ものづくり補助金とは何か?申請にあたって知っておくべきこと②
- どういったことをすると補助金がもらえるのかわかる!
- 何に対して補助金が出るのかわかる!
- 補助金がいくらもらえるのかわかる!
「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に定める研究開発やその成果の利用が期待される技術開発を指します。一般的な製造業においては、こちらの区分でものづくり補助金を応募することになるケースが多いかと思います。具体的には、
・デザイン開発
・情報処理
・精密加工
・製造環境
・接合・実装
・立体造形
・表面処理
・機械制御
・複合・新機能材料
・材料製造プロセス
・バイオ
・測定計測
といった、12個の技術が列挙されています。詳しくは、こちらに記載がありますのでご確認ください。
補助金によって補助の対象となる支出のことを指します。「経費」という独特の言い回しのせいで誤解があるかもしれませんが、もちろん減価償却資産の取得である設備投資は補助の対象となります。平成28年度の募集要項での補助対象経費は以下のとおりでした。(次回説明する「小規模型」で「試作開発等」を選んだ場合はもう少し範囲が広がる。)
・機械装置費
専ら補助事業のために使用される機械装置、工具器具(電子計算機、デジタル複合機含む)、専用ソフトウェアの購入、製作、リース、修繕などにかかる支出)
・技術導入費
外部からの技術指導や特許料の支払いに要する支出
・専門家経費
補助事業遂行のために必要な謝金や旅費として、依頼した専門家に支払うもの
・運搬費
ここでいくつかポイントがあるので触れておきます。
・補助金の交付決定日(補助金を支給することが正式に決定された日、なお補助金が支給されるまでの流れは次回説明します。)より前に発注や契約したものは補助の対象になりません。すでに走り始めている事業については補助の対象とならないということです。
・販売を目的とした製品の生産に関わるものはテスト販売を除き対象外です。「ものづくり」という名前が誤解を生みがちですが、新しい「ものづくり」の技術開発のための補助金と考えた方がしっくりくるかと思います。
・汎用性の高いパッケージソフトウェア、パソコン、プリンタ、タブレット端末は補助の対象外です。補助事業以外でも使用することができるからです。なお、これらの道具に関してはIT補助金など他の補助制度を利用して購入できる可能性もあるため、どうしても補助金を利用したい場合には、こうした制度を利用することも考えられます。
・消費税は対象外。よって、税抜価格が補助の対象となります。
・中古品の購入は原則として対象外です。
・このほか一般的な「経費」(事務所家賃、保険料、借入金利息など)は補助対象外です。
ポイントとしては以上です。なお、原則として50万円以上のものを購入する場合には、2社以上からの相見積もりが必要になりますのでご留意ください。また、補助事業に関する支出に関しては別途帳簿を作成して、経済産業省に報告する義務があるため、場合によっては会計事務所の協力が必要になるケースが出てくるかと思います。
また、補助金を受けてから5年間は事業の成果を経済産業省に報告しなければならない義務も生じますので、ご留意ください。なお、この報告事務に関しては、平成29年度(今度の2月の募集)からは、第三者がチェックして報告する仕組みとなる見込みとの情報があります。
平成28年度補正予算によるものづくり補助金の募集(要するに前回の募集)の際の補助上限額は、革新的サービス、ものづくり技術共通で以下の通りとなっていました。
事業類型 |
補助上限額(下限額) |
補助率 |
||
基本額 |
雇用賃金拡充による上限額の増減 |
|||
(1)雇用増・5%以上の賃金引上げ計画に基づく取り組み |
(2)(1)に加え賃金引き上げの影響を受ける場合 |
|||
第四次産業革命型 |
3,000万円 (100万円) |
上限額の増額設定なし |
補助対象経費の3分の2以内 |
|
一般型 |
1,000万円 (100万円) |
2,000万円 (100万円) |
3,000万円 (100万円) |
|
小規模型 |
500万円 (100万円) |
1,000万円 (100万円) |
1,500万円 (100万円) |
この表の見方としては、例えば第四次産業革命型で応募する(IoT、AI、ロボットの設備投資をする)企業の場合、補助金の上限が3,000万円で補助率が3分の2ですので、4,500万円(=3,000万円÷2/3)の設備投資を行えば、補助金上限額が受け取れるとういうことです。ここで着目していきたいのは、雇用増、賃上げの取り組みを行う企業に対しては補助金の上限が増えるという点です。
制度の設計が少し複雑なため詳細な説明は割愛しますが、ものづくり補助金で労働生産性が高まった結果、得られる利益を従業員に還元する意向がある企業に対しては、補助金を手厚く支給する制度設計となっています。また、次回以降解説しますが、そもそも賃上げや雇用維持を計画している企業の場合にはそもそも、補助金の採択される可能性が高まるような仕組みにもなっています。
賃上げに関しては、一度引き上げると後戻りが用意ではない取り組みですので、安易に取り組むのが難しい施策ではあるかと思いますが、ものづくり補助金の申請を検討する際には考慮の余地があるかと思われます。
今回はどんなことをすればものづくり補助金が貰えるのか、具体的に最大いくらまで補助金が貰えるのかを中心に説明しました。次回は補助金申請の流れと、補助金の獲得に向けてどのような取り組みを行うと可能性が高まるかについて解説していきます。
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