青色申告特別控除って何? 個人事業主は必見!

ポイント
  1. 青色申告制度の概要
  2. 青色申告制度の内容
  3. 最新の税制改正の動き

目次 [非表示]

2-4 青色申告と白色申告の特典比較

節税効果の大きい青色申告のおもな特典としては、下記のようなものがあります。白色申告の場合の取り扱いと比較してみましょう。

【おもな特典と比較】

主な特典

青色申告の場合

白色申告の場合

青色申告特別控除

最高65万円を所得から差し引くことができます。

適用なし。

専従者給与
(専従者控除)

原則として届出に記載された全額が必要経費として算入できます。

専従者1人当たり最高50万円(配偶者は86万円)を限度として控除が受けられます。

純損失の繰越控除

翌年以降3年間繰越控除できます。

変更所得や被災事業用資産の損失に限って繰越控除ができます。

純損失の繰戻還付

今年分が損失である場合等に、前年分の所得に対する税金から還付を受けることができます。

適用なし。

現金主義

全前年分の不動産所得および事業所得が合計額300万円以下の場合、現金主義によって所得計算ができます。

適用なし。

不動産貸付事業を行っている場合には、事業的規模でなければ、青色事業専従者給与や事業専従者控除を利用することができません。

2-5 青色申告は実際にどれほど節税効果があるのか検証

不動産貸付業(事業的規模に該当)を行っているAさんを例として、青色申告の節税効果を白色申告の場合と比較してみましょう。

 【前提条件】                                                単位:円

Aさんの不動産貸付業の利益

6,000,000

妻(青色専従者)の給与

1,200,000

社会保険料控除

400,000

生命保険料控除

50,000

地震保険料控除

30,000

扶養控除(子2人)

760,000

基礎控除

380,000

所得控除の合計

1,620,000

【税額の比較】                           単位:円

 

夫 Aさん

妻 Bさん

白色申告

青色申告

夫が青色申告者の場合

10万控除

65万控除

不動産貸付事業利益

6,000,000

6,000,000

6,000,000

 

青色申告特別控除

0

100,000

650,000

青色事業専従者給与(事業専従者控除)

860,000

1,200,000

1,200,000

事業所得

5,140,000

4,700,000

4,150,000

給与所得

0

0

0

550,000

所得控除合計

1,620,000

1,620,000

1,620,000

380,000

課税される所得金額

3,520,000

3,080,000

2,530,000

170,000

所得税及び復興税

282,300

214,900

158,700

8,600

住民税

372,000

328,000

273,000

24,500

事業税

112,000

95,000

95,000

0

税金合計++

766,300

637,900

526,700

33,100

個人住民税の均等割は5千円として計算しています。妻の個人住民税については、調整控除額2,500円を差し引いています。

【年間の節税効果】                                             単位:円

青色申告の場合の税金合計

(妻Bさんの税金合計を含む)

白色申告の場合の税金合計

節税効果

65万円控除の場合

559,800

766,300

206,500

10万円控除の場合

671,000

766,300

95,300

Aさんは青色申告をした場合、年間では206500も税金を安く抑えていることがわかります。一方、青色申告でも簡易簿記で記帳する申告方法では95300円の節税にとどまります。

青色申告の65万円控除を受ける場合、白色申告と比べると帳簿や決算書類の作成に多少手間がかかりますが、会計ソフトの発達により以前と比べ両者の差がなくなってきておりますし、節税効果や損失が生じた場合の繰り越し等のメリットが大きいため、ぜひ青色申告にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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3最新の税制改正の動き

ここで、経営者や個人事業主に関係する今年の税制改正の概要を把握しておきましょう。

3-1 平成30年度税制改正の内容

平成32年分から、給与所得控除が10万円引き下げ(年収850万円以下の方)られ、基礎控除が10万円引き上げられます。

また、同年から青色申告特別控除の要件が厳しくなり、正規の簿記にしたがった記帳を行っていることに加え、電子帳簿保存法にしたがった電磁的記録の備付・保存を行っているか、e-Taxを利用して申告期限までに電子申告をおこなっていることが要件に加わりました。またはを満たさない場合には、青色申告特別控除が10万円引き下げられます。

上記の青色申告の節税効果のケースでは、Aさんの妻の給与所得控除が10万円引き下げられますが、基礎控除が10万円引き上げられるため、改正の影響がありません。ただし、Aさんが電子帳簿保存を行っていない、または電子申告をおこなっていない場合には、青色申告特別控除が10万円引き下げられることから、増税となってしまいます。

3-2 電子帳簿保存と電子申告

電子帳簿保存は、総勘定元帳などの帳簿や領収書等の書類を電子データによって保存することができる制度であり、適用を受ける3ヶ月前までに「国税電子帳簿(書類)の電磁的記録等による保存等の承認申請書」を提出する必要がります。

一方、電子申告については、e-Taxの利用開始届出を国税庁ホームページの届出書作成コーナーからウェブ上で申請することで、即時に利用者識別番号等が発行されます。ただし、実際に電子申告をおこなう場合には、マイナンバーカードなどの電子証明書に対応した認証カードとカードリーダーが必要です。

どちらか言うと、電子申告のほうが導入しやすいと思いますし、確定申告コーナーで作成した申告書がそのまま電子申告できるため、平成32年分の申告までに電子申告の導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

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