【目的は節税?】中小企業倒産防止共済の概要と利用する際の注意点
- 中小企業倒産防止共済の概要
- 中小企業倒産防止共済を使った節税スキーム
個人事業主や法人など事業を営んでいる方なら「中小企業倒産防止共済」という制度の名前を聞いたことがあると思います。ただ、「節税になる」「取引先が倒産したときのための制度らしい」程度の話は聞いたことがあっても、具体的にどのような制度なのかご存知の方は多くないようです。
この記事では、中小企業倒産防止共済制度の概要から当制度を利用した節税テクニック、利用する際の注意点をわかりやすく解説します。
個人事業主や零細企業は、少数の取引先のみと取引をしている事例が多く見受けられます。そのため取引先が倒産すると売掛金を払ってもらえなくなり、資金繰りが狂ってしまい、自社の経営も危なくなってしまいます。これを連鎖倒産といいます。
中小企業倒産防止共済制度は、このような連鎖倒産を防ぐため取引先の事業者が倒産した零細事業者に貸し付けを行う制度となります。
中小企業倒産防止共済制度に加入すると、月に5000円〜20万円の範囲内で、自分が決めた金額を掛金として払い込みます。中小企業倒産防止共済制度からお金を借りるには次の2つのケースがあります。
・取引先が倒産したとき
1つは、中小企業倒産防止共済制度の本来の目的のとおり、取引先が倒産やそれに等しい状態になったとき、それまでに支払った掛金の10倍までの資金を無利息で借り入れる方法です。
ただし、この方法は取引先が「夜逃げ」をしてしまったり、単なる支払遅延を起こしてしまったりしている場合には利用できないので注意が必要です。
また、無利息ではありますが、借り入れた金額の1/10を没収されてしまいますので、例えば1000万円を借り入れた場合には100万円の利息を支払うのと実質的に同じです。借り入れる金額や返済までの期間によっては、通常の借り入れよりもコストが大きくなってしまう可能性がありますので、ここでも注意が必要です。
・一時貸付金を利用する
もう1つは、中小企業倒産防止共済制度を解約したさいに受け取れる「解約手当金」の95%を上限として、年利0.9%という低利で貸付を受けられる「一時貸付金」の制度を利用する方法です。一括して1年以内に返済すればいいこととされていますので、短期的な資金調達の場合には、取引先が倒産した場合も含めて「一時貸付金」の制度を利用したほうがいいでしょう。
ただし、返済期日までに返済できない場合には、年利14.6%の違約金が課せられますので注意しましょう。
中小企業倒産防止共済制度は、(1)(2)の条件に当てはまる方が加入できます。
(1)継続して1年以上事業を行っている個人事業主・法人のうち、表の各業種において、「資本金の額または出資の総額」、「常時使用する従業員数」のいずれかに該当するもの
業種 |
資本金の額または出資の総額 |
常時使用する従業員数 |
製造業、建設業、運輸業その他の業種 |
3億円以下 |
300人以下 |
卸売業 |
1億円以下 |
100人以下 |
サービス業 |
5,000万円以下 |
100人以下 |
小売業 |
5,000万円以下 |
50人以下 |
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く。) |
3億円以下 |
900人以下 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 |
3億円以下 |
300人以下 |
旅館業 |
5,000万円以下 |
200人以下 |
(参照:経営セーフティ共済)
(2)企業組合、協業組合、共同生産・共同販売等の共同事業を行っている事業協同組合、事業協同小組合、商工組合
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