ユーザー目線からのアプローチ。こんなのあったらいいなを形に。 ~セレクトショップの古着事業~

ポイント
  1. セレクトショップのユーズド事業
  2. 起業のきっかけ
  3. セレクトショップのユーズド事業の難しさ

目次 [非表示]

 セレクトショップのユーズド事業

助っ人編集部

株式会社wavyと申します。本日はよろしくお願い致します。 最初に簡単な自己紹介をお願い致します!

川林さん  

よろしくお願いします! 前はSTUDIOUSという洋服の会社だったのですが、今は社名が変わって(株式会社)TOKYO BASEという会社で。そこのSTUDIOUS事業のうち、STUDIOUS USEDという古着の事業を僕が事業責任者としてやらせて頂いていて、今ここの、店舗のショップマネージャー兼バイヤーという感じでやってます。川林真人と言います。

助っ人編集部  

STUDIOUS知っています! お店自体はありますよね??

川林さん  

あります!もともとセレクトショップをやっていた会社で、例えばルミネとかに入っていたのが有名ですね。最近の結構若い世代が、20から25歳ぐらいの人たちがメインターゲットです。

助っ人編集部  

STUDIOUS専門の古着の事業を起業されたと伺ったのですが。

川林さん  

そうですね。要は社内ベンチャーみたいな感じで、一応新事業として立ち上げさせてもらって。もともとは日本のファッションスタイルを世界に売っていく。という会社で、例えば日本のブランドをセレクトして売ってるセレクトショップだったんですけど、古着とはまったく別物でっていうところから、古着の事業をセレクトショップがやると、こういうメリットがあるんだよっていうのをプレゼンして、一事業としてやらせてもらってます。

助っ人編集部  

プレゼン自体もですが、それまでもスムーズにそういう機会に結び付いたのですか?

川林さん  

いや、全然。全然、全然です。笑 でも面接の時から、何か起業みたいなことをしたいなと思っていて、このような形で事業を始めて、それを最終的に独立して自分で持っていこう、と思っています。ということを、面接の時から(古着の事業をやりたい)話していて。たまたま、その会社のタイミングとマッチしてやらせて頂けたという感じです。

助っ人編集部

ずっとアパレル関係で起業されたいというのがあったのですか?

川林さん  

アパレル関係で起業したい。うーん…。 手段は何でも良かったんですけど、でもやっぱりどうせやるんだったら自分の一番好きなことがいいなと思って、アパレルにしたんですよね。 アパレルになった経緯のようなものを少しお話すると、もともと高校の時は建築学部志望だったんです。建築やりたくて。

助っ人編集部  

建築というと、すごくざっくりとしたイメージなのですが、家を建てたかったのですか?

川林さん  

家建てたかった、そうですね、何かそういうちょっとデザインちっくなことが好きで。あと何か仕事にするんだったら家建てることかな、と思っていて。それで、建築学部志望だったんです。京大の建築学部受けたんですけど、でも結局ダメで。慶応の理工も受かったんですけど、有名な建築の先生も特にいなかったので、一般教養1,2年勉強するんだったら、もういいかなってなっちゃって。 それで、経済学部に来たんです。自分のやりたいこともなく経済学部に来ちゃって、俺、何で慶応にいるんだろうなみたいな。笑 まったくもうほんとに勉強なんかしてない大学生だったんです。でも、よく言われるじゃないですか。「慶応なんてすごいね」って。 でもそう言われるのが全然腑に落ちなかった。俺、何も勉強してないのになぁ。たまたま入っちゃっただけなんだよなぁ、みたいな感じで。そんなちゃらんぽらんな大学生だったから、就活もみんな商社、広告に行きたいとか、経済だったら金融に行きたいみたいな、あるじゃないですか。それで僕も受けてたんですけど、途中で気づいたのが、やっぱりちゃんとやってる人はやってると思うんだけど、すごい大学に入った時の僕と同じだな、と思う社会人の人が多くて。その会社に入ってる俺、すげぇかっけーだろみたいな。笑 大学生に対してすごい高圧的で。お前そんなんじゃ絶対無理だから、入れないみたいな。もっと、こう対策しないとダメだ、みたいな。何か受験勉強教わってるような感覚で。全員が全員そうじゃないと思うけど、もし僕がそういう会社に入った時に、多分大学に入った時とまったく同じことが起きるなと思って。だからこそ、やっぱり服が好きだったし、自分が好きなことで今めっちゃ俺はこんなに頑張ってるんだって、胸を張って言えるようなことが良かったから、会社として選ぶんじゃなくて自分のやりたいことをやろうと思ったのが、一番ですかね。

助っ人編集部  

なるほど、就活はガッツリやってて、途中で方向転換したって感じでしょうか?

川林さん  

そうですね。それが近いですね。でも、もともと結構経営とかは興味あって、大学のゼミも国際経営系のところにいて。 その時に経営の企画みたいのを考えるプレゼントかをしてたんです。だからやっぱりちょっと経営っていうのはやりたいなって思っていて。何かお金持ちになりたかったんです、めちゃくちゃ。めちゃくちゃお金持ちになりたくて、そういう経営にも興味あったし。で、学内でも起業しようと思ったことあったんですけど、結局形にはならなかったけどっていうのもあって。

助っ人編集部  

いわゆる大学生の、毎日遊んで、目の前の楽しさに没頭してしまうというようなことはなかったのですか?笑

川林さん  

もう僕、そんなんでしたよ。ほんとに。まったく勉強もしてなかったし。 ただ何か、自分をめっちゃわかってて。やれることすっごいがんばれるんですよ。ただ何か、目的もなくただ勉強するのがわからなくて。何で勉強してるんだろうな、マクロ経済学、みたいな。そういう感じの大学生でした。 可もなく不可もなく、単位は何とか取って。笑

 起業のきっかけ

助っ人編集部  

いつ頃から具体的に、起業しようとかを考え始めたのですか?

川林さん  

大学3年ぐらいの時ですね。結構僕は経営者目線というか、どちらかというと結構ユーザー側なんですよね。だから必ず、こういうのあったらいいなぁみたいなのをイメージしてて。じゃあこれでやったらめちゃくちゃお金儲かるんじゃない?みたいなことから、経営者に入り口が入っていて。最初大学の時考えていたのも、教科書のリユースビジネスみたいなのを考えていて。そういうこともあって結構リユース業態には、ユーザー目線からのアプローチが多かったです。これをやろうと思ったのもそうですし。

助っ人編集部  

デザインじゃないですけどそういう発想がドンドン浮かんで来て、今やられてるアパレルじゃなくても、例えば教科書とかアイデアは沢山あったのですか?

川林さん  

まぁそんな簡単なことじゃないと思うんですけど、こんなのがあったらいいな、を僕が勝手に形にしたという感じですね。 もともとSTUDIOUS自体は知ってて、僕がちょうど入社したというか内定をもらった年に、上場をしようとしている企業で、業界の中でも、アパレル今最年少上場がうちの会社で。もともとZOZOTOWNの前澤社長が。それを抜いて1位になるって結構ベンチャー気風の会社で。 それで、説明会とか行くじゃないですか、いろいろ。その時にたまたま話してくれてた先輩の社員の方が、「僕は早くこの会社を辞めたいです」って言ってて、社長の前で。この会社は何か違うなと思って。それがまあ惹かれたきっかけでもあるかな。それでやりたかったことがこの会社ならやってもいいかなと。で、この会社ダメだったら普通に学生の時やろうと思ってた教科書リユースを本気でやれば、まあ食いっぱぐれはしないだろうと思ったし。笑

助っ人編集部  

本当にやりたいことをやって、この先やって行こう、ということなのですね。 お話を伺っていると、それがみんなできたらいいなと思うのですが、なかなかそんなに自信を持てないんじゃなって感じます。例えば発想が浮かんだとして、これで、本気を出したらやっていける。というような。その自信というか、これでやっていこうという覚悟はどこから来るのですか?

川林さん  

自信というか、逆に言うと自分の人生に過信をしていないというか。慶応出てて、たぶんそういう建前がないからかな。だから慶応生で多分そっちの自信がないって言ってる人たちのほうは、逆に自分はこうあるべきじゃないっていう建前があるんじゃないかなと。 大手に入って、30までそつなく仕事をして、年収1千万、2千万もらおうみたいなのが多分、親からも思われてる期待があるし。で、社会的に見てもそれが普通じゃないですか。 逆に俺は別にそれを取っ払った感じで。自信はあったわけじゃないですね。 ダメだったらダメで、なんとかやれるだろうっていう感じ。だから全然どちらかというとすごい浅はかだったと思う。笑

助っ人編集部  

これが一番大変だったなみたいな、それまでの起業の挫折などはありましたか?

川林さん  

今が一番すごく大変なんですけど、やっぱり大変だったのは、内定者時代にこのお店を、準備して企画してやってたので、要は社内の人脈もうまく使えなければ、別にその業界にめちゃくちゃ知り合いがいるわけじゃない。そういう中で、例えば在庫を集めなきゃいけないってなった時に、じゃあどこから集めるのかっていったら、例えばショップのスタッフさんだったりとか、あとはスタイリストさんとか、その業界の人々になるわけじゃないですか。そういう人脈を自分で切り拓いていくのが一番苦労しましたかね。その中でクレームもあったりとか。 ほんと地道です。毎日出社。大学生で内定者アルバイトみたいな感じで本社に出社してたんですけど、その時に1日全スタッフに電話をかけて。うちのスタッフでメンズで80人ぐらいいるんですけど、「今度こういう事業やるんで、やりませんか」って。まずそもそもセレクトショップが古着の事業を始めるっていうので、たぶんセレクトショップのスタッフの人はあまりよく思ってない人がいるんですよ。

助っ人編集部  

それはブランド的にとかいうことでなのですか?

川林さん  

僕たちすごいかっこいいお店これまで作ってきたのに、あ、古着なんかやっちゃうんだ、って思ってる人はやっぱりいて。その人たちにお願いしますって頭下げて。これ絶対お客さんのためになるので売って下さいって毎日電話をして。で、知り合いでスタイリストさんとかいませんかみたいな。その人からも洋服買い取るので、出させて下さいとか。それが一番苦労した。いろいろお店の許可とか取るのとか、内装の承認とかも苦労したけど、それよりもそっちのほうが。地道で、地味だし。

助っ人編集部  

なるほど。地道な作業程大変で大切なのですね。 お店の場所などは与えられたものだったのですか?

川林さん  

与えられたに近いですね。その当時お店出してもいいけど、どこにやるかみたいなタイミングでたまたま。まあ上と下同時にオープンしてるんですけど、下はセレクトでやっていて。同時に空いて、ここだったら出してもいいよっていう話を頂いて。

助っ人編集部  

すごくいい場所ですよね。

川林さん  

原宿のこんないい場所に。まあ欲を言うなら1階に出したかったかな。笑

助っ人編集部  

1からビジネスプランを提案したとういことですが、採用の時にこのプランを形にした状態でプレゼンされたのですか?

川林さん  

もともとビジネスモデルはすごい考えていたものがあって、要は既存のブランド古着をやっているところの仕入れって、お客さんを回ってるしかないんですよ。うちで、STUDIOUSのもともとセレクトについているお客さんが、お金がない時に売りに行ってたんです。 じゃあ逆に僕たちが(セレクトショップが)ユーズド事業をやるとどういう強みがあるかっていうと、服を売ってくれるお客さんがもうセレクトに付いてくれているんですよ。 例えばセレクトに買いに来るタイミングでいらない服を持って来てくれれば、次の新作が安く買えますよね。で、STUDIOUSに付いてくれているお客さんって、さっき言った通りすごい若い層で、20歳から25歳ぐらいがメイン帯なので。その人たちって別にとりわけお金持ちじゃないけど、ドメスティックブランドのいいものって、例えばコートだったら1着10万とかするし、そういうのを毎月買っている人ってどうやってるかっていうと、去年買ったものをメルカリとかそれこそジャンブルストアに売ってとか。必死にアルバイトして貯めたお金を使ってやってくれてるわけで。 スタッフさんに「いらない服とかどうしてるんですか」って聞いたら、「いや、下北に仲いいラグタグの店員がいてさ」って。結局そう、ビジネスがこっちのラグタグとうちの会社別々だけど、勝手にこういうふうに流れができていて。それを全部社内でまとめてやれば、すごい利率の高い古着の事業ができるし、安定的に在庫は他の古着屋よりも確保できるっていうのがもとのビジネスモデルとしてあって。お客さんとしても、新作が安く買えるっていうのがめちゃくちゃわかりやすいじゃないですか、それでこの事業を始めた。 こういうユーズド事業ができることによって、買う側のユーザーとしては、STUDIOUSってやっぱり高いし、なかなか手が届かないっていう人たちが、例えば競合のセレクトとか、それこそハレールイージーブルーとかそこらへんのコンテンポラリーブランドみたいなところに流れていたところを取って行けるなっていうところがあったので。

 セレクトショップのユーズド事業の難しさ

助っ人編集部

今回お話を伺ってはじめてユーズドの存在を知ったのですが、実際、場所も場所だと思いますし、すごいお客さんいらっしゃるのではないかなと思うのですが、実際はどのような感じなのでしょうか?

川林さん  

実際はまあ、外装は見た通りSTUDIOUS 3rdっていうのがうちの下のセレクトで、うちのユーズドのことは、今の段階で言うと、僕たちもともとセレクトショップをやっていたので、ブランドさんと取引関係にあるんですよ。これまでセレクトショップがユーズドをやらなかった理由の一つに、そのブランドさんから見た時にユーズド事業やってるんだったら、やりたくないみたいな。ユーズド事業ってそもそもブランドさんからあんまり良く思われてなくて。 だからもうブランディングで。今、うちのお店で言ったらこういう感じでブランドさんの名前を借りて売ってるけど、これが売れたところでブランドさんにはお金がまったく入ってこない。 それで、例えば商品を出す、例えばブランディングの仕方とか陳列方法とか、ブランドさんからしたら何も指定できないし。要はブランディングを下げている原因の一つって言われていて。だからこそあまり良く思われていないのもあるので。 だから会社的には、今現状だとそんなに外観に出したりとか、大まかにプレスを打って、例えばSTUDIOUS USED始めましたっていうのを入れると良くないから、来店でいうと下のほうが圧倒的に多いですし。でも長い目で見ればお客さんからこっちのほうが価格も安くいいものが買えるってなったら伸びていく可能性はあるなと思います。

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ゼロイチ編集部

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川林真人

川林真人

慶応大学出身。 株式会社TOKYO BASE、STUDIOUS USED事業責任者。 STUDIOUS USED原宿店 ショップマネージャー兼バイヤー。