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事業承継との向き合い方②事業承継を幻にしないために〜誰に引き継ぐべきか〜~

ポイント
  1. 後継者を選ぶ前に経営者がしておくべきこと
  2. 誰を選ぶか~内か外か~
  3. 事業承継の目的

目次 [非表示]

その事業、誰に引継ぎますか?

これは経営者なら必ず問われる質問であり、必ず答えを用意しておかなければならない。引継ぎ方を誤れば必ず社内は揉める。これが表面化しなくても人心は企業に対する帰属意識が薄れてしまう。そうなると社内、とりわけ幹部のベクトルが合わなくなり経営の推進力が削がれてしまう。

経営者が第一線を退いた後でもしばらく会社に残り、新経営者の下で経営組織が機能するようにフォローアップすれば別であるが、それはそれでツープラトン体制を招きかねず、新旧経営者双方にとってやりにくい状況を作り出す。事業承継で避けたい“事業の停滞”が生まれるのである。

今回は、事業承継での一番の要諦である「誰に引き継ぐか」にフォーカスする。

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誰に・・・を決める前に経営者がしておくべきこと

1.事業承継のトキを計る
経営者は、いつどんなときであっても、自身の引き際は考えておかなければならない。これは経営者になったときから持つべき“覚悟”である。経営者は自身が経営者として、企業の成長を牽引する立場になるにあたり必ず事業の中長期的計画(ビジョン)を持ち、役員・従業員はもとより必要に応じステークホルダーに対しても明確に意思表示することが求められる。その際、企業のライフプランとともに自ら経営者としてのライフプランをしっかりと自覚しておかなければならない

経営者の承継時期は、何も経営者の年齢だけで決まらない。60歳になったら、70歳になったら・・・はある意味ナンセンスである。経営課題に対し将来を俯瞰して、客観的に最善策をチョイス出来る年齢に期限を設けることは出来ないからだ。すなわち年齢だけで承継を考えてはいけない。中長期経営計画に基づく企業の成長ステージを明確にして、経営者が自らのミッションを掲げ実行していく。その際、次の成長ステージに向かうタイミングが事業承継のトキであるその潮目を見誤らないことが経営者にとって重要な資質である

2.事業承継のヒトを視る
事業を承継する人は、企業にとって次の成長ステージにおいて、最適な判断が行える人物でなければならない。中小企業にとってはほとんどがオーナー企業(主要株主=経営者)であり、株式が個人資産の中枢を占めることから自然と承継者は親族から、との発想が経営者にある。しかし、こうした単純資産承継の視点からだけで承継者を決められるほど、今の世の中甘くはないのである。経営環境が日々進化している中で、最適な経営判断を行い続けるためには、市場の視点、技術の視点、競合先・協力先の視点、財務の視点、労務管理の視点、経営管理の視点など、企業の外部・内部環境に広く精通しなければならない。

経営者の親族を含め、企業内にこうした視座を高められる人材が企業の中にどれだけいるか、事業承継のタイミングで人材を育成出来るか、を見極めなければならない。おそらく経営者が現職に就いた当初は自身のことに目一杯で、周囲を視る余裕はないかもしれない。しかし経営者という立場に就いた時からこのミッションは始まっている

誰を・・・内か外か

1.承継者選定の優先度

誰に事業を引継ぐか、の選択に際しては、その時点の企業が抱える経営課題に大きく左右される。その企業がオーナー企業なら当然経営者(の親族)の意向が強く関わってくる。

中小企業でオーナー企業のケースでは、承継者選定要因の優先度はおおよそ以下のようになろう。

①株主(経営者親族)からの信任
②事業に対する情熱、経営への覚悟
③事業・経営への知見
④社内の役員・従業員からのコンセンサス
⑤経営課題の解決

この優先度に従い候補者を選定していくこととなるが、①の前提をクリアするにはどうしても親族から、の心情が働くことになる。株主の関心事は株価の最大化と株主としての権利の維持になるのだから、親族を経営者に置くことは株価はさておき権利の安定にはつながる、との意識は根強い。

しかし、本来とられるべき「経営課題を解決出来る経営者候補」への承継、という選択肢が軽んじられているのが、今の大半の企業で行われている事業承継である。

 

2.親族内承継と親族外承継
親族内承継と親族外承継にはどのような違いがあるのだろうか。概要についてまとめてみた。

このように、親族内承継は承継を行う上で周囲とのストレスは生じにくい。言わば一番無難な選択肢である。しかし、今ストレスがないことが、経営者本人、従業員、取引先、ひいては企業にとって本当に良いことなのか?引継ぐべきは何なのか・・・を考えなくてはならない。

事業承継の目的

事業承継では、事業が後継者にバトンタッチされ、企業が継続すること(外形)に視線が向けられがちである。前回でも述べたように127万者の事業承継が未定である、もしこれら企業が廃業すると650万人の雇用が失われる、22兆円のGDPが消失する、とアナウンスされると、事業承継という外形に捉われてしまいがちになってしまう。

事業承継で企業は確かに延命出来るだろう。しかし、課題解決出来る商品・サービスを市場に提供出来ないと、企業は市場で存続していけない。そうした商品・サービスを生み出せるポテンシャルの議論こそが事業承継を考える前提になるのではないか。

誰がリードすれば企業のポテンシャルが一層高められるのか?の視点に立ってこそ、後継者が見えてくるのではないだろうか。「器作って魂入れず」ではなく、「魂に相応しい器」を考えなければならない。

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著者プロフィール

西田 隆行

西田 隆行

中小企業診断士。1980年大学卒業後信用金庫に勤務。中小企業や小規模事業者へ資金繰りや財務のコンサルティングを行っている。また地域の中核企業、老舗企業の再生に深く関与。「事業を継続するための財務戦略」をメインテーマに活動している。2017年12月から、日本最大の起業・開業・独立者向けポータルサイト「助っ人」(www.suke10.com)の編集チームで、主に「銀行とのつきあい方、資金調達、事業承継」をテーマとしたコラムを担当している。