一般社団法人の設立について徹底理解!~一般社団法人設立マニュアル~
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- 社団法人設立後忘れてはいけないこと
一般社団法人から公益社団法人に変わることにデメリットはほぼないと言えるでしょう。
デメリットが大きければそもそも手間を惜しんでまで公益社団法人になる必要はないと思う方がほとんどでしょう。
ただ、デメリットではありませんが、公益社団法人と名乗る以上はより社会に対して公平な活動が行えるように一般社団法人より厳しいルールが設けられていますので、ここではその部分を紹介していくことにします。
ここに挙げている事項は公益認定法という法律に書かれている物の抜粋になりますので、全体像や詳細な文章を確認したい場合には公益認定法の条文を確認することをお勧めします。
①理事や監事の同一親族・同一団体規制がある
理事、監事ともに同一親族規制、同一団体規制というものが課せられることになります。
同一の団体、企業の理事、使用人である者やこれに準ずる者が理事や監事の総数の3分の1を超えることができません。
これは公益性を認められた以上は特定の団体に対しての利益供与や影響力を極力排除しようという考えによっているでしょう。
実際に公益法人となった、ある団体が理事の親族に利益を供与したということで問題になったことがあることを記憶している方もおられるのではと思いますので、この部分は公益性のためには重要な部分と言えるでしょう。
②公益社団法人は理事会設置が必須となる
一般社団法人では理事会を設置しない法人も存在することが可能になっていますが、公益社団法人になると理事会設置が義務になりますので、公益法人化を目的として活動を行うのであれば当初から理事会を設置して法人を設立するようにしておきましょう。
③社員の議決権は平等に
社員総会において行使可能な議決権の数、行使できる事項、行使の条件などの社員の議決権に関しては不当に差別的な取り扱いを行うことはできません。
また議決権に関しては社員が提供した金額の大きさによって異なる取り扱いを行うことも禁止されています。
簡単に説明すれば株式会社で創業者一族が過半数の議決権を所持していて他の株主と比較してあまりにも発言権が強力すぎるといったことはできないようになっています。
この部分は親族規制があることからも納得がいくところだと思います。
④社員の資格の得喪について
公益社団法人は社員の資格の得喪について、法人の目的に照らして差別的な取り扱いをするなど不当な条件を付すことを禁止されています。
一般社団法人ではこのような制限は存在しませんが、公益性が高く、税金面でも優遇されているので公益社団法人には透明性が高いことが求められていると言えるでしょう。
あなたの一般社団法人が公益認定を受けるためには公益目的事業として定められている23種類の事業を主目的として活動していなければいけないので、公益認定を目的としている場合には設立当初から活動内容を考えるようにすることが必要になります。
単純に活動内容が23種類に当てはまっていればいいわけではないので注意が必要です。
公共事業以外に18種類の公益認定を受けるための基準もが必要になります。
公益社団法人になるために必要な公益目的事業一覧
1:学術、科学技術の振興を目的とする事業
2:文化、芸術の振興を目的とする事業
3:障害者、生活困窮者または事故、災害、犯罪の被害者の支援を目的とする事業
4:高齢者の福祉の増進を目的とする事業
5:勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業
6:公衆衛生の向上を目的とする事業
7:児童、青少年の健全な育成を目的とする事業
8:勤労者の福祉の向上を目的とする事業
9:教育、スポーツなどを通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、または豊かな人間性を養うことを目的とする事業
10:犯罪の防止、治安の維持を目的とする事業
11:事故、災害の防止を目的とする事業
12:人種、性別その他の事由による不当な差別または偏見の防止及び根絶を目的とする事業
13:思想良心の自由、信教の自由、表現の自由の尊重または擁護を目的とする事業
14:男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業
15:国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業
16:地球環境の保全や自然環境の保護及び整備を目的とする事業
17:国土の利用、整備または保全を目的とする事業
18:国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業
19:地域社会の健全な発展を目的とする事業
20:公正かつ自由な経済活動の機会の確保・促進、その活性化による国民生活の安定工場を目的とする事業
21:国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業
22:一般消費者の利益の擁護または増進を目的とする事業
23:各号に掲げるもののほか公益に関する事業として政令で定めるもの
公益目的事業の他に必要な18の満たすべき基準
1:公益目的事業を行うことを主たる目的としていること
2:公益目的事業を行うために必要な経理的基礎、技術的能力を備えていること
3:事業を行うにあたり社員、評議員、理事、監事などに特別の利益と与えないこと
4:株式会社の経営者や特定の個人、特定の団体に寄付その他の特別の利益を与える行為を行わないこと
5:投機的な取引、高利の融資など公益法人の社会的信用を維持するうえでふさわしくない行為などを行わないこと
6:公益目的事業の収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれること
7:収益事業などを行う場合、公益目的事業の実施に支障を及ぼさないようにすること
8:公益目的事業比率が50%以上になると見込まれるものであること
9:遊休財産額が1年間の公益目的事業の事業費相当額を超えないと見込まれること
10:理事について親族などの合計数が理事の総数の3分の1を超えないこと
11:他の同一の団体の理事の合計数が理事の総数の3ぶん1を超えないこと
12:法人の収益の額、費用、損失の額などが一定の基準を超える場合には会計監査人を置くこと
13:理事、監事、評議員に対する報酬などの支給基準が不当に高額でないこと
14:①一般社団法人の社員の資格の得喪について不当に差別的な取り扱いをする条件を定めていないこと
②一般社団法人の社員の議決権について不当に差別的な取り扱いをせず、また法人に対して提供した金銭の額などに応じて異なる取り扱いをするものではないこと
③一般社団法人の場合には理事会を設置していること
15:原則として、他の団体の意思決定に関与することができる株式や持分会社の社員権などを保有していないこと
16:公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産があるときは、その事実、維持、処分の制限について必要な事項は定款で定めていること
17:公益認定の取り消しの処分を受けた場合や合併により法人が消滅する場合、公益目的取得財産残額に相当する額の財産を取り消しの日または合併の日から1か月以内に類似の事業を目的とする他の公益法人などに贈与することを定款で定めていること
18:清算をする場合、残余財産を類似の事業を目的とする他の公益法人などに帰属させることを定款で定めていること