現在隠れ倒産が多くなっている?〜中小企業の現状〜
- 倒産件数は減少しているが、休廃業・解散は増加している。最大の原因は人手不足にあった。
- 隠れ倒産のメリットは急な倒産と違い、取引先、銀行、従業員、社員に対して準備する猶予を提供することができる。
- 隠れ倒産のデメリットは事業主が職を失うことである。
「隠れ倒産」という言葉をご存じだろうか。実は2014年の倒産件数が1万件を割り、
「24年間で最低」「アベノミクスの成果」という声が上がった裏で浮上した言葉なのです。今回はこの「隠れ倒産」についてみていきたいと思います。
先述の通り、倒産件数は年々減少傾向にあります。2013年の倒産件数は1万855件と5年連続で前年を下回り、1991年以来22年ぶりに1万1000件を割り込み、2014年には1万を割りました。
しかし、民間信用調査会社の東京商工リサーチのまとめ(2014年2月10日)によると、2013年の休廃業・解散件数は前年比4.0%増の2万8943件で、過去10年で最多を記録しています。つまり、倒産件数が年々減少している裏で、休廃業・解散は年々増加をたどり、2013年は倒産の2.6倍にも達しています。商工リサーチはこのような「休廃業」を、
資産が負債を上回る「資産超過」状態での事業停止
と定義しています。
また、「解散」に関しては事業継続を断念する点で倒産と同じとした上で、場合によっては資産に余力を残す状態で清算手続きをとるケースもあるとしています。
しかしながら、休廃業も解散も、多少の余力は残していたとしても、限りなく倒産に近いものも多いというのが事実であり、これをエコノミストは「隠れ倒産」と呼んでいます。
財務的には余力を残して廃業を選ばざるを得ない状況に追い込まれている中小企業。その最大の原因は、人手不足だと言われいます。人口の減少が進む中、震災復興や公共投資への拡大などによって求人が急増しており、その結果、建設業や外食産業では、人手不足や人件費の高騰により大きな打撃を受けているそうです。
求人が増える中で、起業は採用にかける費用を増やします。しかし、そのような努力を行っても、必ずしも必要な人員を確保できるわけではありません。人員が足りないという状態は、ビジネスの機会を逃がします。その結果、収益が低下し、事業の継続を断念せざるを得ないのです。
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突然の倒産と比較すると「隠れ倒産」と呼ばれる廃業はメリットもあると言えます。
例えば、取引先、銀行、従業員、社員に対して準備する猶予を提供できます。退職金を払ったりすることもできますし、突然の倒産で仕事が急になくなるというわけではないので、再就職先を廃業するまでに探してもらえるなどもできます。
何より、余力のある状態ですので、家族に借金を背負わすということをしなくて済みます。
デメリットとしては、事業主が職を失うということでしょうか。ただ、蓄えがあればそれで暮らしていくこともできますし、年齢的にまだまだ働ける年齢であれば、仕事についたりもできるはずです。
事業の失敗のあとの生活についてはこちらをご参照ください。
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こうした中小企業の「倒産(破産)」「休業」「廃業」「解散」の合計数は実は08年のリーマン・ショック以降、4万件近くで推移しているそうです。つまり、日本全体の“消滅企業”数はほとんど変わっていないそうです。それでは、倒産件数が減っているというアベノミクスの恩恵と言われるものは中小企業には「ない」といえますよね。
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