【第12回】シニア起業で勝ち組になる秘訣〜経営コンサルタントとしてねらいめの分野「雇用調整」

ポイント
  1. 人口減と商機到来
  2. 雇用調整を理解する
  3. 雇用調整の実務例

目次 [非表示]

すべての経営コンサルタントに要求される雇用調整の知見と現場指導実践力

少子高齢化の影響はこれから一段と深刻化します。

人口減は国内総需要の減衰をもたらします。高齢者の多くは年金だけが収入源になります。年金に頼る生活は可処分所得が僅かになってしまうことを意味します。高齢化は消費構造の量的、質的な変化をもたらすとともに一人当たりの消費額も加齢とともに逓減し期待できない水準まで落ち込むことが予想されます。

これまで売れていた商品が売れなくなるのです。すべての企業がこの現実に直面します。企業はどのような対応をするか。的確な対応策が提案できれば経営コンサルタントにとって絶好の商機到来です。これから新規参入を狙う経営コンサルタント起業家にとっては顧問先開拓に強力な売り込みツールを手に入れることになります。それは何か?

顧客先開拓と売り込みツール

自分が経営者になったつもりになれば容易にわかることです。成長市場に打って出ることです。衰退する経済であっても伸びる分野はあります。プラス思考で考えれば、M&Aが成長分野へ進出するには手っ取り早い策ですが、他社も同じことを考えています。うまい話はそうそうあるわけではありません。

売上を上げ、利益を上げるまでには体力が持ちません。検討している間にも売上はどんどん下がり、赤字になってしまいます。運転資金に窮すれば事業継続はできなくなります。マイナス思考で考えれば「入るを量りて出を制する(いるをはかりて、いずるをせいする)」を実行することです。

売上を予測をしてそれに釣り合った支出の計画を立てるべきであるという古来からの経営指針です。売上が下がれば原材料費、外注費、光熱費などは下がります。売上が下がっても固定費は不変です。その最大なものが正社員の人件費です。終身雇用年功序列賃金制度のもとでは売上とは関係なく正社員層の平均年齢の加齢かにともなってさらに増大していくでしょう。この賃金制度は右肩上がりの売上が永遠に続くという錯覚のもとに出来上がったものだからです。

M&Aを積極的に仕掛けることのできる資金力をもつごく少数の企業を除く大多数の企業経営者がこの厳しい現実にまもなく直面します。最後の最後に手をつけるのが高齢化した正社員の雇用調整(いわゆるリストラです)です。これまで多くの経営コンサルタントと面談してきましたが雇用調整実施にかかわる実務についてくわしく知っている者に会った経験はありません。新規参入する経営コンサルタントにとって実は、これが商機なのです!

経営コンサルタントとして何をどう売り込むか

雇用調整の実務を説明しましょう。雇用調整は、人件費コストの削減のために実施します。まず、希望退職者を募ります。早期退職加算金だけでは辞めません。必ず再就職支援サービスが付帯しています。早期退職に応募した者に対する再就職支援サービスは専門業者に委託することになります。

その雇用調整をどうやって実施するのか、そのプロセスについて経営者に対する啓蒙や教育、事業部長や部長クラスに対する部下とのキャリア面談の指導等ができる経営コンサルタントと関われることになります。

これまではこれらのこと一切を専門業者に業務委託するケースが大半ですが、専門業者が提供するサービス品質の評価、再就職実績の実態解明、適正コストの精査、入札仕様書の作成、サービス委託後に専門業者から定期報告される内容のレビューなどについて、経営コンサルタントの知見が生かすことができます。

就業人口が減り続ける中、経済成長を図るには生産性向上が不可欠です。コンサルタントには冠がつきます。生産技術、品質管理、財務、マーケティング等々。人事コンサルタントでないコンサルタントは雇用調整の知見やキャリア面談指導など門外漢だからなどとのんきに構えていたのでは目の前の商機を逸することになります。

なぜならば組織のすべての部門において、組織を構成するすべてのメンバーが相協していまより一層付加価値の高い仕事を遂行することによってのみ生産性向上が図れるものだからです。生産性向上を実現するには、組織のすべての部門において、働く人すべてがハイパフォーマーでなければなりません。経営者はコンサルタントに生産性向上策の提言や企画提案、現場指導を求めます。

狙い目

雇用調整が何たるか、雇用調整をどのように実施するのか、このことを避けて生産性向上策の提言はあり得ません。生産性向上のカギは人が握っています。部下との「キャリア面談マニュアル」の冒頭には次のことが記されています。

部下に戦力外対象者であることを通告することは誰にとってもいやな仕事です。その時の緊張感が通告者の過ちをさそうことがあります。そこでいくつかの留意点を心掛けることによってその過ちを避けることができます。

勧告であれ、通告であれ、会社の最終的な目標には変わりがありませんので、そのどちらかという質問が出た時はこの通告は失敗したと考えてよいでしょう。この手の通告では決して失敗は許されないのです(例外を認めることはできない)。

そこでキャリア面談研修会では以下のことを狙います。

① 通告者の心の負担をなくし、日常業務として円滑に処理する術を通告者に修得してもらう。
② 被通告者の心の衝撃を極力少なくする話法を通告者に修得してもらう。
③ 被通告者からの多様な反論を的確に対処して、会社の意図を正確に伝達する術を通告者に修得してもらう。
④ 最終的に被通告者を納得させる術を修得する。
⑤ 法的トラブルを引き起こさない話法を修得する。

■研修は、一日(午前:座学、午後:ロールプレイング)。マニュアル(シナリオ)はケースバイケースに応じ、7種類が用意されています。

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著者プロフィール

白根陸夫

白根陸夫

自分らしく働き生涯現役で活躍するための「顧問塾」主宰 株式会社キャリア・ブレーン 代表取締役 プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー® エイジング・アドバイザー®/認定エグゼクティブ・コーチ 人材能力開発・雇用創造支援(業)日本におけるキャリア形成のパイオニア。 「生涯現役」を全うするための、独創的で最強のノウハウを提供しています。 日系・外資系企業数社を経験し、人事・総務並びに関連業務に関する豊かな経験と知識を蓄積。その間、社会保険労務士、産業カウンセラー、行政書士等多数の資格を取得。株式会社キャリア・ブレーン設立後、再就職支援サービスとキャリア・カウンセリングを数多く実施。アウトプレースメントビジネス立ち上げのコンサルティングの実績も豊富。 就職・転職ノウハウを確立した本邦における第一人者である。(外資系アウトプレースメント会社の日本での立ち上げ6社にノウハウを提供) 1996(平成8)年8月、株式会社キャリア・ブレーン設立、代表取締役に就任。2000(平成12)年8月、NPO/特定非営利活動法人 日本プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー協会を設立。理事長に就任。 2008(平成20)年11月、NPO/特定非営利活動法人日本エイジング・アドバイザー協会を設立。理事長に就任。