【第14回】シニア起業で勝ち組になる秘訣〜カウンセリングとコーチングスキルはコンサルタントとして必須
- コンサルタントの定義
- 相談の五つの型
- カウンセリングとコーチングの使い分け
「顧問(経営コンサルタント)」とは、企業やその他の団体の経営陣が業務執行に関わる意思決定にあたり、未知の情報・技術・ノウハウ等の提供、指導、助言を受けることによって、的確に正確に経営判断が下せるようアドバイスする役割を果たす組織外より招聘した者と定義します(「シニア起業支援家」の定義)。
この定義から顧問(経営コンサルタント)に期待されている機能を考えてみましょう。
1 企業やその他の団体の経営陣が業務執行に関わる意思決定にあたり、未知の情報・技術・ノウハウ等の提供、指導、助言を受けること。これが一つ目の機能。
2 このことによって、的確に正確に経営判断が下せるようアドバイスする役割を果たすこと。これが二つ目の機能です。
3 そして、組織外より招聘した者。これが第三の機能です。第三は機能というべきではないかも知れませんが、組織内に顧問に比肩するほどの人材がいないので外部から招聘せざるを得ないのですから機能と言わざるを得ません。
コンサルタント起業家であるあなたは幸いにしてある企業の経営陣に気に入られこの組織の課題解決のコンサルティングを委嘱されたと仮定します。所与の条件を総合的観点から検討し最適と考えられる解決策を提言しました。経営陣もなるほどさすが「餅は餅屋」だと言って大喜びしました。
実行計画まで添付して提言しましたが、しかし、結果は誰も手を付けずコンサルティングはこの時点で終わってしまった。これは、よくあるはなしです。「シニア起業支援家」の長い組織人経験においてもしばしば見聞きしてきた事実です。
なぜか、コンサルタントは経営者とは相互理解ができていましたが、現場の従業員は冷めた目で見ていた。「現場を知らない人が言ってきた提言なぞ知りません。こんなことできません」。コンサルタントは解決策を見出すべく現場の従業員と面接調査(ヒアリング)をしました。このときが相互理解のチャンスなのですが一方的に上から目線で質問を連発していなかったでしょうか。
ここでもうお分かりのことですが「課題解決策」は現場の人が持っているのです。現場の人がどうすればいいかは分かっているのです。諸般の事情からそれが実行できない状態にあるのです。一口に相談といってもいろいろな言葉があります。
大きく分けて五つあります。
①コンサルティング
②アドバイジング
③身の上相談
④カウンセリング
⑤コーチング
です。コンサルタント起業家はクライアント(委嘱先の経営者・管理者・現場従業員等々、協力会社の経営者等々を含む)との対話においてあらかじめこの五つの違いをしっかりと理解して適時適切に会話する必要あるのです。
クライアント組織の人たち一人一人全員と良好な関係を築くことができないコンサルタントはプロになれません(事業として成功しないということ)。五つに分けた相談のうち、コンサルタントにとって特に重要な①コンサルティング④カウンセリング⑤コーチングに絞って説明します。
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コンサルティングとは、クライアントが効果的な問題解決ができるよう、コンサルタント自身が助言を与える援助活動でカウンセリングと異なる。コンサルタントが自己の保有する専門的な知識・経験・情報・資料などを提供し、積極的に問題解決を援助する点に特徴があり、ここではクライアントの情動的問題や性格を直接的に扱うことは稀で「課題中心」の進め方となる。
経営、法律、税務、就職・転職・再就職・キャリア形成など。クライアントはすでに「教えを請う」姿勢(心の中のありさま)で臨んでいいます。「教えましょう」「教わります」という間柄です。説明(プレゼンテーション)する内容はコンサルタントの得意とする分野でクライアントとっては不得手な分野です。教授がコンサルタント役、学生がクライアント役の講義風景を思い出せば想像がつきます。一方通行の会話が主になります。コンサルタントに要求されるのはプレゼンテーション能力(効果的に説得するための技法)です。教える⇔教えられるという関係では「信頼関係=ラポール(注)」は形成できません。
注:ラポールとは「心が通い合っていること」「どんなことでも心を開いて打ち明けられる状態」。
コンサルタントはカウンセリングスキルを身に付けることによってクライアントから「なんでも気軽に相談できる人⇔親身になって聴いてくれる人」という評価を得ることによって引き合いを増やし競合に勝つことができます。
コンサルティングの方が慎重さと権威をもって行われる。アドバイジングの方が、気軽、同朋に伝える意味合いが強い。
クライアントの置かれている状況やそれへの対応の仕方などについて相談員が情報提供、問題の分析・診断を行い、その判断に基づいて問題解決方法につき指示的助言を行う点でカウンセリングとは基本的に相違する。一般に人生経験豊かな年長者が相談員となるが、社会常識、社会的規範のみならず、相談員自身の人生観、価値観、倫理観が判断・助言の基準になりがちな面をもつ。人生相談・結婚相談など。
カウンセリングの主流は「来談者中心療法」といわれる。非介入的な接し方によってクライアント自らが立ち直っていくという考え方。カウンセリングを「クライアント(相談にやってくる人)とカウンセラー間の言語的コミュニケーション及び非言語的コミュニケーションを通して、クライアントの問題(悩み)解決や人格の成長発達を、クラアント自身が自主的に実現できるよう援助するプロセスである」と定義される。
カウンセリングスキルのない人はクライアントの悩みを聞くと、すぐさまカウンセラー自身が過去に経験した類似の体験においていかに努力して克服したかをクライアントの気持にお構いなしに、とくとくとしゃべりだします。価値観押し付けです。クラアントはカウンセラーの自慢話に瞬時にして心を閉ざしてしまいます。
なぜなら「上手くできないから、上手くいかないから相談に来ているのに・・・。カウンセラーは私の気持をちっとも分かってくれない。さみしい・・・」です。以後会話になりません。
カウンセリングのプロセスは、
傾聴(しっかりと相手の話を聴くこと。途中で余計な意見を一切差しはさまない)
⇓
受容(無条件の受容⇒クライアントの気持すべて受け止めてあげること。カウンセラーの価値観をもって説諭しない)
⇓
共感的理解(クラアントの気持になってその時のつらい気持ち、悲しい気持ち、うれしい気持ちに心から共感的理解を示す言葉がけをタイミングよくすること)
の三つです。
このプロセスを繰り返すことによって、やがてクライアントは本来自身に内在している「自分の直面する問題に勇気をもって取り組み自分の力で立ち向かう(立ち上がる)力⇒成長への衝動ともいう」に気付き立ち直っていきます。下図はカウンセリングとコーチングの関係を示した図です。コーチングをコンサルティング(経営・法律・財務等)と読み替えれば「プロのコンサルタントはコンサルティングとカウンセリングを併用して問題を解決してく」ことが理解できます。
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