【起業家一年目の通信簿】起業してから事業内容を変えることは怖いことではない!ボラティリティが高いからこその強み

更新日:2018.05.29

起業して1年。当初のイメージとの違いは?

伊藤)会社をスタートして実質的にどれくらいたった?

櫻井)今の事業体にしたのは2017年の4月末なので12ヶ月くらいですね。

伊藤)最初に描いて部分との違いは?コンセプトとか志とか変わってないと思うけど、ファットベース変わっている部分はある?

櫻井)根本的に結構変わっていますね。当初、事業として考えていたのが副業でやっていた中小企業のIT分野のスポット顧問です。IT顧問のことを「IT係長」と名付けて事業展開しようと考えていました。ITリテラシーの高い人員を中小起業が雇うのは難しく、自分の提供するクオリティーを想定すると50万円以上のコストがかかります。それを月5万に設定し、中小企業にIT係長を必要に応じて派遣するサービスを考えました。

自分の考えやノウハウをマニュアル化し、スキルとして平準化することで代理店に落とし込み、サポートができるというイメージでいました。それを月に50社ほど契約をとり運営していこうと考えていました。しかし、企業側のコストの問題や、システムの導入までに教育工数がかかること、そもそも現場の人間がシステムを使えなかったり…導入に至るまでの資金が中小企業にはないとうことがわかり事業体を切り替えました。

伊藤)そういう事態って最初からある程度把握できたんじゃないかと思うんだけど。中小企業と関わる機会もたくさんあったでしょう?起業する前になんでそこに気づかなかったの?

櫻井)社長は嘘つきなんですよね。わがままで見栄っ張りなんです。そこの実態が見えていなかった。見抜く目がなかったんです。結局お金がなかったというのは後付けの理由で、本当は企業側が従来のやり方を変えたくなかったんだと思うんです。それにお客さんが40代・50代の守りに入っている社長が大半だったことも関係していると思います。逆に2・30代は教えるとそれで終わってします。自分たちですぐできると思ってしまうので、長期的にパートナーとしてやっていけないという部分がありました。

伊藤)提供するサービス自体には問題はなかった?

櫻井)サービスに関しては、自分の目指しているラインと市場のニーズのズレは感じました。

伊藤)やりすぎたってこと?櫻井さんの基準はものすごく高いからね。でもマーケットはそこまでのハイスペックを求めていない。もっと簡単なことを実は教えて欲しい。ものすごいITシステムを導入して一気に生産性を高めるとか言うことじゃなくて、例えばだけどツイッターのアカウントの作り方を教えて欲しいとか、そういったレベルのところが知りたいのにもっと高度なIT戦略を立案しますみたいなことを言われてもってことだよね。そのギャップはなんでだと思う?

櫻井)ギャップのところで言うと、私がいた会社は基本的に上場している会社ばかりだったし、みんな年収もリテラシーも総じて高かったんですよね。私が最初に考えたことっていうのはそういう大企業でしか受けられない最先端ITの整った環境っていうのを中小企業が受けることができたら、中小企業も跳ねる可能性が上がるのではという考えだったんですけど…。でも、やっぱり働いている人の層がだいぶ違うんですよね。働いている人たちがやる気をもって、自分の市場価値を高めたいという人材なのかどうかというところの見極めができなかったんです。実際に事業を進めていく中で先ほど伊藤さんがおっしゃたようにツイッターのアカウントをどう作ったらいいの?とかそのレベルの人たちが大半だったんです。

事業内容を変えることを恐れない!スペシャリストでないからこその強み

伊藤)今振り返った時にIT係長の事業の反省点は?

櫻井)「世の中や人に期待するな」ということですかね。自分のなかで根っこにあるのは、オウンドメディアでも言っているんですが、自分はアスペルガー症候群だと思っていて。相手が何を考えているのかというところが、経験則や想像でしかわからないんですよね。振り返ると自分でも相手に自分のエゴを押し付けてしまったなという感覚はありますが、わからないんですよね。

伊藤)IT係長をやめようと思った一番の理由は?

櫻井)多分私みたいなタイプの人は同じレベルで話せる相手以外と仕事をするのがすごくストレスになるので。自分自身では役に立てるのではないかと思って始めたことが、相手とのレベルの乖離を起きてしまう事業だったからやめたというのが一番の理由です。

伊藤)俺は自己分析の甘さかなって思うんだけど、自分の得意なところをやっていければいいけど、ある意味低いところまで目線を合わすことがストレスということにも関わらず、それをやろうと思ったっていうのは世の中のことをあまり知らなかったってことだよね。

櫻井)そうですね。

伊藤)それは櫻井さんがいい人だからだと思うんだよね。人のポテンシャルに期待してたりとかさ。

櫻井)もちろんそれはあると思います。もう一つ言うならば前職は保険の会社にいたので扱っている商品が明確だったんです。サービス内容も料金もお客さんにも伝わりやすかったんですよ。

伊藤)サービスとか商品がしっかりできてて提供できるものがわかりやすいとお互い期待値もわかっているし、対象も明確ってことだよね。

櫻井)そうです。私はどちらかというと1から10まで全て話して、それで全てやってしまうタイプで。だから相性という部分も大きいですね。相性の合う会社さんとは今も顧問をずっとやらせてもらいながら内部でも仕事をさせてもらっているし。逆に合わないところはフェードアウトしていったし。こういう温度感は正直な話やってみないとわからなかったところだと思うんですよね。

伊藤)ただ、櫻井さんの場合はそれが間違いだと思ったらすぐにそれをやめて、新しいことを初めることができる。今は自分の強みを生かしてやっている。さっき名付けたんだけど『クラッシャー櫻井』って呼ぼうと思っていて(笑)でも、サービスのレベルを下げて、市場のニーズに無理にあわせるんじゃなくて、今のスタンスをつらぬいたから今があると思っていて。

櫻井)それは確かにありますね。

伊藤)だから櫻井さんは、再現性高いものを自分以外の人を使ってやるというのは難しいと思うんだよね。プロダクトとしてはいいと思うんだけど。櫻井さんの発想を他の人に転換するっていうのは結構難しいと思う。

櫻井)それは諦めましたね。私はスペシャリストにはなれないタイプなんですよ。どちらかというとジェネラリストという総合的に物事を捉えるというのが昔から好きだったし、いろんな分野に触れてどんどん見えてくるものっていうのがあるっていう考え方なんで。

IT係長からweb制作へ!経験がなかった事業で売り上げを上げる秘訣は?!

伊藤)IT係長のあとは何をやったの?

櫻井)webサイトのシステム開発をやっていました。

伊藤)いわゆる制作だよね?それはどういう風に営業していったの?

櫻井)私は自分から売り込む営業というわけではなくて、日々色々な人と会っていく中で、いろんな人の課題解決をしていった結果として仕事になるというかたちでした。なので積極的に営業をしていたという感覚はないです。仕事は100%紹介のみなので。

伊藤)web専門でやっている会社でも案件ありませんっていうところが山のようにある中で、いま順調に売り上げを伸ばしているのはなんでだと思う?最初スタート時点ではそのリソースなかったわけでしょ?仕事ないフリーランスの人もたくさんいる中で売り上げを上げられている理由って何?

櫻井)提案力じゃないですかね?web制作会社にあんな金額払ってこんなものしかできないんだったら自分に任した方がいいですよという。あとはとにかくたくさんの人に会っていますね。前職の癖かもしれないんですけど、1週間に数百人に会うとか普通だったんですよね。もちろん向き不向きがあると思うんですが。私は会った人の中で連絡が来た人としか会わないというルールを自分で決めていて。それでも一週間で例えば100人の人に会うとかを最初はやっていました。そうしていくうちに自然と仕事に繋がっていきました。

伊藤)今までは反省点を話してもらったけど、逆に良かって点はどこ?

櫻井)生き抜くすべが増えたってことですね。もともとWeb制作に関しては初心者レベルだったのにそれを人に教えて、最初は10万くらいでサイトを作り始めたところから60万、80万と単価が上がってというところは良かったですね

伊藤)なんで単価上げられるようになったの?

櫻井)単純に戦略立案から全て見れるようになったってところですかね。それは量をこなしたからです。現状のままじゃ良くないという想いから量を増やしました。自分の現状に対して不安しかないんですよ。世の中のすごい人しか見れないんで、自分はなんでこんなレベルなんだろうといつも思っていて、もっと良くなるしかなかったんです。

伊藤)現状を良くしていくためには何が必要だと考えてる?

櫻井)単純に1日の時間を二分して半分をインプットもう半分をアウトプット。アウトプットするためにインプットをするという習慣を日常的に入れていくことが大事だと思います。人に会うのもそうですが、ネットの情報だけ見るのはナンセンスだと思っていまして。よく伊藤さんもよくおっしゃってますけど、自分を違う環境においてみるとかもいいと思います。世の中には課題しかなくて、その課題っていうのを自分ならどうやって解決するのかという視点を全てにおいて持っておくことが癖になっています。

なんでもやりすぎない!対価があるからこそ生まれる意識

伊藤)今後について、何をフィードバックして、何を改善しようとしているの?

櫻井)自分自身の事業モデルとして教育した人材を送り込んで利益をあげようという発想は自分には合わないということを理解しました。今やっていることっていうのはやっぱり自分自身が直で世の中と繋がりながらどんどん情報発信をしていって、そういうことに興味がある人から相談がくる昔の形に戻していこうと思っています。

お金をとらずに教えてしまう癖があって、なんでもやってあげすぎてしまったというのは反省点です。提供したノウハウの対価として金銭をもらうっていうのは絶対やらなきゃいけないことなのに、ただのボランティアみたいになっていたのがいちばんの問題でしたね。感謝は最初だけで、どんどんそれが当たり前になっていってしまいます。やはり仕事をする上で対価である金銭を得るということはとても大切なのだと身を以て実感しました。なので、契約内容なども見直しました。「なんでもタダで教えますよ」ではなくて、「ここから先は仕事として任せてください」というかたちにしないとメリハリもつかないので。

興味の赴くままにいろんな事業にチャレンジしていきたい!

伊藤)今のスコアとかも一年目ですごいと思うんだけど、でももっとできるんじゃないかって思う部分もあって、そこは何がボトルネックなんだと思う?

櫻井)ボラティリティーの高さです。そこが、私が起業した根っこなんですよね。会社員は無理なんですよ本当に。会社員を続けられるのも本当に一つの才能だと思っていて、私はどんどんやりたいことのアイディアが日々生まれて言って息苦しいんです。そのアイディアを誰かに話して誰かが形にしてくれればいいなと思っていて。その中で自分はこれだけをやろうっていうのは固定しなくてもいいと思っているんですよ。なぜならまた一個やったら次のやりたいことがまた出てきて。それをすることによって見える世界が変わるというのを自分の経験則で知っているので、そこは自分の心の声にしたがってどんどんやっていけばいいと。途中まで私がやった事業で引き継ぎたい人がいればそれは全て渡すし、あまりしがみつくという意識がないんですよね。

伊藤)櫻井さんは興味の移り変わりがすごく早いなって思っていて。ボラティリティーって変動制や蓋然性の高さをいうわけだけど、それってビジネス的にいうと本来よくないわけよ。好奇心が強いってこととボラティリティーが高いっていうのは表裏一体なわけ。好奇心低い人は同じ場所にい続けるが故にボラティリティーが低い。でも好奇心がある人は違う。今まではいっていなかったことを本気で今一生懸命やろうとかっていっちゃう。

櫻井)今やっておくと面白いなって思うものに種まきをする習慣はあります。もしかしたらそのタネは一生芽吹かないかもしれないし、もしかしたら大きな花になるかもしれない。そういう風なことを発信してタネを蒔いていたら、実はこういう相談あるんだよと思いもよらぬところから仕事につながることになるので、やりたいことは随時変わっていってもいいんじゃないかなと思っています。

伊藤)最後に一言何かあれば

櫻井)同じく起業している仲間に対して、私自身もまだ一年の若輩なんですけど、一つだけ言えることがあるとすれば私は誰よりも変化を恐れていないという自信があります。色々騙されたり負債を背負ったりとかきつい思いをしたこともあったんですけど、多分いま過去に戻れたとしても私は同じことをすると思うんですよね。それによって得るものがすごく大きいので。どんなことが起ころうとどんどんチャレンジはし続けるし、そういう意味で「チャレンジャーズ」っていう言葉の通りで、起業したいんだったら絶対踏みとどまったらいけない!なんでもチェレンジしつつ、でも会社を死なせないようにはしなきゃいけないと思っています。ただ、結局会社にとって一番死ぬリスクが高いことって止まることだと思っているので、それを皆さん伝えられたらよかったと思います。

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プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

中卒ながらもとても頭の良い父と、少しグレていたけど人の王道を教えてくれた母親のもと、1986年11月21日生まれ。

慶應義塾大学3年時にリクルート主催のビジネスコンテストで優勝し、23歳の時に病気をきっかけに小学校親友4名、資本金5万円で起業。

起業当初お金がなさすぎて、カードで借金生活を送る。お金がなかったため、知恵を絞った伊藤独自のマーケティング手法を多数考案。

8年間で、累計10,000件を超える起業、起業家のアクセラレーションに関わるようになり、日本屈指の起業支援の会社と言われるまでに成長。

月間20万人以上の商売人をお助けしているポータルサイト「助っ人」や全国500人以上の商売人が参加している、世界で一番お客様を喜ばす商売人輩出のアクセラレーションコミュニティー「チャレンジャーズ」を主宰。

2016年末に、世界経済フォーラム(ダボス会議)の若手リーダーとして日本代表に選抜。
全国の小中高校への出前授業や、次世代の教育の在り方を問うシンポジウムなどを開催。

最近では、地方自治体の首長からご指名をいただき、起業家の力で地方にイノベーションを起こすべく、徳島県美馬市、熊本県人吉市、三重県伊勢市、千葉県銚子市などと取組を開始。


元LINE社長の森川亮氏推薦の「起業家のためのマーケティングバイブル」など著書5冊。
NHK、日経新聞、エコノミスト、夕刊フジ、日刊工業新聞、CCTVなどメディア出演多数。


櫻井文雄

櫻井文雄

株式会社NEXT Innovation 代表取締役
小3からプログラミング(Basic)を学び、法学部 → 財務系コンサル → 外資系生保営業 → ITスタートアップ起業という異色の経歴を持つ。
職種は「ビジネスデザイナー」事業の戦略・戦術立案から実際の運営支援、マーケティング、ブランディング、社員育成、業務改善、システム制作を行う。おそらくアスペルガー症候群であり、常にやりたいこと・アイデアが止まらなくなってしまうため、一社専属での会社員を勤められず、起業に至った。現在5社の顧問を行いながら、コンサルティング・ブランディング指導を行なっている。


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