【スモールビジネス「起業後の心得」成功する起業家とは?2】独立・起業におけるセンターピンとは

よくいらっしゃるんですが、例えば、「自分は税金に対して詳しくありません」「経理をもっと勉強しといたほうがいいですか?」と税金の心配をされるとか。正直に言ってまったくいらない。まったくいらないというのはちょっと言い過ぎかもしれないですけど。

売上が出ない限り税金を払う概念はありません。売上が出るから税金の支払いが必要になる。そういう順番です。売上が出ない限り、人を雇うわけにはいきません。

まず1個が解決するから、次のことが起きるわけです。独立・起業においてうまくいかない人は、1個目がうまくいっていないにも関わらず、1個目がうまくいったことによって生じる2個目、3個目のことばかり気にして、1個目のことに集中したり、エネルギーをかけられていない状態です。

「1年後、雨が降ったらどうしよう?」と気にする人がたくさんいます。それって、みなさんが今考えることじゃないですよね。今考えなくていいですよね。

本当に今考えているんだったらまだいいんです。それを理由にして何もやっていない、今のまま今の場所に立ち尽くしている方が、独立・起業前の方にたくさんいらっしゃいます。

でも正直、その思考だとまったく前に進めません。何が大切か。並列というより直列で、まず何をやるべきかということ。まずは何がセンターピンなのか。

センターピンとは、ボウリングですね。ボウリングでストライクを出そうと思った時に、センターピンといって一番前に立っているピンにちゃんと良い角度で入っていかないと、基本的にぜんぶ倒れないわけです。

なので、目指すべきはセンターピン。1個のアクションでぜんぶが倒れるようなところに集中をして、1個1個片付けていくのが大切です。

独立・起業においては、すべての人に共通して「売上・利益を上げていく」。これだけを考えたらオッケーです。売上・利益があれば、誤解を恐れず言えば、お金で解決できるものはたくさんある。

みなさんが税金のことに詳しくなくても、お金があれば税理士さんにお願いをしてやっていただくことができるようになったり。

なので、何をしないといけないのかを、しっかりと時系列で整理する。「これができるからこれが起こる」「これができなければこれは起こらない」という関係です。それをちゃんと理解していただいて、1個に集中してやる。

止まっている状態の車を動かすのは相当なパワーがいるんです。ほとんどの人は動かせないんです。だからこそ、よそ見をしたり、こっちのことを気にしながら片手で車を押すなんてのはできません。

何がなんでも、最初は売上を上げる。これだけです。これだけにフォーカスをしてほしい。「ここだけに集中しない限り、次のステップに進めない」と思っていただくといいかと思います。売上を上げるために何をすべきかを逆算して、そのことだけをやることが大切です。

仲間作りかもしれませんし、営業・マーケティング活動かもしれませんし、スキルアップなのかもしれません。やるべきことはいろいろとあるということです。

僕も起業の本を読んでいて、合っているけど、正直それじゃないですよねっていうことがあります。どれだけ支援した人がいるかという経験値によって、解像度の違いがありますが、僕は幸い、1人の人が経験できる数としては国内でも最大の数をやってきたと思っています。

たくさんのお客さんを見させていただく中で、「この人はなんでうまくいったのか」「この人はなんでうまくいかないか」を分類しながら、自分なりに納得するかたちで理由を突き合わせて、解像度を上げてきたつもりです。

最初にやるべきは「しっかりと売上を上げていく」こと。ここから目を背けないということですが、こんなにうるさく言っても背けるんです。やらなくなっちゃう。売上を上げることではないことにエネルギーを使い始めます。それではうまくいかないことを最初にご理解いただけるといいかと思います。

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著者プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

2009年慶應義塾大学法学部を卒業後に、2010年株式会社ウェイビーを創業。
創業以来、一貫して、中小企業、個人事業主のインキュベーション(成長支援)に従事。
その数1,200社超。「世界を豊かにする経済成長のビジネスインフラを創る」というウェイビーの理念が大好き。
世界経済フォーラムが選ぶ若手リーダー選抜、徳島大学客員教授、スモールビジネス向け書籍7冊出版。