経理の仕事内容とは 経理の1日の業務から最も忙しい年度末まで解説!
- 経理担当者に必要な基礎知識
- 経理の仕事(毎日編、月末編、年間編)
経理の仕事といえば「会社のお金の管理」です。「商品の仕入れ」「銀行からの借入や引出」「返済」「従業員への給料支払い」など、会社に関係するお金の出入りの全てを管理するのが経理業務となります。
このほか、お金の年間の動きをまとめて決算書を作ったり、資金繰りに走ったり、さらにはコストがかかりすぎているものをチェックして社長にコストカットを要請したりなど、経営上の重要な役割を担うこともあります。そんな経理の仕事内容をわかりやすく解説していきます。
経理の仕事をおこなうときは、まず基本的に覚えておかなければならない基礎知識がいくつかあります。まずはそこから整理していきましょう。
まずは、経理に使う帳簿や証ひょう類について説明します。経理はさまざまな書類を扱いますので、それを覚えておきましょう。
【帳簿類】
主要簿 |
総勘定元帳 |
すべての取引を記入する帳簿 |
仕訳帳 |
取引を発生した日付順に記入する帳簿 |
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補助簿 |
現金出納帳 |
お金の入出金を記録し、帳簿の残高と現金残高が一致しているかどうかを確認する帳簿 |
仕入先元帳 |
仕入先との取引(仕入れ、外注、買掛金など)を記録する帳簿 |
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預金出納帳 |
当座預金や普通預金などの増減を記入する帳簿 |
|
固定資産台帳 |
土地・建物など固定資産、減価償却の経緯などを記す帳簿 |
【証ひょう類】
振込金受領書 |
銀行取引を行ったときに作成される書類 |
見積書、納品書、請求書 |
仕入先、取引先から送られる書類 |
伝票 |
現金や手形の入出金を社内で記入した書類 |
経理の基本は簿記です。簿記とは文字通り、帳「簿」に「記」入することをいいます。例えば、毎日のお金の出入りをお小遣い帳などに記入していたら、それは立派な簿記です。なかでも入ったお金をプラス(+)で、出ていったお金をマイナス(-)で記入するタイプのものは、「単式簿記」と言います。
一方、会社の経理で使う簿記は「複式簿記」と言います。これはお金の増減を右側の「貸方」と左側の「借方」に分けて記入していく記帳方法です。
例えば、100円のボールペンを10本買って1000円払ったとします(説明のため、消費税は省略します)。その場合、貸方に「現金1000(円)」と記入します。そして借方には「ボールペン」とは書かず、「消耗品費1000(円)」と記入します。
このように、貸方には出入りしたお金の金額を記入し、借方にはそのお金が動いた「理由」を書きます。ここでの理由は「ボールペンの購入」ですが、簿記では会社で消耗する備品を買ったときは、「消耗品費」という項目で借方に記入していきます。この項目を「勘定科目」といいます。貸方に記入した「現金」も勘定科目です。
会社の経理ではすべての取引を貸方・借方に分けると同時に、勘定科目をつけて分けていきます。勘定科目を一度に覚えるのは大変ですので、頻繁に使う科目からに覚えていくようにするといいでしょう。
勘定科目は、最終的に5つのグループに分けます。その5つとは、「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」です。「資産、負債、純資産」は貸借対照表の要素となり、「収益、費用」は損益計算書の要素となります。
また、取引をこれらの勘定科目に振り分けていく作業を「仕訳」と言います。「勘定科目」や「仕訳」は、経理担当者必須の用語ですので、覚えておきましょう。
それでは、経理の仕事をわかりやすく説明するために、仕事の内容を「普段の主な経理業務」「月末の主な経理業務」「1年の経理業務」の3つに分けて説明していきます。
毎日の仕事で多いのが現金の入出金を管理する「現金出納業務」です。現金の入出金は、「社外の人との間でおこなうもの」「社内の人との間におこなうもの」の2種類があります。
社外の人との間でおこなう現金の入出金には、会社の商品やサービスを売った代金を回収したり、仕入や原材料費、備品などを購入したときにお金を支払ったりというケースがあります。また、銀行から預金を引き出したり、両替をしたりというような業務もあります。
例えば、会社の商品が売れて、それを売った営業担当者が売上代金を現金で回収してきたとき、その現金を受け取って領収書を発行します。営業担当者自身が領収書を発行して取引先に渡すこともありますが、いずれの場合も現金と領収書の金額、宛名や内容が合っていることを確認し、現金と領収書の控えを金庫に保管します。
そのさい、金額が3万円以上の場合は、印紙税法の規定で、領収書に収入印紙を貼る必要があります。印紙税は、受領した金額によって変わりますので、気を付けましょう。
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銀行の預金管理業務では、代金の支払い、回収、従業員の給与の支払いなどをおこないますが、そうした振込や送金をした後に、経理担当者は銀行の預金通帳の残高と帳簿(預金元帳)の残高が合っているかどうかを確認します。
そのさい、例えば取引先から売掛金を回収した場合には、その内容を確認し、伝票に記入します。売掛金とは、先に商品やサービスを販売しておいて、現金は後から回収するという取引独特のシステムです。売掛金の振込日は、事前に取引先から提示されていますので、その日に正しい金額で振り込みがされているかを確認します。
また、取引先に対して支払いをおこなう時期に、預金が十分にあるかということをチェックしておくことも経理の重要な役割です。例えば月末の給与や家賃の支払いなどもそうですし、取引先に小切手を渡している場合は、銀行の当座預金からお金が引き出されますので、当座預金に十分な残高がなければなりません。相手が小切手でお金を引き出せなかったら「不渡り」になってしまいますので、そこは十分に気をつけます。
このほか、社内の現金出納業務で使う現金を補充するため、銀行からお金をおろしてくることもあります。
社内の現金出納業務で多いのが、経費の精算です。例えば社員が出張に行ったときの交通費などを立て替えていた場合は、経理がそのお金を社員に返します。
その場合、社員には領収書と経費精算書を提出してもらいます。交通費では、バスを利用したために領収書がもらえなかった、というケースなどもありますが、その場合は交通費精算書を提出してもらいます。
経理担当者は、領収書と精算書の内容を確認し、請求された金額を支払います。支払いが済んだら、経費精算書の受領印欄に社員の印をもらうなどして、二重払いをしないように気をつけます。
このほか、出張費や接待の経費などを事前に社員に渡しておく「仮払い」の手続きなどをおこなうこともあります。
日々の取引は「伝票」や「仕訳帳」に記入しますが、これらに記入するには多少時間と手間がかかります。そこで実際は、記入の手間が少ない「現金出納帳」に取引の内容を記入しておき、あとでまとめて伝票や仕訳帳に記入することもできます。
「仕訳帳」は、最終的に「総勘定元帳」という主要簿の元になる帳簿ですが、最近は仕訳帳を作らず、伝票から総勘定元帳を作ってしまうケースも少なくないようです。伝票にはおもに以下の3つのものがあります。
・入金伝票…現金の「入金」を記録
・出金伝票…現金の「出金」を記録
・振替伝票…現金以外の入出金を記録
こうして1日の業務が終わったら、退社前には金庫のなかの現金を数え、現金元帳の帳簿残高と合っているか確認します。また、金庫の中身は、上司にも定期的に確認してもらうと間違いも少ないでしょう。
経理担当者がおこなう「毎日の仕事」は以上のようなものですが、会社の業種や規模によって仕事の内容は変わってきます。また、会社ごとに帳簿の管理の仕方など仕事のやり方も異なりますので、スタンダードな経理業務の内容に加え、会社独自のやり方にも早く慣れるようにしましょう。