確定申告の手続き方法まとめ 必要書類や青色・白色申告の違いも
- 「青色」「白色」の違い
- 青色申告の手続きとメリット
- 「A様式」と「B様式」の違い
- 確定申告に必要な書類
毎年3月の年度末が近づくたびに、確定申告関連の書籍が店頭にたくさん並びます。それだけ確定申告について知りたいという人が多いのでしょうか。確定申告が自分と関係あると知っていても内容までは理解していない人が少なくありません。
また、自分には関係ないと思っている人も実は確定申告の対象者だったというケースも非常に多いです。そこで、確定申告に関する「あるある事例」を挙げながら、確定申告の概要から手続き方法、必要な申請書類についてわかりやすく説明していきます。
まずは、確定申告にまつわる誤解などの「あるある事例」を挙げてみましょう。
さらに言えば、こんなケースも少なくありません。
確定申告とは、所得にかかる税金(所得税)の額を計算し、税金を支払うための手続きです。
「所得」とは、収入から経費を引いたものです。例えば個人事業主が年間700万円の売上を上げたとします。税金は、その700万円にかかるのではありません。その700万円を稼ぐために、仕入れや、バイトの給料などにかかった経費があると思いますが、仮にその経費が300万円だとしたら、700万円-300万円=400万円が、その事業の「所得」になります。このように収入と経費を計算して所得を算出し、税金を納めるのです。
サラリーマンの場合は、「給与所得」という形で所得を得ています。したがって、やはり所得税を払わなければならないのですが、一般的には会社が給与を支払うさいにその税金分を差し引いた金額を支払い、税金を代わりに収めてくれていますので、通常サラリーマンは確定申告をする必要がありません。
冒頭の「あるある」の(2)にもありました「確定申告と年末調整の違い」というのが、この例です。サラリーマンの場合で、一つの会社に勤めており、副業もしていない人は、会社が年末に1年間の給与所得を確定してくれます。そして、大まかに天引きしていた税金を計算しなおして、還付・または徴収してくれますので、確定申告の必要がないのです。これが、「年末調整」です。
しかし、実はサラリーマンの中にも、「確定申告が必要な人」「確定申告の必要はないが、すれば税金が戻ってくる(かもしれない)人」というのがいるのです。
確定申告が「必要な人」は、
となります。
「必要はないが、すれば戻ってくる(かもしれない)人」というのは
となります。「かもしれない」というのは、その金額やその人の収入によっては、控除が認められない場合もあるからです。自分が該当するかもしれないと思ったら、国税庁のホームページで調べることができます。
「青色申告と白色申告の違いがわからない」という人も少なくないようです。自分で確定申告をしないサラリーマンに多いのは当然ですが、会社をやめて独立開業したばかりの人や、フリーランスのなかにも多くいます。
そもそも、なぜ「色」で分けているのかというと、かつては、白色申告の場合は白、青色申告の場合は青と、実際に申告書の色で書類を区別していたためです。現在は色の違いでは分けていませんので、名前の「色」自体には意味がありません。
では、その違いはどこにあるのでしょうか。
青色申告を行うためには、事前に税務署への届出が必要です。届出をしない場合は、自動的に白色申告になります。フリーランスで、税務署職員から「確定申告は青色ですか、白色ですか?」と聞かれたときに、どちらかわからないという人もいるようですが、届け出をしていなければ白色申告となります。
よく、「青色申告は面倒くさい」ということで、あえて届け出をせずに白色申告している人もいるようです。確かに、「青色」のほうが手間がかかることは事実です。しかし、その手間を補って余りある優遇措置もありますので(詳細は後述)、まだ白色申告の個人事業主やフリーランスの人は、青色申告も検討してみるとよいでしょう。
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青色申告を行うためには、まず税務署に「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出しておく必要があります。このさい、新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日までに提出の手続きを終えていなければなりません。また、新たに開業した人の場合は、業務開始日から2か月以内に提出の手続きが必要です。
また、青色申告の場合、確定申告のときに、「青色申告決算書」を作成して、確定申告書と一緒に提出しなければなりません。「決算書」は、複式簿記の帳簿に基づいて作成されるものと、単式簿記の帳簿に基づいて作成されるものの2種類があります。複式簿記のほうが手間はかかりますが、複式簿記の帳簿に基づいて作成した決算書を提出すれば、最大65万円の控除が受けられます(単式簿記の場合は、最大10万円)。
単式簿記 |
単純な記帳方式。1つの取引に対して1つ記帳する |
複式簿記 |
複雑な記帳方式。1つの取引に対して複数記帳する |
一方、白色申告の場合は、決算書の代わりに「収支内訳書」を提出する必要がありますが、収支内訳書の作成は、決算書に比べればカンタンといえます。その代わり、青色申告のような控除は受けられません。
青色申告がなぜ「お得」なのかといえば、上記の「最大65万円の控除」をはじめとしたさまざまな特典があるからです。
その特典とは「赤字を3年間繰り越せる」「30万円までの減価償却資産を一括で経費計上できる(年間最大300万円まで)」「家族経営の場合は、家族従業員の給与を経費にできる」などです。
赤字の3年間繰り越し |
事業所得に損失(赤字)があった場合、その赤字分を以降3年間繰り越して、所得から控除することができる |
30万円未満の減価償却資産を一括で経費計上可能 |
資本金1億円以下で、従業員数1000人以下の青色申告法人である中小企業などは、30万円までの減価償却資産を一括で損金算入(経費計上)することができる |
家族従業員(青色事業専従者)の給与を経費計上可能 |
経営者の配偶者や親族(15歳以上)に支払っている給与を損金算入(経費計上)することができる。ただし、青色事業専従者(配偶者や親族)者は、控除対象配偶者や扶養親族となることができない |
「減価償却」とは、例えば30万円のパソコンを買った場合、4年くらいに分けて、毎年7~8万円くらいずつの経費として計上していく会計処理の方法です。しかし青色申告の場合は、30万円を一度に経費として計上できます。その分、所得が少なく計上できますので、支払う税金も少なくて済むというわけです。