成功談よりも失敗談!? あとづけの成功分析に意味はあるのか

更新日:2017.02.23

私はライターという職業柄、日々、たくさんのビジネス書やビジネス記事を読んでいます。たしかに参考になるものも多いのですが、気になるのは、数多くある「成功談」の内容。事実、読み進めていくごとに「ムムム」と思ってしまうものも存在しています。

 

そもそも人間というものは、自分の失敗体験はあまり語らず、成功体験を誇張して語りたがるものです。何よりその方が気持ちいいですし、賞賛されることも多い。私自身、それを否定することはできません。しかし、だからこそ聞き手(読み手)は用心するべきだと思います。

 

むしろ、成功体験に関して言えば、「眉唾もの」であることを認識しておいた方がいいのではないでしょうか。美談というのは人の心を打ちますが、はたして、ビジネスはそんなにキレイなものかと言うと疑問です。人生と同じように、ビジネスもまた泥臭いのが実情だと感じます。

 

それでも多くの経営者は、失敗談よりも成功談を語りたがるもの。そこで今回は、成功談をあとづけで分析することの無意味さについて考えるとともに、他人の話をどうビジネスに応用していけばいいのかについても考えてみたいと思います。

あとづけの成功分析とは

そもそも「あとづけの成功分析」とは何でしょうか。それは、「当時は考えていなかったけど、今にして考えてみれば、あの要因が成功のポイントだった」というもの。つまり、とくに計画もないままスタートして、結果的にうまくいったことを、あとから分析していることです。

 

たしかに、成功には何らかの理由があるはずです。起業家の成功談を読んだり聞いたりした結果、起業を志している方も多いことでしょう。ただし、重要なのは、その成功体験に「実現可能性があるか」、ということ。実現できない体験談など、ただの小話でしかありません。

 

江戸時代の大名で剣術家としても知られている松浦清氏は、こんな言葉を残しています。「勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議な負けなし」。つまり、勝てた理由は分からないこともあるが、負けた理由はつねに明らかである、ということです。

問題点①真似できない

あとづけの成功分析の問題点は、大きく分けると3つあります。一つ目は、「真似できない」ということ。実現可能性という話にもつながりますが、いくら参考にしても、自分で実行して同様の成果が得られなければ、ビジネスとしては意味がないということです。

 

また、企業でも個人でもそうですが、それぞれのスキルやノウハウには違いがあります。まったく同じ手順と方法で実践したことも、企業や人によって成果は異なるのが普通です。つまり、二番煎じとしての結果しか得られないのが実情なのです。

 

「いや、うちはそこそこの成果さえ得られればいい」というのであれば、真似できるところだけ真似して、利益を得ればいいと思います。おそらく、これからもそうやってビジネスを進めていくのでしょう。はたして、そこに起業の意味はあるのでしょうか。

問題点②時代が違う

あとづけの成功分析の問題点、二つ目は「時代が違う」というものです。いくら参考にしようとしても、時代が変わっていれば実現可能性は小さくなります。社会的な背景、人々の嗜好、政治的な要因が異なれば、やるべきことも変わるのは当然です。

 

「当時はこうだった」という意味において、歴史から学ぶ意義はあると思います。ただ、こと生物(ナマモノ)であるビジネスの世界において、外的要因を無視して実行することはできません。つまりは参考程度にしかならないということです。

 

むしろ、時代に応じて新しい価値を提供するべく努力することこそ、起業家に求められていることではないでしょうか。あとづけの成功分析のように、時代が変わっていることを加味していない評価は、いずれにしても役に立たないのです。

問題点③ビジネスの成功は運である

あとづけの成功分析の問題点、三つ目は、ビジネスにおけるそもそもの要因「ビジネスの成功は運である」というものです。BCG出身でドリームインキュベータの代表戸締役会長である堀紘一氏は、著書『自分を変える読書術』で次のように述べています。

 

「すべては運、運が決めるんだよ。商売で一番大事なことは、技術でも商品でも人脈でもなんでもないんだよ!」。

 

ちょっと身もふたもないように感じますが、真理であると思います。ビジネスは不確定要素が多いからこそ、成功は運がもたらす。だからこそ私たちができるのは、準備をし、行動し、改善していくしかないのではないでしょうか。

起業のキモは「無駄な失敗をしない」こと

まず、私たちが認識しなければならないのは、「起業に成功法則などない」ということ。そして、過去の成功体験には操作できない外的な要因も多く含まれていることから、眉唾ものとして聞かなければならないということです。参考にすべきなのはむしろ失敗談です。

 

最近では、PDCAのAから起業をスタートする人も増えているように感じます。「変化のスピードが速い現代において市場分析など不要だ」という趣旨です。なるほどたしかに、先行者利益を得るためにも、とにかくはじめてしまう方が得策かもしれません。

 

ときには、「失敗体験こそ最大の学び」となる場合もあるでしょう。ただし、過去の人がすでに行っている失敗をくり返すことは、はたして得策と言えるのでしょうか。価値があるのは、新しい失敗ではないでしょうか。その点を、勘違いしないようにしたいものです。

 

 

 

(参考)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%B5%A6%E6%B8%85

http://www.nippon-shacho.com/interview/in_dreamincubator/

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