部下の満足度を高めるマネジメントのポイント

ポイント
  1. まずは受け入れてもらうために部下の心を溶かすことから始めること
  2. 受け入れ態勢がきてからこちらの要求を伝える
  3. 最終的に日々の仕事にまで落とし込めれば円滑な組織運営が可能に

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部下は上司のマネジメントに対してどれくらいの満足度を持っているのでしょうか?
人材採用大手のエンジャパンが行なったアンケートによると、部下の85%が困った上司のもとで働いたことがあると回答しています。(出典記事:https://corp.en-japan.com/newsrelease/2019/17710.html

部下が面と向かって、上司に不満を伝えることはあまりないかと思います。
しかし、このアンケート結果から口には出さないだけで多くの部下が上司に対して不満を抱えていることがわかります。

部下のご機嫌をとる必要はありませんが、もしかしたら上司が正しいと思って行なってマネジメントが、部下にとって大きな負担となっている可能性もあります。

ここでは、部下が上司のマネジメントにどのような不満を抱えているのか、どのようなマネジメントを行えば部下の満足度を高めることができるのかについてお話していきます。

 

部下が上司のマネジメントに感じている不満とは?

成長促進という建前で仕事を丸投げにされる

部下の成長のために仕事を任せることは重要ですが、部下が丸投げにされたと感じてしまえば大きな不満に繋がります。
さらに、本当に部下の成長のことを考えて任せるのであれば問題はないのですが、部下を成長させるためという建前で上司がやるべき仕事まで部下がやらなければいけない状況というのはよろしくありません。

 

精神論や人海戦術で目標を達成しようとする

『頑張ればなんとかなる』『できないのは気合が足りないからだ』などといった根拠のない精神論で目標を達成しようとする上司に部下は不信感を募らせます。
また、コスト削減のためとはいえ、あまりに人海戦術的な仕事の方法に部下は疲弊してしまいます。

 

人によって態度が違う

上司にも好き嫌いはあると思いますが、部下は上司の態度の違いを敏感に感じとります。
『同じミスをして、自分だけ怒られた』『上司の好き嫌いが評価に反映されている』など、人によって態度や待遇を変えることは部下の大きな不満の一つです。

 

根拠のない目標を押し付けられる

部下が目標を達成するためには、その目標に対して当事者意識をもって挑むことが重要になります。しかし、上司が目標をたてそれを部下に強要した場合、部下は目標を押し付けられたと感じてしまいます。
さらにその目標が明らかに難しいものであったり、部下が意味を感じないものであれば、部下は大きな不満を抱えることになります。

 

目標ややるべきことがコロコロ変わる

会社の方針によって目標や、やるるべきことが変わるのはある程度は仕方のないことかもしれませんが、短期間でコロコロやるべきことが変わってしまうと部下は混乱してしまいます。
部下が、目標を達成できるように頑張っていたことが全てリセットされてしまうこともあり、部下は不満を抱えることになります。

 

頑張っているのに正当な評価をされない

頑張りに対して正当な評価を得られていないと部下が感じている場合、上司に対して大きな不満を抱くようになります。
さらに言葉だけで評価をされていても、報酬が上がるといった実質的な見返りがないことに不満を感じる部下は多いです。

 

いざという時に部下を守ってくれない

上司の仕事は部下の責任をとることです。しかし、それをできない上司の元にいる部下はとても不満を抱えています。
そして、上司が責任を取れない状態は会社としても大きなトラブルを招くことになりかねません。

 

部下の満足度を高めるマネジメントの手順とは?

では、部下の満足度を高めるマネジメントとはどのようなものなのでしょうか?

ポイントとなるのは決して急がずに、ゆっくりと部下との信頼関係を作り、部下ひとりひとりにあったマネジメントを行うことです。
ここでは、部下の満足度を高めるマネジメントを行うための手順についてお話していきます。

1.部下の心を溶かす

まずは、部下にこちらの話を聞いてもらえる状況を作る必要があります。
そのためには『理解と共感』『感謝と謝罪』が重要になります。

理解と共感

まずは、相手を理解することから始めましょう。
そのためには、相手の話にしっかりと耳を傾けることが重要です。これはなにも特別話を聞く時間を設けるということではありません。普段の業務の中で部下の話をしっかりと聞くことが必要です。
普段から、「上司が自分の話を聞いてくれる」と部下が思うことで、自然と部下の心は溶けていきます。
逆に絶対にやってはいけないは、部下の話を途中で遮ることや、忙しいからといって話を聞かないことです。
部下の話は、確かに要点を得ていないことも多いかもしれませんし、話している最中に間違っていると感じることもあります。
しかし、話を途中で遮ってしまっては部下が話す気を無くしてしまいます。
タイミングによっては、部下の話をじっくり聞くことができないこともあると思います。そういう時は、なぜ今話ができないのかを伝え、いつなら話せるからこの時間にしてほしいと伝えることが重要です。
その後、たとえ時間が合わずに部下の話を聞くことができなかったとしても、部下には悪い印象が残っておらず、次も同じように上司に話しかけれるようになります。

もう一つの要素である共感ですが、これは相手の話を受け入れるということです。
自分と違う意見であっても、たとえ間違っている意見だと感じても、まずは一度受け止めること。
決して否定的にならずに受け入れることで、話した相手は自分のことをより理解してくれた、または理解してくれようとしたと感じることができ、心の距離感がぐっと縮まります。

 

感謝と謝罪

こどもでも知っている感謝と謝罪ですが、上司と部下という関係になってしまうとできていない人も多いのではないでしょうか。

感謝と謝罪は仕事だけではなく、人間関係を形成していく上で基本中の基本です。
この2つがしっかりできているだけで人間関係はとても円滑になります。

なぜ、仕事になると感謝と謝罪ができなくなってしまうのか。
感謝ができなくなってしまう原因の一つは、本来感謝すべきことが当たり前になってしまっていることにあると思います。
結婚前はご飯を作ってくれた彼女に対して、毎回感謝の気持ちを伝えていたのに、結婚してからは、ご飯が用意されていることが当たり前になってしまい、奥さんに感謝の気持ちを伝えることがなくなってしまうのと同じように、感謝の気持ちが薄れていることがよくあります。

特に上司という立場になってしまえば、部下がやって当たり前という考えが芽生えてしまい、本来感謝すべきことなのに、逆にやってくれないことに対して腹を立てるようになってしまうのです。
当たり前の日常を過ごすことができる影には誰かの頑張りがある。
日頃から感謝の気持ちを忘れないように心がけることが必要です。

また、謝罪に関しても同様です。
上司もミスはあります。ミスをしてしまったときは、取り繕わずにすぐに謝ることが大切です。これにより部下は、上司に対して親近感と信頼を抱くようになります。

こんな、こどもでも知っている簡単なことで部下の心を開くことができるようになるのです。

まずは『理解と共感』と『感謝と謝罪』を意識して、部下の心を溶かすことを心がけましょう。

 

2.こちらの求めるものを伝える

上記のように部下の心を溶かし、部下が話を聞いてくれる状態になったら、マネージャーの方から部下に今後どうなって欲しいのか、会社としての方針や方向性を示していきます。

1で部下はこちらの話を聞いてくれる状態ができているので、ここで話す言葉が受け入れられやすくなります。
しかし、ここで急にこちらの要望を伝えてしまってはせっかく築いた部下との信頼関係が壊れてしまいかねないので、ひとつづつゆっくり伝えていくことが重要です。

信頼というのもは脆く、一瞬で壊れてしまい、そしてまたその信頼を築くのはそれまで以上の時間と労力が必要になります。
何事も急がず焦らず、相手の心に寄り添うことを大切にしましょう。

よく、相手の聞く準備ができていない状態で上司側の要求を部下に押し付けるマネージャーがいますが、それは大きな間違いです。

まずは、しっかりと相手の受け入れる準備ができていることを確認した上で進めていくことが重要なのです。

3.日々の仕事に落とし込む

1.2.を行なった上で、次は実際に日々の仕事にやるべきことを落とし込んでいきます。
しっかりと話をした上で落とし込みをしているので部下からは大きな反発もなく業務を進めていくことができるようになります。

感情面でしっかりと理解ができていてここまで進めれば、あとは仕組みを作るだけで円滑に組織は回っていきます。

 

まとめ

ここでは、部下の満足度を高めるためマネジメントのポイントをお話をしていきました。
大切なことは、決して焦らず、しっかりと段階を踏むことです。

どうしても忙しいと全てをすっ飛ばして自分の要求や言い分だけを通したくなりますが、部下が上司の話を受け入れる体制ができていなければその言葉は部下に届きません。

また、じっくり時間をかけて部下の心を開いていくことで、業務自体も円滑に回るようになるといった相乗効果も見込まれます。

部下との信頼関係を作るには、何よりも最初が肝心です。
これも上司の仕事の一つであり、上司自身が成長する機会と捉えしっかりと部下と向き合いましょう。

これにより、部下のマネジメントへの満足度もあがり、会社にとってもプラスとなることでしょう。

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