融資を受けたいときに読みたい融資のきほんの「き」

ポイント
  1. 融資を受けるには、自分の会社に合った金融機関を見つけておくことが必要
  2. 創業融資や運転資金・設備投資資金などの融資の考え方
  3. 日ごろからの良好な関係が肝要。支援してもらえる金融機関との付き合い方

目次 [非表示]

企業活動を行うにあたって、金融機関との取引は欠かせないものになります。

融資を考えるにあたって基本的な考え方と、融資の申し込みタイミングと必要な資料、日ごろからの金融機関との付き合い方について、まとめました。

第一章 代表的な資金調達方法である融資

(1)融資を受けるメリット

融資は借金、ということで、毛嫌いされる方もいらっしゃるかと思いますが、企業経営をするにあたり、融資を受けるメリットはたくさんあります。         

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・資金を貯める時間を先取りできる(時間を買える)

 自己資金が500万円で、年間100万円貯めることができるとします。

 1,000万円の資金を確保しようと思えば、5年という時間がかかりますが、融資を500万円受けることができれば、5年という時間を縮めることができます

・すぐに支払うことができる(信用になる)

 支払うべきものを期限通りに支払うことは信用に繋がります

 借入をすることで、手元資金が確保できれば、期限通りに支払うことができ、信用を築くことができます。

 借入をせずにカツカツの状態であるよりや、融資を受けて手元資金に余裕を持つことで、信用を築きやすいといえます。

・手元にお金がある安心感

 借入をせずにカツカツの状態である場合と、借入をして手元に資金がある場合とでは、明らかに精神的な負担が異なります

 資金繰りのことで頭がいっぱいになってしまうと、新しい事業展開を考えたりするクリエイティブな発想をすることが難しくなります

 手元資金に余裕を持ち、資金繰りの見通しが立っていることは、経営者の気持ちに安定感を与えます。

(2)融資の他にもある資金調達手段

金融機関からの融資のほかにも資金調達手段はあります。

例えば、最近であれば、インターネットを通じて広く支援者を募る「クラウドファンディング」が有名です。

また、自分の資金のみで出資をせず、投資家を募り、他人に出資してもらう方法もありますし、ベンチャー・キャピタルからの投資を受ける企業もあります。

しかし、一番スタンダードな資金調達方法は、金融機関からの融資です。

ですから融資についての基本的な知識は経営の基本といえるでしょう。

第二章 金融機関を選ぶコツ

(1)自社にあった金融機関を選ぼう

金融機関と一口に言っても様々です。どの金融機関と付き合うべきでしょうか?

よく営業に来る金融機関でしょうか?それとも安心できそうな大きな金融機関でしょうか?

金融機関を大きく分類すると、「中央銀行」「政府系金融機関」「民間金融機関」に分かれます。

「中央銀行」は、日本銀行を指し、日本銀行は一般の会社との取引はありません。

「政府系金融機関」には、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などがあります。
これらは政策に沿った事業を行うため、民間金融機関に比べ、低い金利での融資を行います。
また、災害時のときには緊急融資制度を設けるなど、有事の際にも活躍する金融機関です。

「民間金融機関」は都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、保険会社、証券会社、ノンバンクを指します。
民間金融機関のなかでも、融資を受けるという点で取引ができるのは、都市銀行、地方銀行、信用金庫や信用組合です。

都市銀行はいわゆる「メガバンク」といい、主な融資先は大企業~中堅企業です。
地方銀行になると、中小企業への融資がメインとなり、信用金庫や信用組合はさらに中小企業に寄り添い、融資を行っています

中小企業への融資に積極的なのは、日本製策金融公庫、地方銀行や信用金庫、信用組合です。

では、どの金融機関と取引していくのがよいのでしょうか?
会社としては、資金が本当に必要なときに、迅速に対応してくれる金融機関とお付き合いしたいものです。

経営戦略を考えるにあたり、どこの金融機関をメインとして取引していくかはとても重要なテーマとなります。

地域に密着し、中小企業に一番身近な存在と言われる信用金庫であっても、事業への融資に積極的なところもあれば、事業への融資よりも預金取引や投資信託、住宅ローンに積極的なところなど様々です。

また、事業への融資に積極的といっても、経営者の相談に親身に乗り、本業支援に積極的な金融機関と、そうでない金融機関と様々です。

どこの金融機関とお付き合いするのがよいかは、周りの経営者の評判を聞いてみたり、金融機関とのやり取りを日常的に行っている税理士に尋ねるなど、情報を集めておきたいものです。

(2)まずは預金口座を作りましょう

どこの金融機関とお付き合いしたいかを検討したあとは、その金融機関で預金口座を作っておくとよいでしょう。

預金口座もない金融機関に、いきなり融資の申し込みをするのは避けたいものです。
預金口座をつくっておくことで、接点も増えますし、融資の相談がしやすくなります。

実際にお金の動きが預金口座で見えることで、企業の実体があることの証明にもなり、信用度が増すことも期待できます。

そのほか、預金口座をつくる金融機関については、今後の利便性も考えて検討したいものです。

ネット取引が多いのであれば、ジャパンネット銀行や楽天銀行などのネット銀行の口座もあると便利です。
現金の預け入れなどの手続きをすることが多い場合は、会社の近所に支店がある金融機関がよいかと思います。

まとめると、預金口座をつくる金融機関は、

・取引に応じての利便性

・手続きができる支店が近所にあるかどうか

・融資先として候補にあるかどうか

を考慮して決めたいものです。

(3)融資担当に会える方法

融資を受けるには、融資担当者に会っておき、関係性を築いておくとスムーズです。

方法はいくつかあります。

・融資を受けることを視野に入れて預金口座を設けた金融機関で「融資を受けることを考えているのですが」と窓口に伝え、融資担当者を紹介してもらう。

経営者の繋がりや顧問税理士などに紹介を依頼する。

金融機関が主催する催しや交流会に顔を出す。

積極的な金融機関であれば、喜んで応じてもらえると思います。

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著者プロフィール

神佐 真由美

神佐 真由美

京都大学経済学部在学中から「プロフェッショナルになるために手に職を」と税理士を志す。卒業後は、税理士を顧客とする株式会社TKCに入社し、税理士事務所を顧客にシステムコンサルティング営業に4年間従事。本当に中小企業経営者にとって、役に立てるプロフェッショナルはどうあるべきかを問い続け、研究する。税理士試験5科目合格後、税理士業界へ転身。
自ら道を切り拓く経営者に尊敬の念を抱き、経営者にとって「一番身近なパートナー」になるべく、起業支援や資金調達支援、経営改善や組織再編、最近では事業承継支援など多くの経験を積む。経営計画を一緒につくり、業績管理のしくみづくりを通して、未来を見通せ、自ら課題を見つけ、安心して挑戦できる経営環境づくりが得意。大阪産業創造館のあきない・経営サポーターも務め、セミナー実績も多数。「経営者のための資金繰り基礎講座」「本当に自社にとって必要?事業承継税制セミナー」など。

<関連サイト>
角谷会計事務所
未来を魅せる税理士 神佐真由美のブログ