【第17回】シニア起業で勝ち組になる秘訣〜人材流動化が進む中でコンサルタントに求められるキャリア・カウンセラーとしての役割
- 生産性を上げるためのキャリア開発
- 新時代に対応した商機
- 特に商機となる中高年のキャリア開発研修
ボーダレス経済において、海外企業との競争を勝ち抜くには経営資源を効率よく運用しなければなりません。経営資源は「ヒト・モノ・カネ・情報」の四つといわれています。モノとは工場、設備、土地等です。この四つの中で、ヒトが唯一、モノ、カネ、情報をうまく活かして現金を稼ぐことができます。ヒトが最も大切な経営資源として筆頭にきているのはそのためです。
実態はどうでしょうか。新卒正社員として一括採用し定年まで雇用を保証する習わしが終身雇用です。どこの企業の就業規則にも「当社は正社員を終身雇用する」とは書いていません。労使暗黙の了解事項です。新卒一括採用者をプロパー社員(生え抜き社員)と呼びます。満22歳で採用し60歳まで38年間、役職定年制を55歳とすれば、33年間定期昇給があります。
新卒一括採用は経験者(途中入社者)採用と異なり採用された者は「どこでも行きます」「なんでもやります」を働く条件として受け入れる代わりに定年までの雇用が保証されています。「なんでもやります」の人には職務給制度が適用できません。よって日本の企業の賃金制度は「職能給」という年功序列賃金制度なのです。年次で仕事をする能力が上がっていくものだという仮説のもとに設計された賃金制度です。
これを称して「終身雇用年功序列賃金制度」の人事制度といいます。ぬるま湯の環境です。一旦正社員で入社できれば一生(定年まで)安泰です。失敗を恐れます。いつの時点からか、おそらく管理職のポストの限界が自他ともに認識できる38歳ごろから諦観状態に入り、定年までつつがなく新卒入社の会社のままいることだけが目的となります。出る杭を打つ側に回ります。
仕事に対する態度・姿勢は保守的になります。これでは企業は沈滞ムードに覆われ成長率は鈍化し現状維持がせいぜいの会社になってしまいます。「シニア起業支援家」の30年間の人事経験では一生懸命働きそれなりの成果を上げる者2割、付和雷同型=大勢順応型(自分にしっかりした考えがなく、他人の意見にすぐ同調すること)6割、定型業務は一応こなすが、四六時中会社の悪口、上司の悪口をいっている者2割が在籍5社に共通する実態でした。
雇用が保証されることは大変良いことですが、このようなヒトの集団では生産性向上といっても実効を上げるには相当な工夫が必要と考えます。ここに経営コンサルタントの商機があります。少子高齢化時代において一段と経済成長を遂げるにはどうしたらいいか国家の最重要課題です。最近、労働経済で話題になるキーワードを挙げてみました。シニア起業する際、顧問/コンサルタントのメニューとして、どのように対応できるかを考えてみてください。
高度プロフェッショナル制度の導入、IT業界から始まった高額初任給支払い企業の話題、働き方改革、少子化の下で経済成長を可能にする生産性向上施策の実行、同一労働同一賃金への潮流、正社員/非正規社員間の格差是正、新卒3年間の離職率30%台で高止まり、新卒採用難から卒業後3年以内を新卒扱い・企業の通年採用活動。
非正規労働者率の高止まり、副業解禁の動き、在宅ワークの普及、フリーランサーの増加、高齢者の就業化率の向上。
AI(人工知能)普及によってなくなる仕事、ロボットの進化によって取って代わられる仕事、解雇の金銭解決制度の検討開始。