【電子契約だと非課税!】 印紙税の概要から節税方法までを徹底解説
- 印紙税の概要
- 印紙税の納付方法
- 印紙税を納付しなかった場合の罰則
- 印紙税を納付しなかった実例
- 印紙税の節税方法
印紙税は税務署に納付しに行くのではなく、収入印紙という切手のようなものをあらかじめ購入しておき、それを書類に貼り付けて納付することはすでにお示ししました。
まれに収入印紙を張り付けただけで、消印を忘れていたり、二重線を消印の代わりに用いたりしている事業者の方がいますが、これでは印紙税を納税したことにはなりません。
印紙税法には、課税文書に収入印紙を貼りつけたあと、その文書と収入印紙の彩紋(収入印紙の表に印刷されている模様)を横断するように、ハンコか署名で消印をすることによって印紙税を納税したと認める旨が定められています。
署名については貼りつけた方の自筆でなければならず、ほかの方が代筆することはできませんが、ハンコであれ署名であれ、ご自身の氏名に限らず、屋号や商号、通称など、どなたが消印したのか判別できればいいものとされています。
また、収入印紙をその場では貼りつけずに、後日申告と納付をする方法(印紙税申告納付)を用いる場合には、法令で厳格に定められた表示をしなければなりません。
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印紙税を納付していないことが税務調査で発覚した場合、本来支払うべきだった印紙税を納める代わりに、その3倍の過怠税が課せられます。また、税務署から指摘を受ける前に自主的に不納付の事実を申告した場合、本来支払うべきだった印紙税を納める代わりに、その1.1倍の過怠税を課せられます。
なお、法律上はこのように定められていますが、実務上は税務調査で印紙税の納付漏れを指摘され、その場で納付漏れの事実を認めた場合には、1.1倍の過怠税を納付すればよいとされることがほとんどです。
注意していただきたいのですが、本来支払うべき印紙税+その印紙税の2倍(0.1倍)の過怠税ではありません。一見、どちらでも同じだと思われるかもしれませんが、全く異なります。なぜなら、通常の印紙税は法人税や所得税を計算するさいの必要経費として算入されますが、過怠税は罰金なので、必要経費として算入されないからです。
かつて、スーパーマーケット大手のダイエーが国税局の税務調査で、約3000万円の印紙税の納付漏れを指摘されたことがありました。納付漏れのほとんどが、自転車修理の請負契約の伝票に収入印紙を貼りつけることを怠ったことに対するものだと、2012年5月15日の毎日新聞にて報道されています。
このケースから、印紙税納付の実務において気を付けるべき点を2つ確認しておきましょう。
ひとつは、些細な違いで印紙税の課税対象となるかどうかが変わるということです。このケースでは、自転車修理の請負契約の伝票に修理金額を書き込まなかったことが、納付漏れの指摘を受けた大きな原因です。請負契約の契約書の場合「記載金額が1万円以上もしくは契約金額が不記載の場合」には200円の印紙税を納税しなければなりませんが、「記載金額が1万円未満」の場合には非課税です。
一般的には自転車の修理代金は1万円未満のものが多いですが、きちんと金額を記入するように従業員の方への指導を徹底していれば、納付漏れの指摘の大部分は回避できたものと思われます。
このような指導を怠ると、ダイエーの例のように本来ほとんど非課税となるはずだった印紙税を支払うことになりかねないので注意が必要です。
もうひとつは、印紙税の納付漏れの指摘を受けた場合の過怠税の影響の大きさです。上記報道によれば、追徴された過怠税は3300万円と見られています。当時の法人の利益に対する実効税率は40%弱と言われていますので、3300万円が損金不算入となったことで1320万円弱の税負担が発生していることとなります。印紙税の納付を怠ることで、過怠税として本来より多額の印紙税を支払わなければならないことはもちろんですが、法人税や所得税への影響も無視できません。
結局、請負契約の伝票に金額を書くように徹底しなかったという些細なミスにより、ダイエーは合計で本来は必要ではなかった4620万円もの税負担を強いられることとなりました。
上記のとおり、デジタルデータとして契約書を作成し、紙への出力をしなかった場合には印紙税が課税されません。したがって、可能な限り紙への出力をせず、デジタルデータだけで契約書や領収書などを作成することが、もっとも効率のよい印紙税の節税方法です。
他にも、契約書をコピーしただけの控えは印紙税の課税対象ではありませんので、取引先にのみ印紙を貼った正式な契約書を渡し、自社にはそのコピーを控えとして保管することとすれば、契約書を2部作製した場合と比較して印紙税を半額にすることが可能です。
また、かなり地味な方法ではありますが、1件につき5万円以上の複数のお仕事の代金をまとめて受け取った場合、領収書に総額を記載して1枚の領収書を発行すれば、総額が100万円を超えない限り印紙税は200円で済みます。
また、1件5万円未満の複数のお仕事の代金をまとめて受け取った場合、それぞれのお仕事に対して複数枚の領収書を作成すれば、印紙税は非課税です。
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