【スモールビジネス「起業後の心得」 成功する起業家とは?1】 起業におけるリスクとは?

最近は、DXでデジタルを使っていかに会社を変革していくかが一番のトレンドだったりします。そのため、事業をやられている経営者の方に向かって新しい事業開発や、新規事業×DXのテーマでお話しさせていただくことが多かったのですが、僕のベースとしてはゼロからイチを作るというところで、独立される方や起業される方のお手伝いをずっとやってきています。

僕が独立・起業の支援をさせてもらっていた時に、すごい確率で聞かれたのはリスクのことです。みなさん、リスクがすごく気になるわけですよ。当たり前ですよね。「リスクが、リスクが」となる気持ちはわかるんです。

ただ、最初に申し上げておくと、やはりリスクがないことなんて世の中にないんですね。まずこれが結論です。正しく言うと、リスクの存在をいかにうまく許容できるか、うまくコントロールできるかが大切です。

なので、「リスクなく起業しましょう」という文脈はほとんどの場合、嘘というか、そんなうまい話はなくて。リスクは必ず存在している。リスクって悪いものじゃないんですね。いわゆるリスクがないところにチャンスなんてありません。

大切なのは、リスクの存在を自分が許容できるかどうかということと、「どこまでだったらリスクが取れるか」というリスクの取り方じゃないかなと思っています。

「起業ってなんかリスクだよね」という文脈で語られることがすごくあると思うんですが、めちゃくちゃ解像度の低い議論だなと思います。「起業におけるリスクって果たして何だっけ?」ということをちゃんと分解して考えたほうがいいと思います。

みなさんのお話を聞いていると、リスクの行き着く先はほぼお金のことになります。これがリスクの正体です。いわゆる起業の文脈におけるリスクのほとんどにお金が含まれている。

さらに分解していくと、サラリーマンの方であれば、パフォーマンスが高い低いに関係なく、毎月、げつまつや25日、15日とかに決まったお金が振り込まれることが決まっているわけですね。それがいわゆる安定している状態です。

それに対して、起業すると決まったお金が入ってくるかはわかりません。売上・利益が出るかがわからないので、収入が不透明になるというところですね。これが、みなさんがいわゆるリスクとおっしゃっていることだと思います。

リスクを感じることは仕方がないことです。ただ、漠然と「起業なんか安定しなさそうですよね」とか、「売上が上がらなくてお金にならなかったらどうする?」と考えて、「このままじゃ違うな」と思いながら結局、今の生活を続けたり。

または「どこかで1回チャレンジしたいと思っているものの、リスクが気になってしまって前に進みません」ということだと、人生の時間を無駄にしているわけですね。

なので、「解像度をしっかり上げて、リスクの正体を捉えることができると、実は建設的に解決していくことができるんじゃないですか?」という話です。

起業後に訪れる、最初にして最難関の課題があります。最初が一番大変なんですね。わかりやすく言うと、車が止まっています。この車を動かさないといけません。これが起業です。

動き始めるとタイヤが少しずつ回っていく。ちょっとスピードがついてくると片手で押し続けられるかもしれないけど、やはり最初の止まっている状態の車を動かすってめちゃくちゃ大変なわけです。

起業は、最初に一番大変なことが訪れる。なので、起業が難しいのだと思います。

起業のリスクの正体をお話ししました。なので、まずみなさんは「売上・利益を出すこと」だけにフォーカスすればいい。それ以外のことは逆に何も考えなくていいですよ、と僕は思います。

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著者プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

2009年慶應義塾大学法学部を卒業後に、2010年株式会社ウェイビーを創業。
創業以来、一貫して、中小企業、個人事業主のインキュベーション(成長支援)に従事。
その数1,200社超。「世界を豊かにする経済成長のビジネスインフラを創る」というウェイビーの理念が大好き。
世界経済フォーラムが選ぶ若手リーダー選抜、徳島大学客員教授、スモールビジネス向け書籍7冊出版。