はじめての税務調査、対応方法と注意すべきポイント解説!

更新日:2018.04.10

みなさんは税務調査に対してどのようなイメージを持っているでしょうか?
ドラマのように脱税などを摘発する正義の味方をイメージする方もいれば、責め立てるように追徴するような印象を持つ人もいるのではないかと思います。

税務調査を受ける立場からすると後者の印象が強く、特にはじめて税務調査を受ける側は、どのように対応したら良いか不安になることもたくさんあると思います。そこで、税務調査とはどのようなものかを理解して頂き、その対応策を知ることで不安解消のお役に立つことができれば幸いです。

1.税務調査の概要

税務調査とは、納税者が申告した所得や税額が法令などに従って正しく計算されているかどうかを税務職員が検査することをいいます。

通常は、3年~5年に1度のペースで税務調査が入る会社が多いのですが、10年以上も税務調査が入ったことがないという会社も存在します。税務調査に入る頻度だけを見ると平等でないように思えますが、税務職員の数も限られているので、一定の選定基準に従って効率的に調査することが必要になります。ですので、相対的に税務調査を多く受ける会社もあれば、逆に少ない会社もあります。

以下、専門的な内容も含まれますが、税務調査に関する基礎的な話になります。対応の仕方を知りたい人は「2 税務調査の連絡があったときの対応と注意点」にお進みください。

1-1なぜ税務調査が必要なのか

法人税や個人所得税について、納税者自らが課税標準である所得を計算し、それに基づいて税額を計算し納付をするという「申告納税方式」が採用されております。すべての納税者が正確に申告できれば問題ないのですが、税法の解釈の誤りや意図的に税金を少なく申告するなどということも想定されます。そこで、納税者が行った申告・納付が適正なものであるかを事後的にチェックし、公平な課税を担保するために、税務調査が必要になってきます。

 

1-2 強制調査と任意調査

税務調査は根拠法令の別により、「強制調査」と「任意調査」に大別されます。

強制調査
強制調査とは、納税者の承諾の有無にかかわらず、強制的に執行される税務調査をいい、裁判所の許可を条件に、臨検・捜査・差し押え等の調査権を発動することができます。

任意調査
任意調査とは、納税者の承諾を前提とする税務調査をいいます。

ただし、任意調査だからといって断ることができるかというと、正当な理由がない限り、罰則が科されることになります。罰則規定により、承諾を間接的に強制されていることから、間接強制を伴う調査とも言われています(「お尋ね」のような罰則がない純粋な任意調査もあります)。

任意調査はさらに「準備調査(机上調査)」と「実地調査(臨場調査)」に分けられます。

準備調査は、納税者から提出された申告書類等から分析を行い、実地調査をすべきかどうかを判断することや異常値分析など実地調査にさいしての重点項目を選定することが目的となります。

実地調査は、実際に納税地(会社所在地)におもむき、関係者への質問および帳簿書類や取引の内容を証明する証憑書類を検査します。

税務調査の種類

このように、一般的に言われている税務調査とは、任意調査かつ実地調査のことを指しますので、以下では一般的な税務調査について見ていきたいと思います。

1-3 最近の税務調査(実地調査)の状況

平成28事務年度における法人税の実地調査は、全申告件数の約3.3%(9万7000件÷286万1000件)に対して実施されております。また、実地調査が行われると、その約7割(7万2000件÷9万7000件)の法人が修正の必要があったという結果になっています。なお、事務年度とは毎年7/1~6/30までの期間のことをいいます。


 

2 税務調査の連絡があったときの対応の仕方と注意点

通常、税務調査を行う場合には、電話による事前通知があります。以下、事前通知を受けたさいの対応と注意点を見ていきます。

2-1 税務調査の連絡があったとき

税務調査がある場合には、会社に対して実地調査を行う旨と次の内容(主な部分を記載)を通知することになっています。

税務調査の事前通知を受けた場合、最初に行わなければならないのは①の日程調整になります。税務署からは、「〇月〇日~〇月〇日の間の〇日間で税務調査を行いたい」というような連絡がありますが、会社業務上の都合で変更してもらうことは可能です。顧問税理士にも立会いをお願いする場合もあると思いますので、一旦、希望日時だけを聞いて、保留にしておくことをお勧めします。

③の税目と期間、④帳簿書類に関しても顧問税理士に相談したほうがスムースであり、日程調整も顧問税理士に任せるのがいいでしょう。顧問税理士がいない場合には、税務署に相談するのが良いかと思います。

税務調査の連絡があった場合には、経理部だけでなく、総務部や営業部などの他部署にも情報を共有しておくことも大切です。

2-2 税務調査当日までの流れ

 日程調整が固まれば、税務署とのやり取りもなくなり、調査当日を待つことになります。その間に帳簿書類や別途指示された書類を用意しておくことになります。ここで注意したいのは、電子帳簿保存に関する承認申請を受けていない場合、元帳を紙に印刷しなければならない点です。調査官によっては、データ等でも良いとされる場合もありますが、原則としては、紙に印刷しておく必要があります。

2-3 税務調査当日までに確認しておくこと

ほとんどの場合は、直近3年分の帳簿を調査することになります。突然3年も前のことを聞かれても、忘れてしまっていることが多いと思いますので、固定資産や損益計算書項目に関する元帳だけでもザッと目を通し、その年のトピックスや気になる点を確認しておくことをオススメします。

また、事前に準備するよう指示された書類については、調査当日にすぐ確認できるようにしておくと調査官の印象がよくなります。

こちらも合わせてお読みください。
起業支援のプロが教える失敗しない税理士の選び方のコツとポイント

3 税務調査当日の対応と注意点

次は、いよいよ調査当日です。調査当日の流れと対応方法を見ていきましょう。

3-1 税務調査当日の流れ

(初日午前中)
まずは、名刺交換を行い、雑談を交えながら、会社の事業内容等のヒアリングをすることから始まります。ただ雑談の中からも調査に関係ある情報を得ようとしているので注意が必要です。事業内容の説明については、役員等が説明することが多いですが、会社の全体的なことが分かればよいので経理担当者等でも差し支えありません。挨拶やヒアリング等によって、あっという間に午前中が終わってしまうことが多いです。なお、昼食については、近くに飲食店がないような場合を除き、原則として、用意する必要はありません。お昼の時間は午後からの作業についての作戦会議が行われることが多いようです。

(初日午後)
午後になると元帳や証憑のチェックを開始します。事前調査により選定された重点項目を中心に確認していきます。税務職員の手元には、3期比較表や過去の調査結果等が記載されたファイルがあるので、余裕がある場合には見せてもらっても良いかもしれません。また、取引内容についての質問や証憑書類のコピーをお願いされます。

(初日夕方)
大体、16時ころには実地調査を終了する場合が多いです。最後に追加で確認してほしい事項を会社に伝えて税務署に戻っていきます。早ければ1日で調査が終わることもありますし、中小企業であれば、2~3日(基本的には、事前通知された期間)が目安になります。調査官が帰ったあとは、確認事項の回答準備をしておきましょう。

(翌日以降)
翌日以降も初日午後と同様に、元帳や証憑のチェックが中心となります。初日での確認事項の進捗も聞かれることになります。調査最終日には、指摘事項とペンディングになっている事項の確認が行われます。確認後、これで実地調査は一旦終了となります。このとき指摘事項や確認事項がまったくないという会社はまれです。

3-2 調査中に質問等をされた場合の対応

質問事項については、即答する必要はなく、事実関係をじっくり確認してから答えても構いません。なるべく早めに回答したほうが良いですが、中途半端な内容で回答するよりは、少し時間がかかっても、きちんと事実関係を確認したうえで回答をしたほうが良い場合もあります。

3-3 調査最終日の指摘事項への対応

実地調査後にペンディング事項が残った場合には、電話や郵送、FAXなどでやり取りをすることになります。こみ入った話をする場合は、税務署に直接行って説明したり、会社に来てもらうこともできます。お願いされた資料や指摘事項へ反論するための資料は分かりやすいものを提出するよう心がけましょう。なぜなら、税務担当官も調査過程や結果を上司に報告する必要があり、上司や審理担当が納得しないと、調査を終了させることができないからです。

ちなみに、7月から新しい事務年度になり、異動する可能性もあるため、事務年度末が近づいてくると早く決着を付けようとプレッシャーをかけてくることもあります。

4 税務調査終了時の対応と注意点

無事に税務調査を終えるためには次のような対応が必要になります。

4-1 修正申告に応じるとき

税務調査による指摘事項について会社側が納得した場合、修正申告・納付を行うことで、税務調査を終了させることができます(会社として納得いかない部分があるものの、他の懸念事項との兼ね合いで最終的な落しどころが見つかったという例も少なくありません)。一方、税務調査により過大に納めすぎた税金が還付されるということもありますし、修正すべき事項がまったくないとして、そのまま税務調査が終了になることもあります。

修正申告の提出のさいには、二度手間にならないように、提出予定の申告書を税務署にも確認してもらい、了解を得てから提出を行うことが望ましいです。加算税や延滞金については、修正申告・納付が完了した段階で、税務署が計算し、通知や納付書が送られてきます。

4-2 調査結果に納得がいかないとき

税務調査の調査結果に納得できない場合、会社側には国税に関する不服の救済措置として、税務署長に対して「異議申立」(第一審)を行うことができます。また、国税不服審判所長に対して「審査請求」(第二審)を行うこともできます。これを二審制といいます。なお、青色申告者は「異議申立」を飛ばして、「審査請求」から入ることも認められています。

したがって、調査結果に納得がいかないからといって、いきなり訴訟ということはできない仕組みとなります。国税不服審判所長に対する「審査請求」に基づく裁決にさらに不服がある場合に、初めて「訴訟」という手段をとることできます。なお、一度修正に応じ、修正申告を提出した場合には、不服申立ができなくなります。

4-3 税務調査の終了

調査結果が説明され、修正申告や更正を行うことで税務調査は終了となります。なお、当初の申告内容に誤りがない場合には、「更正決定等をすべきと認められない旨」との通知書が送られてきますので、これをもって税務調査は終了となります。

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