません。しかし、専門以外の様々な仕事に携わることは、専門業務の狭い枠の中での知識やスキル、考え方に留まることなく、視野を拡げることができる良い機会となります。

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